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「えいっ!」とドアを開けてみる勇気。

今日は、家から徒歩13分ほどのところにある喫茶店にひとりで行った。

「あぁ、今あの店に行って、ご飯をたべてお茶を飲んで本を読めたら、今日の締めくくりとして文句ない。」と思ったので、一直線にそそくさと歩いて行った。

この店にひとりで来るのは、今日で3回目。

最初は、とっても緊張したのを覚えている。

べつに常連さんが集っていて入りづらいってわけでも、穴場すぎてお客さんが全くいないというわけでもない。

レトロで落ち着いた雰囲気ではあるけれど、広々としていて割と賑わっていて、喫茶店界隈では知名度も高いほう。

今日も、近くの席で話していた男女のグループが各々の結婚観についてまぁまぁ大きな声で話していて、それが店内のBGMの一部となっていた。

そんな店であっても、わたしは「チェーンじゃない店」に行くのに、かなり勇気が必要なタイプだ。

先に自分で注文するタイプ?それとも席についてから注文するタイプ?とか。

自分だけ一人で来ていたらどうしよう?店内で浮くんじゃないか?とか。

ていうか一人でご飯を食べてるときって、どこを見ていればいいのか分かんなくない?とか。

とにかく、そういうことをあれこれ勝手に想像して、「やっぱり行くのやめよう」となってしまうことがとても多い。

これは「バスの乗り方」も同じだ。

そのバスが中乗りなのか、前乗りなのか、Suicaが使えるのか、使えるとしたら先払い制なのか後払い制なのか、など…

「そんなの、聞けばいいじゃん!」ときっとみんなに思われる。

わたしもそう思う。聞けばいいんだよ!って。

けれどどうしても苦手なのだ。その場であたふたしているときに、バスの運転手さんに怒られるんじゃないかとか、店の人に余計な手間をかけるんじゃないかとか。

わたしは他人からの指摘にかなり敏感な方で、予想外に指摘されると、たとえ些細なことであってもすごく落ち込み、はずかしさでいっぱいになる。

今までそんな経験を何度かしたことがあるので、繰り返したくないというきもちが、自分の行動を抑制している部分がある。

そんな自意識過剰でビビりのわたしも、たま〜には勇気を出して、未知の世界へとつながるドアを「えいっ!」と開けてみることがある。

実は昨日も、家から徒歩10分ほどのところにあり、いつも家から駅に行く途中で見かけるたびに気になっていた店のドアを、「えいっ!」としてみた。

この決断も、わたしにとってはかなり勇気が必要だったけれど、一度開けてしまえばなんてことはなかった。

店内にはわたしと同じようにひとりで来ているお客さん(仕事帰りらしきYシャツ姿の男性が2名)がいて、それぞれがそれぞれのスタイルで食事をたのしんでいた。

店員さんはとくに驚いた表情を見せることもなく(当たり前だけど)メニュー表を渡してくれた。

「お酒飲みたいなぁ…でも、ひとりでお酒を注文するのはちょっと気が引けるな…
それにお酒控えるようにしてるしな…」という葛藤の末、オムレツだけを頼むつもりで店員さんを呼んだ。

なのにその数秒後、わたしはオムレツを注文したついでに、べつにたいして飲みたくもないアイスティーも注文してしまった。

オムレツだけを頼むよりも、アイスティーといっしょに頼む方が、「自然」な感じがしたからだ。

「自然」を演出するために、飲みたくもないアイスティーを頼む。

わたしはそんな奴なのだ。

入店早々そんな一幕があったものの、そのあとは至ってフツウに、オムレツを食べてアイスティーを飲んだ。

いや、そのオムレツは想像以上においしかったし、アイスティーだってなぜだかおいしく感じた。いや、アイスティーは美味しい。そのことを思い出させてくれた。

店には大きめの音で洋楽のBGMがかかっていて、店内も「ちょうどよくオシャレ」な雰囲気。個人的食べログ、星4つ。

こんなに気軽に、おいしいものが食べられるなんて、最高じゃないか。

ずっとここにあって、通るたびにいつも視界に入っていたはずなのに、まるである程度ゲームを進めたときに登場する新しい施設を手に入れたような気分だ。

一度、その中身を知れば、想像できる。

店の前を通って外観を見たとき、透視するみたいに店の中を想像し、自分の姿をそこに置いてみる…

そんなシミュレーションができてしまえば、もうそこはわたしにとっての居場所となる。

「大丈夫、入れる!」

そう思える場所が町に増えるほど、町はすこしずつ、自分の手のひらの中に取り込まれていく。

「この街はもはや自分にとっての庭です!」と言っている人がたまにいるけれど、あぁいう人っていいよなあ、と漠然とした憧れを持っていた。

きっとそれって、居場所の数なんだと思う。

居場所の数が多いということは、日々ころころと変わっていく自分に合わせて、”今の自分”が一番スポッと当てはまるような場所をえらべるということ。

人はしょっちゅう変わるし、ずっと同じところに居留まってそこに適応しようとしつづけているのは、息苦しい。

だから生活には、できるだけ居場所を見つけておいたほうがいい。

いろんなドアを、「えいっ!」としてみる勇気。

これを持つことが、ことしの目標の1つでもあります。

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