相合傘
ばかみたい。
手をつないだことも自分からなかったことにしちゃった。
酔っぱらっていてもちゃんと覚えていたし、ちゃんと意思があったのに。
すぐそばにあなたの手。
本当はずっと触れてみたかったの。
お酒は私の背中を押しただけで、その指、握ったのは私だよ。
あー話し足りないな。
20時じゃまだ夜も更けていない。
こんな時間に街に放り出されて、ひとり、帰るしかないなんて。
気持ちを伝えたら困るかな、困るよね。
言わないよ、言わないけど、もう爪の先から、触れる肩から、瞬きを繰り返すまつ毛から、今にも漏れてしまいそう。
困らせたくはないんだけど
この関係も大事にしたいんだけど
私の気持ちも大事にしたいの。
あー話し足りないな。
家に着く前にもう一度声を聞きたい。
肩にまだ体温が残るうちに。
雨なんて、ほんとばかみたい。
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