見出し画像

SaaSのリリース前後1年におけるMA・SFAのアレコレ - LayerX インボイスの場合-

TL;DR

【こんな方に読んでいただきたいです】
* LayerX の採用やLayerXの営業組織に興味がある方
* SaaS・営業組織の立ち上げ期から拡大期におけるMA・SFAに興味関心のある方

【TL;DR】
* 探索期・リリース前:AirtableのSales CRMを利用
* リリース後〜現在:AirtableとHubSpotをZapierでデータ連携させて利用
* 今後:SalesforceとHubspotを利用
* 意識したこと:最初からToo muchなことをしない。フェーズによって変わる前提で最初からガチガチにせず、柔軟にSaaSを繋げて使うことでコスト(時間・実費両方)を抑え、最初のトラクションを出すことに集中する。

1. はじめに

どうも、すべての経済活動をデジタル化したい、牧迫(@35_mki)です。
LayerXのSaaSプロダクト「LayerX インボイス」「LayerX ワークフロー」のビジネスサイドで色々やっているマンです。

代表の福島(@fukkyy)が、先月「LayerXはブロックチェーンの会社じゃありません、という話」というnoteを公開しまして、多くの反響をいただきました。

LayerX = ブロックチェーンの会社

というイメージをされる方が多いかと思いますが、現状は「LayerX インボイス」のようなSaaS事業であったり、三井物産等との合弁事業である「三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社」など、「すべての経済活動を、デジタル化する。」ために、手段は問わず全方位で社会のDXに寄与すべくプロダクト開発を進めております。

とはいえ、「LayerX のSaaS事業の営業組織ってどんな感じなの?」「自分が働くイメージが湧かなくて、、」といった質問や相談を受ける機会が増えており、正直あんまり内実が伝えきれていないのでは、、という背景から今回筆を取っております。

今回は営業組織で利用している・今後利用するMA・SFAについて書くことで、「なるほど、いわゆるSaaSの王道的な営業活動をしているのね」「自分が中で働くとしたらこんなツール使うのか」といった、より日常業務のイメージができるようなお話ができればと思います。

ですので、この記事を読み終わった後のゴールとしては、

「LayerX = SaaSの会社」「自分自身の経験も活かして働けそう!」

というイメージをもっていただけることです。

※ 採用目的の記事でありつつ、SaaSやB向け営業組織立ち上げ時に利用するシステムについて言及していきますので、新規事業立ち上げ担当者の方・事業開発担当の方にも多少なり意義のある記事にしていきたく思います。

2. お品書き

時系列で以下3フェーズ、どういうツールを使ったかをまとめていきます。

1. 探索期(2021.09-2021.12)
2. リリース後(2021.01-現在)
3. 拡大期(2021.10以降)

3-1. 探索期(2020.09-2020.12)

※ 営業担当:私含め2名

LayerX インボイスのパブリックリリースは2021年1月13日でした。リリース前のタイミング、私達が何をしていたかというと、「徹底的な顧客ヒアリング」と「紙芝居によるプロダクトデモ」です。
100社以上のコーポレート・経理担当者の方にヒアリングを行いながら、紙芝居で「こういうサービスあったら使いますか?」であったり、時には簡単なモックをエンジニアが作ってお見せして「どうなれば使っていただけますか?」ということを愚直にやっておりました。

“本サービスの開発にあたり、急成長スタートアップや上場企業、月間の受領請求書枚数が1万枚を超えるような大企業のコーポレート・経理担当者等、累計100社以上に業務課題のヒアリングを実施し、抽出した課題を解決するための機能開発・拡充を行ってきました。”
※ 2021年1月13日のサービスローンチプレスリリースより抜粋

この時期に使い始めたのが、Airtableです。

ご存知の方も多いかと思いますが、AirtableはリッチなGoogle Spreadsheetのようなもので、データベースライクに情報を集約していくことが可能なツールです。(データ量が増えなければ無料で使える点もベンチャー企業にとってのメリットです。)
Airtableには様々なテンプレートが存在しており、その中に「Sales CRM」というものがあります。CRM・SFAライクに情報を管理できるような設計になっており、このテンプレートを自社用に流用し、ヒアリング企業様の情報を管理する簡易的なCRM・SFAを構築しました。

スクリーンショット 2021-09-15 23.01.18

※ Sales CRM Templateページのキャプチャ

使い勝手も非常によく、AirtableのSales CRM上にヒアリング先企業様の情報や担当者様の情報、利用されている社内SaaSの種類やヒアリング時のコメント、機能要望などさまざまな情報を集約していくことで、「どの企業がどういった機能を欲しているか」が可視化され、「どこまで作ればこの企業は利用いただけそうか」といったアクションを含め立てられるようになりました。

このフェーズにおいては、営業をしているわけではなく、あくまで「ヒアリングの情報をまとめる」レベルであったので、SFAほどリッチなものは必要なく、チームメンバーである程度のルールに従って簡単に更新・情報共有ができるデータベースがほしかったということもあり、Airtableが非常に役に立ちました。利用も無料なのでデメリットなしでした。

3-2. リリース以降(2021.01〜現在)

※ 営業担当:私含め2名からスタートし、現在は10名以上に拡大。

当初LayerX インボイスは2021年3月頃をローンチターゲットとしてプロジェクトを進行しておりました。ところが、2020年12月末に「これなら利用させてほしい!」という実際のお客様が現れはじめます。更に、2021年・年初のタイミングで緊急事態宣言の再発令が決定されました。
このような流れから「リリースするなら今しかない」ということを1月4日に行った経営合宿で決定し、1月13日にサービスローンチすることを決定しました。

・・・???

サービスローンチまで10日を切った状態にいきなり追い込まれました。
サービスローンチを決めたものの、サービスサイトもなければ、お問い合わせを受ける口も顧客管理する基盤もありません。そもそもヒアリングのタイミングでは、「ファネル」など全く意識していないのでどういった営業プロセスで回すかさえ決まっていません。そもそもローンチしてちゃんと売れるのか...?

そんなことを考えている暇もないので手を動かします。Unstackというノーコードツールで1日でLPを完成させ、MA・SFAの調査を始めます。

・Salesforceを使い始めるには時間がないし、営業プロセスも固まってない
・とりあえずフォームの作成でき、リード管理・MA・SFAができるもの

ということでHubspotの無料版を調査がてら触り始めます。(このときローンチ5日前)

やりたいことは基本的に全てできることは確認できた一方、

Airtableの簡便さに比べると、HubspotをSFAとして利用すると、入力・更新の工数が激増する
(※そもそも細かい設計やプロパティ設定をしている暇がない、、)

ということは大きな課題と感じました。

「きれいなデータをきれいに貯めること」よりも、「多くのお客様との商談をセットし、高速でPDCAを回した方がよいフェーズ」であり、入力コストは最小化したい。
入力画面さえHubspotではなく、Airtableにできれば入力も楽なのに・・・

ということで以下結論に至りました。

Hubspot と AirtableをZapierで自動データ連携させる

スクリーンショット 2021-09-16 0.22.53

Zapierを利用しHubspotとAirtableを相互同期させることで、
・MA/CRM:Hubspot
・SFA/商談管理:Airtable
を実現し、商談のフェーズ管理をAirtableで行うことで、入力コストを最小化しつつ、最低限のデータはHubspot側に蓄積させる構成をとりました。

構成としては以下のイメージです。(ローンチから9ヶ月ほどこの構成で運用しています。※ Unstackは別のSaaSに載せ替え済)

スクリーンショット 2021-09-16 0.06.31

ざっくりした流れは以下の流れになります。

① お問い合わせフォームから流入 → Hubspot上にコンタクト作成
② 商談化タイミングでHubspot上で取引を作成
③ 取引の作成をトリガーにZapierをkickし、AirtableにHubspotの取引情報を反映
④ Airtable上でデータが更新されるとHubspotにもデータ連携

入力工数は最小化しつつ、データの蓄積も一定担保しながらより多くのお客様に会い、オペレーションを深化させることに時間を投下することができました。

3-3. 拡大期(2021.10以降)

これまでAirtableとHubspotをZapierで組み合わせて運用してきましたがそろそろ限界のようです。
Field Salesの入力はAirtableがメインでしたが、入力・更新しやすい反面、以下のようなデメリットが生まれ始めていました。

・簡単に編集できすぎてしまうため、データが荒れる
・入力必須などの設定はできないので、トラックしたいデータが取れなくなる
・入力項目が増えていく中で都度Zapierをメンテする工数が増える
・新しいメンバーへの説明コストが高い(オペレーションの型を伝えづらい)
・請求や更新商談、契約管理を絡めた後続処理の煩雑化に耐えきれない

こういった背景から、Airtableの運用を辞め、今月からベタではありますが、Hubspot + Salesforceの構成に切り替えることになりました。

スクリーンショット 2021-09-16 0.23.58


※ Salesforceへの移行プロジェクトについては、後日弊社のSalesforceお兄さんが別途noteで解説予定です。
※ データも沢山クレンジングいただきました、、頭が上がらない、、

4. 終わりに

いかがでしたでしょうか。なかなか泥臭い話も書かせていただきましたが、弊社もベンチャー企業として愚直にサービスやプロセス改善を進めているところです。

意識したこととしては、

・最初からToo muchなことをしない。
・フェーズによって変わる前提で最初からガチガチにせず、柔軟にSaaSを繋げて使うことでコスト(時間・実費両方)を抑え、最初のトラクションを出すことに集中する。

というところです。
キレイに全部やりきるより「意図的に雑にやる」場面も時として必要になることも頭に入れて、引き続きサービス改善とオペレーションを進めて行きます。

ということで長くなりましたが、サービス利用者・お客様の大幅増加につき、弊社積極採用中です!
「面白そうなSaaS企業だな!」「話を聞いてみたい!」と思われた方は以下からお問い合わせいただけると幸いです。

カジュアル面談はこちらから↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?