信念は“言葉にすれば、思いは叶う”の男が、検察組織と真っ向勝負! 映画「不夜城の男」 #492
今年1月、韓国の国会で、刑事訴訟法改正案と検察庁法改正案が可決されました。これによって、警察は捜査の裁量権が大幅に増え、一方の検察は権限が縮小されることに。
日本と韓国では警察と検察の関係がちょっと違っていて、事件の捜査権を握っているのは検察。警察は検察官の指示の下で動くことになっていたそう。
ドラマでも「警察ドラマ」なのに検察官と対立するシーンが多くあります。そのあたり、こうした構造からドラマが作られていたんですね。
シーズン2の配信が始まった「秘密の森」は、まさにその改革の途中を描いています。
シネマートの「のむコレ」で観た「不夜城の男」は、検察と大統領官邸との癒着を突いた映画でした。こうした事件が重なり、法律が改正されることになったようです。
<あらすじ>
韓国一の高級ショッピング街・江南で最大のクラブをオープンさせたチャヌは、ある芸能人の麻薬事件の捜査に協力。しかし情報が検察に漏れており、パク刑事が逮捕されてしまう。政財界にまでつながる巨悪の存在を突き止めたチャヌだが、店は営業停止になり、スポンサーからも追われることに……。
新しい店に人生を賭けている男チャヌを演じるのはパク・ヘス。「刑務所のルールブック」では無口で不器用な男を演じていましたが、この映画ではけっこうおしゃべりです。
口癖は「言葉にすれば、思いは叶う」。量子物理学の考えとのことで、映画の原題も「量子物理学」です。
日本語では「量子力学」と呼ぶことが多いようですが、調べてみたらちょっとおもしろかったので紹介しますね。
この世界を構成するすべての物質は、素粒子でできています。素粒子にはおもしろい性質があって、「波」でもあり、「粒」でもあるのだとか。つまり、
誰も見ていないとき:波
誰かが見たとき:粒
として振る舞うので、言語化して「見える」状態にすれば、それが現実として現われるのだそう。
そこでチャヌは「波動」を大事に考え、自分と波長の合うウニョンをスカウトするのです。これが大誤算になるとも知らずに……。ウニョンは「サイコだけど大丈夫」のソ・イェジが演じています。
裏切り、復讐、逆転と、展開されるストーリーは、ほぼほぼ「ベテラン」やん……という気もしたのですけれど、痛快ではありました。特に、これが映画初主演となるパク・ヘスの堂々たる演技は見物でした。
パク・ボゴムとパク・ソダム主演のドラマ「青春の記録」で、“いけず”をしまくり存在感を示したイ・チャンフンが、この映画でもいい感じに“いけず”してます。
「不夜城の男」が期間限定で上映された「のむコレ」とは、シネマートが主催する、劇場発信型映画祭のこと。正式名称は「のむらコレクション」です。シネマートの番組編成担当・野村さんがセレクトした韓国・中国・香港などのアジア映画を中心に構成されています。
「観たいけど、遠いよー」という方も、ラインナップは要チェック! そのうち配信に出てきますから。そうしてお気に入りの俳優や監督をみつけたら、ぜひ劇場にGOしてください。
検察と警察の権限整理は、警察側としては念願のことでした。まさに「言葉にすれば、思いは叶う」状態。とはいえ、「じゃーこっから仲良くやりましょう」なんてことにはならないんではと思います。だから。これからも韓国映画から目が離せないなー。
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