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10年前のあの日の記憶14

電気が復活したことで、マンションの貯水槽から水を動かすことが出来るようになり、水道も使えるようになった。

ライフラインが二つ一気に戻ったことで、とても便利に感じた。

しかし、相変わらず公共交通機関は復活せず、通勤は自転車。

震災後の混乱による業務増加と、休んでいた間に溜まっていた分を消化するのにしばらくは早朝出社、深夜退勤を繰り返す日々だった。

そんな生活に慣れるほど日数は過ぎたが、ガスだけは中々復旧しなかった。

ガスが無いと一番困るのはお風呂。

まだ雪が降ることもある季節だったのでなんとかなったが、これが真夏だったらと思うと気が遠くなるような気持ちだったのを覚えている。

仕事から帰宅し、以前ホームセンターで購入した卓上IHと灯油ストーブで熱湯を作る。

それを湯船にはった水に少しずついれ、ちょうどいい温度に整えて頭や身体を洗った。

ガスが復旧したのは4月に入ってからだったと思う。

震災発生から長い間ガスの無い生活を続けていた為、

『湯船に浸かる』という日常の中の些細な行動がとてつもない贅沢なことに感じられ、しばらくは慣れなかった。





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