鯉に【ありがとう】と思えたこと
買ったばかりのリュックを背負い、紫外線防止の帽子をかぶり、準備万端で家の扉を抜けた。外へ踏み出した一歩は、その後の私の道を一つの冒険物語に転換してくれた。
途中、ビルの合間を優雅に泳ぐ鯉を見つけた。うまいことバランスを取りながら、水の中を移動していく姿が、私の心を惹きつけ、暫く彼らの泳ぎを見ていた。縁から覗くと、彼らの頭上には、凝視する私の顔が見えただろう。
じっと見つめる私の空間に鯉たちが近寄ってきた。色も姿も異なる鯉も全く同じ1匹は見当たらず、人間と同じだなと思った。