国税庁「宗教法人の税務」を読む 1/2
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国税庁「宗教法人の税務」を読む 1/2

◆『宗教法人の税務』、ご存知ですか?


毎年、国税庁が作成しているパンフレット『宗教法人の税務』。今年も1月に国税庁のサイトから公表されています。

株式会社366の4月のオンライン勉強会のテーマは、このパンフレットでした。

こちらは宗教法人に関するすべての税金について網羅する書類ではなく、宗教法人の税務で、特に気をつけるべき点をハイライトした解説文書です。今年はA4サイズ28ページで綴られています。

税理士の齊藤稔氏によると、財務省は1999年に、源泉徴収義務を負う全宗教法人の約5%に対し税務調査を行い、調査を受けた宗教法人の約74%に不備が発覚。総額で20億円の追徴課税がなされています。

この金額を大きいと見るか、小さいと見るか、絶対的なものさしはありませんが、「坊主丸儲け」という言葉が独り歩きする時代ですから、一般法人以上にコンプライアンスを大切にする姿勢は大切です。


◆お坊さん個人に免税制度はありません

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「税金を払わない坊さんが贅沢な暮らしをしている」といった声は、お坊さんとお金に関するトピックスの中によく見られます。

ご存知の方も多いのですが、お坊さん個人が不課税・非課税の特権を受けている事実はありません。多くの宗教者は、宗教法人から給与所得をもらって暮らしていますが、この給与は一般の企業に務める人と何ら違いはありません。

法人に属さず、個人で宗教活動を行っている宗教者に対する収入を不課税・非課税にする法もありません。

不課税の話は、「宗教法人が宗教活動によって得られる所得に課税されない」ということと、「宗教法人が宗教活動に使う固定資産には資産課税されない」という原則のことです。


◆お坊さん特有の源泉所得税のポイント


お坊さん個人に対する宗教法人からの支払いについての税金のポイントは、源泉徴収に関することです。

パンフレットでは、給与以外の経済的利益の供与や現物支給について、事例を上げて解説しています。

たとえば、お寺の息子さんが宗門系の学校に通うからと言って、その学費をお寺の財布から支出すると、これは住職などへの給与とみなされ源泉所得税の対象となります。住職が個人の財布から負担すべき飲食代などを、お寺の財布から支払った場合も、お寺から住職に給与として渡されたものとみなして、源泉徴収の必要が出てきます。

例外の話も記載されています。

一般の法人では、法人が所有または賃貸する住宅などを、その役員や従業員に無償または低額で貸与した場合には、本来あるべき賃料との差額を給与所得とみなされます。お寺や神社には、この点の例外が認められていて、庫裏(お寺の敷地内の住職の住宅)に無償で住職が居住していても、給与とみなされることはありません。

この点についてセミナーの参加者からは、庫裏で使った水道光熱費はどうなるだろうという質問や意見が出され、それぞれのお寺の事例や意見交換がされました。

ちなみに、医療法人でも、お医者さんが無償で病院の敷地内に住むことは認められません。そういう意味では、この点は「住職」という存在の特異性と言えるかもしれません。

次回は、宗教法人に法人税が課されるケースについて、パンフレットの記述を追ってみます。


参考リンク
宗教法人の税務 令和3年版
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/r03_shukyo.pdf


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お寺のDXと墓地経営を支援する株式会社366です。 366の社内勉強会や宗教者向けセミナーから、学習のテーマになった内容を深く短くお伝えしていきます。366CEO伊藤のnoteはこちらから→https://note.com/ito366