青春スターがパンツを脱いだ!?イメージぶち壊し大作戦 映画「チャ・インピョはどこへ消えたのか?」 #567
この映画はターニングポイントになるかもしれない。
1994年に韓国で放送されたドラマ「愛をあなたの胸に」で、トップスターの仲間入りを果たしたチャ・インピョは、甘い系のイケメンで、筋肉ムキムキの俳優です。「財閥二世のお坊ちゃま」役で一斉を風靡したけれど、そのイメージを更新できないまま、20年あまりが経ちました。
その彼が、自身の過去をパロディにした映画「チャ・インピョはどこへ消えたのか?」に本人役で出演。イメージを打ち破る演技を見せています。
<あらすじ>
かつての人気スター“チャ・インピョ”は、山歩きの途中で泥だらけになってしまい、通りすがりの男に勧められて女子高のシャワー室を借りることに。ところがシャワーをひねったとたん、建物が崩壊。がれきの下に閉じ込められてしまう。助けを求めようとするが、自分が裸なことに気がつく。救助か、スターの体面か。地上では責任のなすりつけ合いが始まってしまい……。
過去のプライドを捨てられない人ほど、つらいものはないのではないでしょうか。トップスターと呼ばれ、主役にキャスティングされるけど、恋愛ドラマという年齢でもなく、なんとなくビミョーな空気が漂ってしまう俳優は、日本にもいますよね……。
人気スターも、ブランドも、「変わる勇気」を持てるかどうかは勝負の分かれ目なのでしょう。
マーケターの足立光さんは著書『アフターコロナのマーケティング戦略』の中で、「ブランドイメージは一貫すべきだが、時代に合わせて変わるべき」と語っています。
「この人はこういう人だ」という特徴は、メリットにもデメリットにもなるからです。そう考えると、ブランド戦略ってホントにマーケターの勇気なんだなー。
チャ・インピョの場合、若い頃に出来上がったイメージがあまりに強すぎたこと、スターの仲間入りをしてすぐに、兵役のため現場を離れたことにより、変わるタイミングを逃してしまったのが原因のようです。
わたしがチャ・インピョを知ったのは、「白い巨塔」や「階伯」など、2000年代中頃に放送されていたドラマでした。そのため、「渋い系のイケメンおじさん」という認識だったのですが、韓国のおばさま方にとっては、いまでも青春スター。指を左右に振るお決まりのポーズがあるらしく、いつでもどこでもどんなときでも、それを求められてしまいます。
(画像はKMDbより)
テレビのトーク番組に呼んでもらえそうなんだけど、テーマは「韓流3大スター」。ソン・ガンホ、ソル・ギョング、イ・ビョンホンの出演が決まっていて、「4大スターじゃダメかな?」なんて提案までするくらい。
哀しい……。けど、笑ってしまう。
チャ・インピョが本人役なので、妻のシン・エラも妻役として声の出演をしています。自身の運命を変えたドラマ「愛をあなたの胸に」で共演した仲なんですよね。
パク・ボゴムとパク・ソダム主演のドラマ「青春の記録」で、友人のママを演じていたのがシン・エラです。結婚して20年経つのに、このラブラブぶり。
(画像はKstyleより)
キム・ドンギュ監督にとってはデビュー作となるこの映画。前半の場面設定が後半の救出作戦への伏線になっていて、ストーリーの作り方はお見事なんですが。
(ちょっとおもしろい構図やな……)
と感じるシーンもあり。ビターな味もするけれど、ホロリと笑える映画です。
チャ・インピョは1967年生まれなので、今年54歳。インタビューでは「カタルシスと開放感を覚えた」と語っていた「元トップスター」は、この映画で変われたのかもしれない。
失敗を怖がって挑戦できない人に言われる、「パンツを脱げ!!」を、文字通り、ホントにやってしまったのですから……。
韓国映画界は、「おじさま層」が厚いなと思います。チャ・インピョも再びスポットライトの下に入ってくるかも。
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