を信じること

先日、ちょっと落ちついた時間が持てた休日に思ったことを書きとめておく。

■自分の中から生じたものを、信じぬく。

短歌をつくる。俳句をつくる。
思いつきでつくる。苦心してつくる。

毎月末を迎えて自選をまとめるにあたって自作を読みなおすと、作ったときの心の躍動が喪われていて、まったくつまらないものが並んでいる。いっさいの自信をなくし、心に不安が満ちる。

でも、
自分の中からつるつると引き出されて作品になったものは、自分の一部をちぎってこねて作った粘土細工みたいなものだ。仕方ない。愛そう。

「前へならえ」腰に手をやる誇らしき我が子よお前が基準なのだね/水沢穂波

歯車を合わせるためにありのままの心のなかに遊星をもつ/同

二度と来ない知らない街のコンビニの時給を確認しながら入る/同

水田は夜空を映し星々を受け止めきれず鳴く蛙たち/同

ぼくの背にチャックがあってその中に素敵な人が入ってたらいい/同

月面の染みがとれない半月になるのを待って端から剥がす/同

唇を噛む要領で駐車券咥えてこっそり唇を噛む/同

十年を知るハンカチに拭われる/月岡方円

かたつむりほどのかたさのこゝろかな/同

単線のレール露わに秋出水/同

かなしいことなんかじゃないよ鰯雲/同

天狼は駆けて夜空を我ひとり/同

花手水凍つて綺麗が透けてゐる/同

春待つや半人前の呼気の色/同

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