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#54 Oliviaの意地

ダイニングルームにはすでに
たくさんの料理が並んでいた。

午後からも作業があるためか
サンドイッチやフルーツ、グリルチキンなど
比較的軽いモノが中心だった。


洞窟の中では
ほとんど小声で必要な時しか話さなかったチームだが
ダイニングルームでは
声のボリュームはみんな大きめだった。


「いつも食事はこうやって一旦戻るんですか?」

それぞれが賑やかに談笑する中、向かいの席で
グリルチキンを豪快に食べるStuart(スチュアート)
聞いてみた。

Stuartは最年長で
この道約35年のベテランらしい。
数年前まで20年以上もキャプテンも務め、
現在は、若手を育てるためにキャプテンを退き、
副キャプテンとしてAlexを支えているようだ。

「いんや、本格的に作業を始めたら
中で食べることが多いな。
いちいち行ったり来たりしてらんねぇ。

今日はお前さんらもいるし
まだ洞窟の全体がわかっていないんでな、
下見みたいなもんだ。
全容がわかるまでは慎重にせんといかん。」

「それほど危険ってことなんですね…」

「あぁ。危険な生物に出くわしたり
良くない儀式が行われていたりな。
あとは洞窟が崩れてきて巻き込まれた
ひとたまりもねぇ。」

「どれも全部怖い…」

「俺の見たとこじゃぁ、
この洞窟は崩れないかくらいだな、心配なのは。
最近の生物の痕跡とか
儀式の跡らしいもんはなかったしな。」

写真 2014-03-05 7 33 19

私とOliviaはデザートを食べ始めても
チームの皆はまだ談笑しながら食事を摂っていた。

ふと気が付くと、Alexの姿がなかった。


「あれ、Alexさんは?」

「さっきの卵のことを調べるって言って
作戦ルームに行ったみたい。

あ、私、ママの部屋に
取りに行きたいものがあるんだけど
一緒に行かない?」

「うん、行く!」

Stuartにそのことを伝えて、
私達はダイニングルームを出た。

写真 2021-02-21 7 59 17

しかし、
OliviaはなぜかAlexの部屋の前を通り過ぎた。

「あれ?何か取りに行くんじゃなかったの?
Alexさんの部屋、ここでしょ?」

「あぁ、アレは違うの。
ねぇ、洞窟、探検しましょ!

「いやぁ、危ないって言ってたよ…」

「そんな奥まで行かないわよ。
さっきもなんにも危ないところはなかったし。」

「でも、もうすぐしたら
またみんなで入るんでしょ?」

「そう、だからその前に入りたいの。
私が何か見つけたい…!

Oliviaは、この日ずっとそう思っていたようだった。

「多少の怪我くらいは、私、治せるし、
あなたを浮かして運ぶくらいもできるわよ。
だから、大丈夫!
すぐ出てくるから。ね?」

「わかった。でもホント
危ないことはしないでね…」

「わかってるって。大丈夫!」


そう言って私達は
2人だけで洞窟に入っていった。



これがOliviaが
意地になっていた時のおはなし。
続きはまた次回に。


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