What a Lovely Day! 映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 #428
なつかしい、痛みだわ。ずっと前に、忘れていた。
ああ、全身の痛みに耐える朝を迎えるなんて思いも寄りませんでした。ただ映画を観ただけなのに!
「ただ」というのは語弊がありますね。テレビ放送されている映画を、Youtube Liveで実況解説するというイベントに参加したんです。
今日の「1000日チャレンジ」は、このイベントの模様をちょこっとご紹介しつつ、映画の見どころについて書いてみたいと思います。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」とは
ご覧になりましたか? 昨日の土曜プレミアム。地上波初放送の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」です。第88回アカデミー賞で6部門を受賞した、最高にヒーハーな映画です。
資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界で、元警官のマックスと女戦士フュリオサらが、「行って帰ってくる」だけ。それだけのシンプルな話がめちゃくちゃ熱いんです!
わたしが映画コラムを書かせてもらっている「街角のクリエイティブ」でも、田中泰延さん、加藤広大さんが記事を書いておられます。
「街角のクリエイティブ」が運営している映画コミュニティ「街クリ映画部」では、昨年の夏に上映イベントを実施しました。
つまり。
それくらい。
何度も観たくなるし、大好きな映画なんです。
それが、地上波で初めて放送される。R15指定になっていた部分を再編集しての放送とはいえ、日本全国、いえ、世界中の人と一緒に「ぶいえいと!」できるチャーンス!というわけで、「街クリ映画部」では、映画の副音声イベントを企画しました。
観ると知能指数が下がる映画?
「土曜プレミアムで『マッドマックス』やるから、イベントにしましょうか」
編集部でそんな提案があったのは10日ほど前のことでした。ですが、この映画、一説によると「観ると知能指数が下がる」らしいのです。
(画像はイベント当日の資料です)
そんな映画を観ちゃって大丈夫なんですか!?
ていうか、地上波で放送しちゃって大丈夫なんですか!?
Youtubeのコメント欄には、
「公開当時、登場人物みんな九九できなそうって感想がありました」
「ナマハゲみたい」
なんていうご指摘も。気持ちは分かる。ちなみに、序盤でマックスがつけさせられる口かせは、園芸用のシャベルを使っているそうです。痛そう……。
この映画は、映画館で上映された時にはR15指定を受けていました。そのため、さすがに地上波用は再編集していたのだそうです。ということは、よく言われる、
映画館 >>> テレビ
の序列も気になりますよね。ホントにそうなんですかね?
大丈夫みたい!!
とはいえ、昨日の放送ではやはりカットされたシーンが多く、わたしが大好きなニュークスの「What a Lovely Day!」も観られませんでした。残念。
所々に現われる神話のモチーフ
「行って帰ってくる」だけの映画ではありますが、意味のないシーンなんてひとつもありません。Youtubeのコメント欄には、このイベントのゲストである田中泰延さんの解説の他、視聴されている方からも情報をいただきました。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」には<ブラック&クローム>エディションというバージョンもあるそう。これがめちゃくちゃ「神話」感があるそうです。観たい。
「神話」といえば、砂漠の荒野の中で、マックス一行が休むシーンがありましたよね。そこに「木が1本だけ生えている」んですよね。こうした光景は、北欧神話に登場する架空の木「ユグドラシル」を表しているのだそうです。
「木が1本だけ生えている」モチーフはいろんな映画で用いられています。
「天空の城ラピュタ」や「用心棒」、「1917」にもありましたね。
最後にフュリオサの右目が潰れていたシーンは、北欧神話のオーディンがモデルになっています。主神にして戦争と死の神。知識に対して貪欲で、自らの命を差し出すことも厭わないのだそう。フュリオサの運命とダブります。
また、マックスが手のひらの真ん中を怪我するシーン。こちらは“聖痕”を意味しています。ハリウッドで制作される映画の基本的な物語構造やモチーフは、ギリシャ神話とキリスト教にあることが多いのです。
こうした知識があると、「ただのシーン」を観ていても、いろいろ気づけそうでいいなーと思います。「教養」がコンビニで売ってたらいいのに。500円くらいでぜひ……。
実は小ネタもいっぱいある映画
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は、さまざまなカルチャーに影響を与えています。
そのひとつが、まさかの「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~」。アクションシーンに注目してくださいとのことでした。
マンガでは『北斗の拳』にも影響を与えたそうです。マンガが「週刊少年ジャンプ」に連載されることになった時、1981年に公開された「マッドマックス2」の「変な髪型で突っ走る暴走族キャラ」を取り入れたとのこと。独裁者イモータン・ジョーの出で立ちは、まさに「ヒ・デ・ブー」な人たちでしたものね。
あと、チラッと映った車に対しての鋭い指摘もありました。
テレビは吹き替え放送だったので、セリフに注目する声も。
紐に足をとられてバッターンなんて、コントかよ!なんてシーンもありました。でも、なにより気になったのは。
なぜ、ギターが火を噴くのか?
これについては「街角のクリエイティブ」の加藤さんのコラムに答えがありました。
マジすか!?な世界。それが「マッドマックス 怒りのデス・ロード」なのです。知らんけど。
映画には監督の考えがつまっている
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を監督したジョージ・ミラーは、これまでわりとほのぼの系の映画を撮っていました。子豚の「ベイブ」やペンギンの「ハッピーフィート」など、かわいいが大活躍する映画です。
なのに、いきなり火を噴くギターをお供に、園芸用シャベルをかぶせられた男が車に縛り付けられてバヒューンバヒューンと暴走するのです。
監督になにがあったのか!?
ジャンルは違っても、映画には監督の想いがにじみ出るもの。それを田中泰延さんはこう語っています。
「生きる者は、群れに埋没せず、尊厳のために戦わなければならない」
ヒントは「ベイブ」のラストシーンです。みんなにバカにされながら、牧羊犬の大会に出場したベイブ。ご主人からのひと言に救われるのです。こちら、ぜひ映画で確認してみてください。
映画で監督の思想を一番体現していたのが、ニュークスだったのではないかと思います。世紀のイケメンであるニコラス・ホルトが白塗りで挑んだ役です。
武装戦闘集団「ウォーボーイズ」のひとりで、独裁者イモータン・ジョーの捨て駒として利用される立場。「どうせもうすぐ死ぬんだから!」なんて言っていた彼が、最後には「未来」を欲するようになるのです。
きっかけは、恋。
群れにいるだけでは分からない。外の世界を知ったことで大きな変化が生まれたニュークス。初っ端から彼の言動に注目してみるのもおすすめです。
「木曜会」のお知らせ
今回のイベントは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の地上波初放送に合わせて実施したものでした。だから土曜日だったんですけれど、ふだんは、毎週木曜日の夜に映画を共同視聴する「木曜会」というPartyを開催しています。
いまは主に、Netflix PartyというGoogle Chromeの拡張機能を使って、Netflixに配信されている映画をコミュニティのメンバーで共同視聴しています。
詳しくは街クリライターの金子さん(@MondettaYuki)のnoteで紹介されています。
昨日はYoutube Liveを使ってオープンな場にしたため、100人以上の方にご参加いただいたのですが、いつもはもう少しこじんまりしています。笑
映画フリークもいれば、初心者もいる。見逃した映画だから観たい人もいれば、自分ではあんまり選ばないジャンルに出会いたいという人もいます。フランクにワイワイと魅力を語りつつ、映画の見どころについて語り合う会です。
気になる!という方は、ぜひ登録してみてください。木曜日にお待ちしています。
いまはまだ、気軽に「外の世界」へとでかけることができません。でも、知りたいんです。「外の世界」を。一週間に一度、仕事以外の用事で人と話す機会があることを、いま、とてもありがたく感じています。
いや~、映画っていいですね。
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