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自己紹介に代えて(好きな小説・エッセイ編)

今回は、私が好きな小説・エッセイを15冊ほど紹介します。
もし興味があれば読んでみてください。

好きな小説・エッセイ15撰

1. 川端康成『雪国』

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった.夜の底が白くなった.-頑なに無為徒食に生きて来た主人公島村は,半年ぶりに雪深い温泉町を訪ね,芸者になった駒子に再会し,「悲しいほど美しい声」の葉子と出会う.人の世の哀しさと美しさを描いて,日本近代小説屈指の名作に数えられる川端康成(1899-1972)の代表作.【改版】

岩波書店HPより

今まで出会ったなかで、もっともかなしく、もっともうつくしい小説



2. 川端康成『みづうみ』

美しい少女を見ると、憑かれたように後をつけてしまう男、桃井銀平。教え子と恋愛事件を起こして教職の座を失ってもなお、異常な執着は消えることを知らない。つけられることに快感を覚える女の魔性と、罪悪の意識のない男の欲望の交差――現代でいうストーカーを扱った異色の変態小説でありながら、ノーベル賞作家ならではの圧倒的筆力により共感すら呼び起こす不朽の名作である。

新潮社HPより

人と人とがつながることの難しさ、刹那の交感のうつくしさを描く、川端文学の真骨頂



3. 吉行淳之介『原色の街・驟雨』

見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐった「原色の街」。散文としての処女作「薔薇販売人」、芥川賞受賞の「驟雨」など全5編。性を通じて、人間の生を追究した吉行文学の出発点をつぶさにつたえる初期傑作集。

新潮社HPより

性をとおして、人間が持つ心の襞を理知的な目で見つめる、吉行文学の代表作



4. 安部公房『カンガルー・ノート』

ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは? 急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!

新潮社HPより

超現実的な世界を緻密に、ユーモラスに構築する、唯一無二のストーリーテリング



5. 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』

「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より)

新潮社HPより

生死とは、善悪とは、世界と自己とは。読後も胸のなかで生長してゆく一つの”年代記”



6. 川上未映子『愛の夢とか』

あのとき、ふたりが世界のすべてになった――。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。谷崎潤一郎賞受賞作。収録作:アイスクリーム熱/愛の夢とか/いちご畑が永遠につづいてゆくのだから/日曜日はどこへ/三月の毛糸/お花畑自身/十三月怪談

講談社文庫BOOKクラブHPより 

小さきものに光をあてた小品集。ささやかながらも、繊細でやわらかで、確かな音色を響かせる



7. 上田岳弘『太陽・惑星』

アフリカの赤ちゃん工場、新宿のデリヘル、パリの蚤の市、インドの湖畔。地球上の様々な出来事が交錯し、飽くなき欲望の果て不老不死を実現した人類が、考えうるすべての経験をし尽くしたとき、太陽による錬金術が完成した。三島賞選考会を沸かせた新潮新人賞受賞作「太陽」と、対をなす衝撃作「惑星」からなるデビュー小説集!

新潮社HPより

怪物的想像力の錬金術師が、宇宙的スケールのなかに物語を紡いでゆくデビュー作



8. 志村ふくみ『一色一生』

染織家志村ふくみ、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす。深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。

講談社BOOK倶楽部HPより

うつくしい文章。流麗で、ゆたかで、あたかかく、凛とした作者の姿を思わせる




9. 多和田葉子『エクソフォニー』

エクソフォニーとは,ドイツ語で母語の外に出た状態一般を指す.自分を包んでいる母語の響きからちょっと外に出てみると,どんな文学世界が展けるのか.ドイツ語と日本語で創作活動を行う著者にとって,言語の越境は文学の本質的主題.その岩盤を穿つ,鋭敏で情趣に富むエッセーはことばの世界の深遠さを照らしだす.(解説=リービ英雄)

岩波書店HPより

ことばとは何か。多和田文学を解きほぐす鍵となるエッセー



10. 佐藤友哉『エナメルを塗った魂の比重』

メフィスト 賞三島由紀夫賞 W受賞作家の衝撃作!
密室で惨劇の幕が開く!
コスプレする少女と同人誌に燃える少女。凄絶ないじめを受ける少女といじめる少年。そして人肉しか食べられなくなってしまった少女! 彼女たちの中に美しい転校生がやってきた日、惨劇の幕が開かれる。密室に捨て置かれた血塗(ちまみ)れの死体は錯綜する事件の序章に過ぎない。美少女学園ミステリーの最果て作!

講談社BOOK倶楽部HPより

十代の私が憧れた、”ユヤタン”のエンタメ力とキャラ造形。<鏡家サーガ>はもっと評価されるべきだ!



11. 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

新潮社HPより

洒脱な会話。完璧なプロット。エンタメ小説の粋はここにある



12. 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

黒髪の乙女にひそかに想いを寄せる先輩は、京都のいたるところで彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受ける珍事件の数々、そして運命の大転回。山本周五郎賞受賞、本屋大賞2位、恋愛ファンタジーの大傑作! 

KADOKAWA HPより

森見が創り出した”京都という魔法”への限りない憧憬を、高校生の私は抱いた



13. 舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』

迷子専門の米国人探偵ディスコ・ウェンズデイは、東京都調布市で、六歳の山岸梢と暮らしている。ある日、彼の眼前で、梢の体に十七歳の少女が〈侵入〉。人類史上最大の事件の扉が開いた。魂泥棒、悪を体現する黒い鳥の男、円柱状の奇妙な館に集いし名探偵たちの連続死──。「お前が災厄の中心なんだよ」。ジャスト・ファクツ! 真実だけを追い求め、三千世界を駆けめぐれ、ディスコ!!

新潮社HPより

圧倒的カオス。圧倒的コスモス。もう、なにがなんだかわからない!!!



14. J.D.サリンジャー、村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。

白水社HPより

ティーンエイジャーのバイブル。ラストシーンはいつまでも私に降り注ぎ、まわりつづける



15. J.D.サリンジャー、村上春樹訳『フラニーとズーイー』

アメリカ東部の名門大学に通うグラス家の美しい末娘フラニーと俳優で五歳年上の兄ズーイ。物語は登場人物たちの都会的な会話に溢れ、深い隠喩に満ちている。エゴだらけの世界に欺瞞を覚え、小さな宗教書に魂の救済を求めるフラニー。ズーイは才気とユーモアに富む渾身の言葉で自分の殻に閉じこもる妹を救い出す。ナイーヴで優しい魂を持ったサリンジャー文学の傑作。──村上春樹による新訳!

新潮社HPより

人が対話するということの可能性を、この本は示してくれる



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