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品回口
2021年8月15日 23:49
年中蒸し暑く、雨の絶えないその土地には様々な虫が生息している。人々は虫を食べ、売り、身につけ、そして弔う。 正確に言うと、虫そのものを弔うのではなく、虫を人の弔いの形代とする。 虫の羽や外骨格で飾られた装いをきらびやかに纏う人々は、死してなお虫に彩られる。 この地の死者の身体は埋められるのでも燃やされるのでもなく、森にただ置かれる。湿度の高い屋外に全裸で放置された遺体はすぐに腐敗し、独特
2021年8月11日 01:25
乾いた風の吹くその土地には、簡易なレンガ造りの家が並んでいる。 この地に住む人々が成人するタイミングは、その者の両親がどちらも死んだ時である。それが何歳であろうと、両親が死んだら一人前として扱われる。そして、一人前となった証に同じタイミングで成人したパートナーと住む家が建てられる。 家の土台には、それぞれの両親の遺体を固めたレンガが使われる。部位ごとに分けられた遺体を埋めたレンガは、それ