「テンペスト」本を読んだ感想

「テンペスト」 池上 永一  ☆4.5

 十九世紀、第二尚氏 琉球王国末期の沖縄を舞台にした歴史小説。歴史小説となるとちょっと難しそう、あんまり興味がないなどと思ってしまう人も多いと思うが、ストーリーやキャラクターがめちゃくちゃ魅力的だし、書かれたのが2008年で現代の分かりやすい言葉使いで書かれているので、ライトノベルのような感覚で気軽に読めるはず。

 当時の時代背景や文化についても丁寧に解説されているので、予備知識ももちろん不用だ。

 主人公真鶴は士族の娘として生まれるが、とある事情により男として琉球王朝の官僚になるための試験を受けることになる。官僚になった真鶴は性別を偽って孫寧温として活躍するが、そこには数々の困難が立ちはだかるのだ。

 当時は男だから、女だから、身分がどうだからといった固定観念があるのだが、そこに真鶴が立ち向かっていくのがジェンダー論等が注目される現代を生きる僕らにすごく刺さるだろうし、キャラクター 一人一人がとても魅力的なので、読んだら必ず引き込まれるはずだ。悩みながらも困難に立ち向かっていく真鶴の姿に僕自身も本当に勇気づけられた。

 あと、この作品では琉球が日本に支配される過程も史実に基づいて描かれている。教科書ではあまり深く書かれていないが(政府側の悪しき意向を感じる)、日本は武力を笠に着て琉球を一方的に支配してたのだから、沖縄に住む人々を幸せにする責任・義務があると改めて感じた。

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