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国産手術支援ロボット「hinotori」感想:Medtec Japanに参加しました。

written by 病院建築note@医療機器出身のゼネコン社員

昨日東京ビックサイトで開催されている
Medical ICT / Home Healthcare Expo にいってきました。

■hinotoriとは

このイベントには川崎重工とシスメックスが合同で製造している手術支援ロボット「hinotori」の展示がありました。

これまでロボット手術市場は米国インテュイティブサージカル社が製造する「davinch」の独壇場でしたが、「hinotori」は初の国産手術支援ロボットです。現在全国で約30施設に導入されているそうです。

私は前職で手術用の内視鏡を扱っていたので、個人的にすごく興味のある製品でした。

前回リニアックなどの放射線治療器が病院建築に与える影響について書きましたが、手術支援ロボットも同じように病院建築に影響を与えます。

手術支援ロボットは重量が2トン程度あるので、床の耐荷重を十分にする必要があります。またサイズが大きいので看護師の方が運搬しやすいような動線を考える必要があるからです。

ロボット手術の性能を引き出すには手術室の設計から工夫することが必要です。

手術支援ロボットによる手術は2009年から販売されていますが、当初泌尿器科など一部の手術しか保険適用されておらず、その他は自費診療になるため導入が進んでいませんでした。

しかし現在は消化器外科の手術でも保険ができようされており、更に導入する病院が増えることが予想されます。2024年度の診療報酬改定でも保険適用の診療科が拡大される可能性が高いです。


■hinotoriの所感

私は前職でよくダヴィンチと競合していたので、製品の仕様は良く知っています。今回営業の方からもhinotoriの仕様を細かく聞くことができました。

医療機器は外資メーカーが多い中で、国産の製品を応援したいので今後の期待を込めて率直な所感を書きます。

■超音波凝固切開装置が使えない!!

これは大きなデメリットです。特に悪性の手術では細かい血管の処理があるので、電気メスだけでなく緒音波凝固切開装置を併用します。

ところがhinotoriの現在の仕様だと、超音波凝固切開装置が使えないとのこと。

この仕様だといままで超音波凝固切開装置を使っていた手術をロボット手術に切り替えることができません。

大腸がんや胃がんでも保険適用はされていますが、超音波凝固切開装置が使えないと、hinotoriでがんの手術をするのは現実的に難しいと思います。
超音波凝固切開装置を使わない泌尿器科では重宝されるかもしれませんが、複数診療科で使用できないと費用対効果が悪く、病院がロボット手術に投資できないと思われます。

ダヴィンチはロボット手術専用の超音波凝固切開装置が使えます。

■ビデオシステムが海外製(カールストルツ製)

初めての国産ロボットですが、肝心のビデオシステムが海外メーカーのものでした。しかもIMAGE1という腹腔鏡用のビデオシステムで手術ロボット専用の機種ではありません。

画像も4K相当とのことですが、フォーカスが甘くいまいちな感じでした。

是非自社で無理ならOEMでも良いので、手術支援ロボット専用のビデオシステムを作って欲しいです。

■トロッカーがhinotori専用

ダヴィンチは内視鏡手術と同じトロッカーが使えるので、別に在庫を持つ必要がありません。またバルーントロッカーという固定力が高い製品が使えないのも気になりました。


まだまだ改良の余地があると私は感じました。
実際に臨床で使った医師の方の感想が気になるところです。

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