水沢穂波/月岡方円

短歌と俳句

水沢穂波/月岡方円

短歌と俳句

最近の記事

公募、省みること

「ナナロク社 あたらしい歌集選考会」へ初めて応募した。 投函して一日経過したらもう応募作を用意している間の心情のほとんどが揮発してしまったので、何とか思い出しながら書き留めておこうと思う。 応募の動機 ほんの数首とはいえ、多くの人に届いてほしい、読んでほしい歌がある。それを何とか届かせたいという願い。選者への手紙をしたためるつもりで応募作を用意した。 序盤 短歌を作り始めた2021年7月から現在に至るまであちこちで書き散らかしてきた中から良いと思うものをピックアップし

    • 月の過去作

      中秋の名月。 月にまつわる短歌俳句の既発表をまとめました。 (欠けた状態の月を詠んだものは除外) この光に混じれば夜空へ昇れそう満開の蕎麦畑へと月 雨上がり月に向かってまっすぐに光二本の轍が昇る ひさかたの光の轍に導かれ月へ至らむ雨上がりの畔 夏よりも透明な穹(そら) 水底の月の青さは地球の光 硬さ失ひやゝやはらかくありぬべし蟷螂の腹ほど満つる月 クレーターだらけの先輩の頬を指でなぞれば月の裏側 地の底の陽に炙られている月とヴィヴィアン・ウエストウッドの星空

      • 愚痴

        愚痴を言うことの是非とは関係のないことですが、グッチ裕三さんは好きです。 たったいま、第6回笹井宏之賞に応募したところです。 何度も確認し、ついに観念して作品を送った直後の、妙なテンション。お分かりいただけるかと思います。 私の人生の恩人が推していた歌人(そして私も感銘を受けた)、笹井宏之を記念する新人賞。そして私の大好きな歌人たちに作品を読んでいただける新人賞。 短歌を始めたのが2021年夏。程なくこの賞のことを知り、毎年必ず出すと心に決めたのでした。 さて。短歌1年

        • Wizardry短歌 #2#3Llylgamyn

          地下深い玄室で核撃浴びてダイヤの騎士に試されている 伝説のダイヤモンドの騎士の試練総て乗り越えた先の暗闇 当世のダイヤの騎士は独りきり迷宮の奥を目指し戻らず 伝説の眠る迷宮で己がダイヤの騎士の伝説と化す 百年を経て若者が憧れを抱いて再び王都に集う 酒場へは近寄りもせぬ若造が宿にいる 荷物係をさせる 気に食わぬ偽善者どもだが腕は立つ三層五層は奴らに任す 四層で全滅しかけた奴はいう“生ける伝説”悪魔に遭った “生ける伝説”悪魔の呪いで石と化す仲間を救う決死の尼僧

          #いわくのつけく2/水沢穂波

          岩倉曰さん(@wakuwakuiwaku)提供の付句お題100、やってみました。 付句はあまり経験がなく、楽しく挑戦させていただきました。 即詠がいいというわけではないのでしょうけれど、自分の抽斗や脊髄反射を試したいのもあり、即詠に徹しました。(所要時間は1首あたり50秒弱、または2分弱のいずれかというケースがほとんどでした) 陽の出ている時間か夜かで、作る歌の傾向が変わってくることが分かったのも収穫でした。 ともかく、2023ゴールデンウィーク後半5/4~5、とても楽しい時

          #いわくのつけく2/水沢穂波

          を信じること

          先日、ちょっと落ちついた時間が持てた休日に思ったことを書きとめておく。 ■自分の中から生じたものを、信じぬく。 短歌をつくる。俳句をつくる。 思いつきでつくる。苦心してつくる。 毎月末を迎えて自選をまとめるにあたって自作を読みなおすと、作ったときの心の躍動が喪われていて、まったくつまらないものが並んでいる。いっさいの自信をなくし、心に不安が満ちる。 でも、 自分の中からつるつると引き出されて作品になったものは、自分の一部をちぎってこねて作った粘土細工みたいなものだ。仕

          デスメタル八句

          デスメタル八句 月岡方円  ____________________________  絞り出すデスメタル未央柳かな  滝壺へブラストビートの過重力  知らぬ影朔日ごろの月独り  跫の病魔蟄虫戸を坏ぐ  デスメタルなんて聴いてら立冬だ  くだら野や貨物列車の遠き先  後悔を吼ゆる街路樹憂国忌  凍て風に月吹き散らす涙かな  ____________________________ ♯1 CRYPTOPSY / Sire of Sin ♯2 NILE /

          2022年短歌ピックアップ

          #2022年の自選五首を呟く #2022年のB面ベスト的な自選五首を呟く Twitter上の上記ハッシュタグのツイートを準備するために、主に「うたの日」からピックアップしたものです。 天気雨きらきら 電話ボックスの君の世界には僕はいない ロブスターたいへんクルーズどころじゃないロブスターたべるのがたいへん 蜘蛛の仔よ飛べ成層圏に星降る日 光る風とは君らのことだ ヴィンテージの重さは透明な時間 いまそこにHYSTERIC GLAMOUR 迷宮の奥には古き龍が棲み人の

          2022年短歌ピックアップ