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月の過去作

中秋の名月。
月にまつわる短歌俳句の既発表をまとめました。
(欠けた状態の月を詠んだものは除外)

この光に混じれば夜空へ昇れそう満開の蕎麦畑へと月

雨上がり月に向かってまっすぐに光二本の轍が昇る

ひさかたの光の轍に導かれ月へ至らむ雨上がりの畔

夏よりも透明な穹(そら) 水底の月の青さは地球の光

硬さ失ひやゝやはらかくありぬべし蟷螂の腹ほど満つる月

クレーターだらけの先輩の頬を指でなぞれば月の裏側

地の底の陽に炙られている月とヴィヴィアン・ウエストウッドの星空

数学Aはいつも通りで粘菌が月の反動で対頂角へ

月光にやさしく濁る空がいい正しすぎるのはちょっとこわいよ

スーパームーンてふ月迫る夜なれば姫けふ月へと渡るらむかし

きったねえプライベートをきったねえパンツで隠して月が綺麗ね

後悔に追われる帰り道もある 静かに沈む十月の月

痛覚を心に残したまま走る県道月の鏡の十六夜

満ちてゆく月を途中で飲み込んだような顔して戻ってきた君

あゝなんて青いのだ月透けるその水の底に我あの底に月

菜の花に月を浮かべてその月が沈まぬように自転車を漕ぐ

天頂に程近い月地平線に程近い星 僕が生まれる

ハーベストムーン二人で見た日から二つの月を宿したままの

深呼吸したら月吐き出したかも

月在りて針穴ほどのオリオン座

凍て風に月吹き散らす涙かな

#中秋の名月 #十五夜 #tanka #haiku

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