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『赤めだか』(立川談春)を読んで「自分の武器ってなんだ?」と考える


このタイトルを知っている方の多くはテレビドラマを連想するかと思います。が、テレビと縁のない私は、文庫でこれを読みました。

テレビドラマの経理部長役でも知られる立川談春さんが筆者です。談春さんは高校在学中に立川談志に弟子入りしました。それから成長していく姿を描いたエッセイですが、師匠だけではなく周りを囲む強烈なキャラクターとその描写に、思わず笑ってしまいます。

全編、感動し、グッとくる場面もたくさんありましたが、特に印象に残っているところを引用させていただきます。

「よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えた通り覚えればいい。盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。(略)それからな、坊やは俺の弟子なんだから、落語は俺のリズムとメロディで覚えろ」(立川談志のことば)

→マネがうまい人は一流、というのを、スポーツの本で読んだことがあります。その一方で、ここで引用した言葉も重いものがあるなぁと思いました。

(落語家を)辞めて、自分は家に戻れるのか。まんじりともできない夜が更けて、夜明け前にふと思い出したのは、辞めていった談秋の言葉だった。
「談春さん、あなたは立派な落語家になってください。あなたならきっとなれる」
何の確約もない言葉でも、人間はすがりつく時がある。すがりつかないと前に進めないことがある。それを、自分は決断したなどと美化した上で、現実をみつめることもなく、逃げ道まできちんと用意してしまう弱さがある。

→「何の確約もない言葉でも、人間はすがりつく時がある」とあるが、これ(励ましや支えとなる言葉)がなければ「すがりつく」物すらない、ということでもある。

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「相場の神様は、人を出し抜く、ずるさを主とした才能は許さないんですよ(略)世界的に大富豪と呼ばれるようになった人達は必ず一度失敗しているんです。それも大失敗です。(略)神様はとんでもない数の人間の中から、本当にごく少数の人間を選びます。そんな人間達に最初に与えるのは試練なんですね。株に対する才能も情熱も認めてやろう、株の世界で生きてゆくというお前の覚悟もわかってやろう。だが、お前の覚悟以上の試練に直面したときにお前はどうするってね」(ある投資家のことば)→なかなか人生うまくいかないなぁと感じた時はこの言葉を思い出すようにしたいと思います。

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「マラソンと一〇〇メートル、両方金メダルはとれないんだよ。マラソンと一〇〇メートルではどっちに価値があるかなんてお前の考えることじゃない。お前が死んだあとで誰かが決めてくれるさ。(略)談春は談志にはなれないんだ。でも談春にしかできないことはきっとあるんだ。それを実現するために談志の一部を切り取って、近づき追い詰めることは、恥ずかしいことでも、逃げでもない。談春にしかできないことを、本気で命がけで探してみろ」(さだまさしのことば)→あまりさだまさしさんに造詣はないのですが、この方の言葉はひとつひとつが重みがあるように感じます。

そこで思うこと

私にしか出来ないことって何だろう、と我が身を振り返る。私にしか経験のないことは確かにある。1年に弁護士10人以上と連絡を取り合ったなんてなかなか一般人では経験のないことであろう。ほかにもいろいろ貴重な経験はあるが、それをどうアウトプットするか。今後の課題である。

本、というのは、何らかの「学び」がある。それを改めて感じた一冊です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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読書感想文

至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。