違い過ぎる世界を知る2冊
文庫本は、裏面のカバーに「あらすじ」が載っていますので、そこを読んだ時点で興味が湧くかどうかの判断がある程度つきます。
とはいえ、およそ自分とは縁遠い世界だと思いつつも、自分の幅を広げる意味でも読んでみようかなと思うこともあります。そう感じて手に取った2冊です。
きらきらひかる(江國香織)
もうすでに設定があり得ません。著者は、「一般的な恋愛小説」とコメントしているらしいのです。解説の欄で「よく言うよ」というツッコミ?が入っているのですが、私もそうツッコミたくなりました。
ただ二人だけで静かに過ごしたい、という二人の思いとは裏腹に、周囲があれこれ詮索したりしてその思いが通じない、そのもどかしさがすごくよく出ています。今でこそ多様性に対する許容が少しだけ生まれつつありますが、それでも、この主人公のような生き方を選択したことに対し、周囲がどういう目線を送るべきか、難しいテーマを提示しているように感じます。
トラペジウム(高山一実)
アイドルを目指す主人公と、それに賛同する人たちの心の動きを表現した書、といえばいいのでしょうか。
著者がそもそもアイドル。でありながらこういう小説も書ける。多彩だなぁと思います。
(芸能の世界にはどうやっても相応しくない風貌のおっさんである)自分とはまったく真逆に生きる人たちの姿。この世界観は自分では絶対に知ることのできないものなので、「ああこんな世界にいる人はこういう心理にもなるのか」と、学びの幅は広がった気になります。
この記事が参加している募集
至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。