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ゼネコンの新製品開発プロセスに感じること:顧客原点と会社原点

Written by 病院建築note

今回はゼネコンにおける新製品開発について書きます。

ゼネコンはコアビジネスである建設業の他にも、様々な新製品開発に取り組んでいます。私の勤める会社も非建築業の売上創出を模索しており、DX関連を中心に数々の新商品が開発されています。

この新製品開発においても医療機器メーカーとの違いを強く感じています。

■ゼネコンの新製品開発に感じること

医療機器メーカーの新製品はドクターの声から作られた「顧客原点」の製品です。医療機器は命に関わる製品なので、顧客のための製品しか存在できないと思います。

新製品発売する際には開発理由に根差したセールストークも明確であり、売上目標含めた事業計画があります。

一方でゼネコンには高い技術力を活かした「会社原点」の製品が多くあります。

顧客の声を元にしたからといって、良い製品ができるわけではありませんが、技術力が先行して販売戦略は後回しになる傾向があると思います

もちろん、ニーズがあるのは明らかな分野なのはわかるのですが、、

新しい市場を創るという大きな可能性を秘めていますが、最初は具体的な顧客が存在しないため「何のために作られたのか分からない製品」でもあると思います。

■顧客原点の新製品のメリット・デメリット

■メリット 


・現場の課題を解決できる
・開発協力者からの売上が見込める

前職の医療機器メーカー時代に新型の内視鏡や超音波凝固切開装置の新製品開発プロジェクトに参加した経験があります。

私は営業だったので製品のプロトタイプを医者に使ってもらい、その評価を開発部隊にフィードバックする役割でした。

プロトタイプは各診療科で全国的に有名な「オピニオンドクター」の意見を元に製作され、多くのドクターから評価を取得して製品改良していきます。

製品を使う顧客の声を元に製品が作られる「顧客原点」の考えです。

そのため新製品の開発理由、他社優位性も明確な場合が多いです。開発に関わったドクターは製品を愛用してくれるので、ある程度の売上は見込めますし、開発を通してドクターとの繋がりも強くなります。

■デメリット


・開発に時間が掛かる
・顧客のために作っても、事業化できるとは限らない

顧客原点で新製品を作るためには、開発協力者を選定する必要がありますし、ヒアリングにも時間を要します。

またヒアリングの結果、新製品の構想ができても技術的に実現が不可能だったり、コストの観点から事業化できない場合も多々あります。

実際に医療機器メーカー時代にもドクターから入念に評価を取得して良い製品ができたものの、量産化に向かなかったり、耐久性の弱さの問題から最後の最後で製品化できずに絵に描いた餅に終わったこともありました。

■会社原点のメリット・デメリット


その点、会社原点であれば会社にある技術から製品を考えるので、製品化できる可能性は高く自社の得意な分野で勝負することが可能です。

もしこれが顧客のニーズとマッチさえすれば、非常に魅力的な事業になり得ます。

ただ上手くマッチしないと前に述べたように「何のために作られたのか分からない製品」にもなり得ます。

特にゼネコンは顧客との距離が遠く、接点があっても部長級以上がメインで現場の声をひろったり、逆に製品の良さを現場に届けることが難しいと思います。

製品ができてから、開発部署が営業に対して「どうやって売ればよいか?」聞く場合も多く感じます。営業からすると「何のために作ったの?」「どうしたいの?」と不思議に思うこともあります。

このように新製品開発には顧客原点と会社原点があり、ゼネコンの場合は会社原点の新製品が多いと思います。

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