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【読書記録】「対話型ファシリテーションの手ほどき」をデザイナーにオススメしたい

デザイナーは仕事の性質上、ファシリテーションの力が必要になる場面が多いものです。
作る前の段階でのヒアリングやユーザーインタビュー、作っている最中は他のメンバーやクライアントからフィードバックをもらうなど、「対象の人物から求める情報を適切に・正確に引き出す、またそのために会話の進行や話す場について設計する」ことは最終的なデザインのクオリティへダイレクトに反映されると考えています。

私もデザイナー歴そろそろ5年目、もう一段アップしなければならないポイントはここだな…と切実に感じるようになってきました。
そこでお勧めされた「対話型ファシリテーションの手ほどき」という本が非常に良書だったため、ざっとした紹介と特に私にとって何が良かったのかを書いていこうと思います。

(あまり厚くないですがその分要点が簡潔に抑えられており価格も880円…とそういう意味でもすごい本です)

本の概要

さて、私が具体的に説明しすぎても間違って伝わる気がするのと、ぜひ本を読んで欲しいのでざっくりとだけ本の概要紹介です。
この本は題名の通り「対話型ファシリテーション」というファシリテーション手法のやり方と事例を紹介する本です。

また、「対話型ファシリテーション」とは『相手から起こった事実だけを聞き出すことにより、改めて物事を俯瞰的に見られるように相手の認知を促す』といった内容になります。

これを作者の中田さんが実際に実行した際のエピソードとともにお送りする、というのがこの本のおおまかな構成です。
もともとは連載コラムだったようで、1章ごとも短くまとまっており、非常にテンポよく読み進められます。

どこが良かったのか

エピソードが一緒に紹介されているので理解しやすい

まず上にも書いてある通り、中田さんが実際にこの「対話型ファシリテーション」を実行したエピソードが中心に1章が進むため、『対話型ファシリテーションの実施による経緯と結果』が非常にわかりやすいです。

正直なところ論理だけ説明されると何度も読み返したりすることになる人間なんですが、この本は上記のようにエピソードがついているので理解および実際に自分がやるとしたらいつ使えるか?ということが想像できました。

デザイナーは特にすぐ実践できるような事柄が多い

この対話型ファシリテーション、名称と前述の通り「対話時に相手からとにかく事実を聞き出すこと」「事実を聞き出すことで物事を俯瞰的に見られるように相手の認知を促すこと」を主題にしています。

この特徴はとにかくデザイナーの仕事に対して即効性が高いと感じました。というのもデザイナーの仕事は認知を操るもので、認知を操るためにユーザー像やターゲットについてなどをクライアントやユーザーから正確に把握する必要があるためです。
仕事をする上でも「あ、この話には相手の"こうであってほしい"が含まれているな」「話を聞いているうちに相手が話していることが本質ではない気がしてきた」と感じる場面は多いです。
しかし本を読むことでこれは別に相手が悪いわけではなく、人間はみんなそういうものであり聞き出す側がそれに対してうまく対処することでちゃんと解決できるのだ…ということに確信が持ててなんとなくやってみたらいいことがわかるようになりました。

以下に、読んだ際の学びのメモを書いてみます。

  • 「なぜ?」と聞かない

    • 「なぜ?」「どうして?」を聞くと言い訳するように人間はできている

    • 「いつ」「どこで」「誰が」「何を」を振り返ることで話す側が状況を俯瞰的にみられるようになっていく

  • 「いつ」は「いつもは」の質問にしない

    • 「いつもは」になると一般化されたあやふやな質問になるのであくまでも"事実の一例"が聞ける「今朝は朝食を食べたか」「昨日は料理をしたか」などの聞き方を心がける

    • 事実・データを得ることによって話者の主観が入らない結論を聴者が下すことができるようになる

  • 一般化された質問、相手の考えや意見を求める質問は誘導になる

    • 例えば「こういうのはどうですか?」「これは問題ではありませんか?」など

    • 『相手の現実(事実)を知るための質問』ではなく『相手の考え(コミュニケーション上の配慮や無意識の作り込みが含まれた回答)を求める質問』になってしまっている

どうでしょうか?なんとなく、デザイナーの仕事でそのまま活かせる場面が想像できると思います。というか過去の失敗の記憶が大量に蘇ってくるくらいです。
こんな感じの学びが大量かつシンプルに得られるのでとりあえず読んでおいて損はないですよ、という超オススメの気持ちでした。ちなみにファシリテーションという情報収集フェーズのお話だけでなく、問題を解決するフェーズのお話まで入っていますよ。

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