見出し画像

【わたしのこと】筋腫を取ったら喉をやられた

やたら笑顔の手術スタッフさんに迎えられ、酸素マスクをはめる。
目覚めたときにはもう病室のベッドの上だった。
手術には結局4時間かかった。

腕には太い注射針。点滴。
麻酔が切れていないのか、まだ体の痛みはない。
ただ、呼吸器をはずすと声がかすれて発話できない。空気だけがシューシュー出ていく感覚。

結局、腫瘍の数は100を越えていた。
一つ一つは小さいものだったが、病院史上最多の数だそうだ。その多さと、先生の根気強さに敬服する。よく、すくすくと育ったものだ。

日がたつにつれ、痛みも出てきた。痛覚はあるが慣れているので大した負担はない。
体力を取り戻したい一心で病棟内を歩き回る。

ただ、声は変わらずだった。
かすれていて、発音が上手く言葉にならない。
椿鬼奴みたいな声色になるし、話すことでかなり体力を消耗する。

飲み物も食べ物も上手く飲み込めない。
長時間の手術。チューブで酸素を送っていたので声が出にくくなることはある。
2、3日で復調するはず。と言われた。
でも、一週間たっても声は戻らない。


ナースコールに声が届かない。
ベショベショの食事じゃない。揚げ物も美味しい。だけど楽しめない。
食べるごとに喉が飲み込むのを拒否するのだ。
ゆっくり、ゆっくり飲み込める「場所」を探して食べる。そして謎の咳と痰。この声に看護師さんも為す術なしで思わず笑っていた。
痰切りの薬に抗生剤、試してみたが10日間の入院生活、退院する前日も声はカスカスだった。
短文を話すのがやっとで、会話ができない。相手に伝わらない。

筋腫なんてもうどうにも良くなってきていた。痛くないし。歩けるし。

問題は喉だ。

同じ病院の耳鼻咽喉科へ。
今度は鼻からカメラを突っ込まれる。
この10日間で、いろんなところからいろんな器具がいれられる

原因は、声帯の片方の神経が麻痺。
理由は不明。呼吸器のチューブで傷ついた可能性が最有力。

ビタミンを飲んで、あとは自然治癒を待つしかない。頼りは自分の回復力のみ。
手術してみたら痛みは我慢できた。
でもまさかこんなことが起こるなんて。
しかも、脳性麻痺と同様理由は不明。

またかい! とどこにもぶつけようのない苛立ち。
そしてまた不安。


声が戻らなかったら、対人支援の仕事なんてできなくなってしまう。

まさか内臓の手術で声帯がやられるなんて。
再び、予想外に対処する必要に迫られた。
わたしが頼れるのは「メチコバール錠剤」とわたしの治癒力。なんとも期待できそうもない。

また「わからない」と折り合いをつける日々が始まった。

(まだまだ続きます)

サポートいただけると、より良い記事を書くためのエネルギーになります!もちろんスキやフォローでも大喜びです💟