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#77 妖精のためのファータの華

「そうだ!
M.ちゃん、Fata(ファータ)の樹はもう見た?」

花冠を3つ、腕輪を4つほど作り終えた時に
Sophia(ソフィア)が言った。

ファータの樹
扉のある、精霊の宿る樹じゃなくて?」

「ううん、違う。
ファータの樹には綺麗なお花と実がなるよ!

「そうなの?見てみたい!」

「連れてってあげる!来て!」

私は小走りのSophiaについて行った。


道のようなモノはもう何もない
ただ丈の短い草が生えているだけの地面だった。

たくさんの木の根や軽い凹凸に
足を取られないように必死について行った。


「ほら!これだよ!」

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指差す先にたくさん生えている木は
高いところで2mほどしかない小ぶりの樹だった。

その樹のあちこちに
不思議な華が咲いていた。


華の中心がぷっくりと大きな球体で
その中にはとても小さいシャボン玉のような粒や
今にも弾けそうな大きな気泡が入っていて
見る角度で色が微妙に違った。

鮮やかな水色と思えば深い青、紫を見せたり
優しい赤と思えば、キレイなピンクや黄色を見せたり
薄いブルーと思うと、柔らかな緑が現れたりしていた。


その大きく開く花びらは
どれも水を蓄えているようで
全体的に濡れているようなテカリがあった。

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「綺麗でしょー?」

「うん…すごく不思議で綺麗なお花だね…」
私はその華から目を離さずに答えた。

風で枝や葉が揺れ
陽の光が差し込んだ華から
虹のような光を強く放ったからだった。

Fata(ファータ)のことは知ってる?」

「うーん…わからない。
Fataってなに?」


「Fataはね、この森に来た最初の妖精なの。
Fataがこの樹を作ったの。」

「樹を作ったの?」

「そう!すっごく昔の話だよ。
昔はね、妖精の数がとても少なかったんだって。
それでね、妖精の数が増やすためには
妖精が棲める居心地のいい森を増やさなきゃって。」

「なるほどね…
それでこの森を見つけて
ここを妖精の棲む森のひとつにしようってこと?
それじゃ他にも妖精の棲む森はあるの?

「そうだよ。森は他にもあるけど
すごく遠いから、大体みんなここから出ないの。
私はちょっと行ってみたいなぁ。」

Sophiaは目を輝かせながら言った。




これが妖精のためのファータの華
初めて見た時のおはなし。
続きはまた次回に。


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