見出し画像

【仕事のこと・障害のこと】ありがとう、私が退職を決断した暴言をいってくれた後輩よ

私が新卒の会社をやめたのは、入社3年目に大きな脚の歩行改善手術してから、約半年後のことだった。その間も「退職しよう、退職するんだ」という気持ちは強くなり、上司にもその意向を伝えていた。

それでも、所属がなくなる、おまけに収入もなくなるという恐怖や、いい人に見られたいというエゴで、退職希望時期は、繁忙期の後のタイミングを伝えていた。 だが後輩のある一言で、退職は3ヶ月早まった。

脚の手術は合計2回必要だった。5時間近くかかる骨切りの大手術と、骨がしっかり固定されたことを確認して行われるボルト抜きの手術。完璧な骨の癒着にはそれなりの時間がかかるので、ボルト抜きも1回目の手術の約一年後に決まった。

そして、その予定を定例のグループ会議の時に「申し訳ないのですが」という体でチーム全員に伝えた。そこで、後輩が決定的な一言を放った。

「先輩、これでまたサボれますね」

最初は何を言っているのか、言葉が理解できなかった。頭が真っ白になった。彼女は一回目の手術の時にも見舞いに来てくれていて、松葉づえをついて身動きもたどたどしい自分の姿を見ていたはずだ。彼女にはそれがサボりと見えていたのだろうか。

真顔で
「そう思ってたんだね」
とだけ伝えた。周囲も「思っていても言っちゃダメだろ」という感じで誰も発言しない。「いや、そういうことではなくて」と言葉を継ごうとする彼女を制して「もういいよ」と言った。会議後、まだ片松葉の私を彼女はサポートしようとしたが、私はそれを制した。

その後すぐ、上長に時間をもらって気持ちをそのまま話した。「あんな風に思っている人と一緒に仕事はできない 」と。上長は「冗談だよ」と言ったが、冗談なら、なおさらたちが悪いし笑えない。混乱と失望と怒りと色んな感情があったが、その反面私は「しめた」と思っていた。

これで会社を堂々とやめられると思ったのだ。誰から見ても暴言だし、それをチーム全員が見ていた。証拠がある。何より私はもうこんな場所にはいられないと明確な理由ができたのだ。「やめるぞ!」となんだか変な自信ができた。それくらいの決定打がないと私は決断できなかった。

もちろん傷ついたし、今も思いだし苦しくなる時もある。それでも、彼女の暴言は、うじうじしていた私の背中を押した。彼女の言葉がなかったら、ずるずる仕事をして、本当にサボってるように見えるように無気力に会社に居続けていたかもしれない。

ありがとう、後輩。
君の無神経さに救われて、私は今幸せです。一昨年送られてきた年賀状を捨てて反応せずにいたら、もう届かなくなったので、私の心は平穏だ。

サポートいただけると、より良い記事を書くためのエネルギーになります!もちろんスキやフォローでも大喜びです💟