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必殺『世界から消えたフリ』

わたしがまだうつ症状が強くあったころに身に着けた必殺技がある。
それは、『この世界から消えたふり』だ。
1日だけ、この世に存在しないものになり切る。
うつ症状がひどいとき、希死観念が芽生えることもあるだろう。
なんならそんな日ばっかりだろう。
そんな日は、世界から身を潜めてみてほしい。

死にたいとか、消えたいとか、生きてたってしょうがないとか、そういうのって考えても意味ない。
でも分かっていつつ考えてしまう。

そういう感情には重さがあって、本気で自分の命を絶つことを考えている人には意味がないかもしれないけれど、なんとなく消えたかったり、だれとも関わりたくなかったり、気まぐれにやってくる特大憂鬱な日にはとてもおすすめの過ごし方だ。
大体うつになって、回復して、ほぼ治っているのにたまーにやってくる「やっぱり自分はダメなんだ消えてしまいたい」という感覚。
これを乗り越えるのにとてもぴったりなのだ。

具体的には1日だけほぼ寝たきりで何もしないで過ごす。
本当に何もしない。
だれから連絡が来ても返さないし、いつもせわしなくしている仕事のメールチェックもしない、勉強なんてもちろんしないし、趣味や好きなことだってしない。
なんなら1日だけなんだから何も食べなくても良いのだ。
まるでこの世界から消えてしまったかのようにひっそりとひとりで過ごす。
わたしなら、ただベッドに横たわり、何も考えずに眠る、眠る、眠る。

そうしているうちに、まだ消えたくないかもって、世界に未練が湧いてくる。
どうしようもなく残酷に見えていた世界が、少しだけ、愛おしくなる。
陽の光を浴びるのも良いなと思うし、ネットにアクセスして好きなものを見たくなる。
おいしいものが食べたくなる。
自然に触れてみたくなる。
世界にはたくさん素晴らしいことがあって、自分は知らず知らずのうちにそれらに助けられていて、世界を満喫していたことを知る。
気づけば、世界からいなくなってしまいたい願望は軽くなってる。

わたしはUnderTaleというゲームが大好きなのだけど、そのゲームの中に出てくるナプスタブルークというお化けのキャラクターが、作中でサンドイッチを振舞ってくれる。
そのあとに、
「食事のあとに床に寝転がって、ゴミみたいな気持ちになるのが好きなんだ」って話して、君も一緒にどう?って寝転ぶのを誘ってくれる。
そして寝転んでみると、ゲーム画面が宇宙のグラフィックに変わっていく。

わたしは昔から、このセリフとシーンがなぜか好き。
世界から消えたふりとちょっと似てる気がしていて、ゴミみたいな気持ちになってただぼんやり何もしない、それを楽しむというか、味わう感じ。
そうしているうちに回りが宇宙になっちゃう感じ。
これが斬新な幸せに感じるのだ。

どうしようもない絶望感を突然感じてしまったときにはおすすめの方法だ。
丸1日は無理でも、何時間かからか、試してみてほしい。
なぜか不思議と心が軽くなるのだ。

うたたね

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