笹舟の羅針盤

未来について、考えるのが得意じゃない。このテーマに取り組んでみて、はじめてそう気付いた。ベテランフリー同士で運営している↓こちらのマガジン用の記事なのだけど
https://note.com/31530/m/me0a721bb1b59

2022年1回目のテーマは「今年の展望と、その先の私」。
面白そうなテーマだと思った。アラフィフともなれば、セカンドキャリアの準備をするものあり、また本業を少しセーブして、二足の草鞋を華麗に履きこなすものもあり。
コピーライター兼カフェオーナーとか、フォトグラファー時々先生、とか。周囲に面白い生き方をする人が増えている。

いい時代だ。

私も何かネクストドリームを志したっていいじゃん。

意気揚々と書き始めたものの…

出てこない。なーーーんも、出てこない。見事なくらい。

あれ、私ってこんなに夢とかビジョンない人なんだっけ。

とにかくバッターボックスに立ち続け、来た球を反射的に打ちまくる、ベテランフリーという代打稼業が身につき過ぎちゃったのだろうか。

リーマンショックに大震災、今も続くコロナ禍。頑張って立てた目標やビジョンなんて、時代という荒波の前には、笹舟のように飲み込まれてしまう。
そんなことが続いたせいだろうか。自分から何か望む、というより「お客のニーズに応えて、応えて、応え続けたら、とにかくご飯は食べられる」という姿勢が、無自覚な信念と化してしまっていた。

そんな感じで、一向に筆が進まず、仕事もバタついてたのを幸い(って変な言い方だけど)、つい、締め切りを先延ばしてしまってた。マガジン主催者のくせに、本当に情けない話。

そうしたら。

戦争が起きてしまった。

信じられないけど、本当に起きてしまった。

何の罪もない人たちが家を追われ、故郷を奪われ、命までも奪われている。

ほら、やっぱり未来なんて、何が起きるかわからない。人間なんて、みんな渦に巻かれてぐるぐる回る、笹舟みたいなものだ。何かを望み、夢を描くのも良いけど。「今の生活を守っていく」以上に、自分みたいなものに何が出来るんだ。

年末からのプチ不調もあり、心身のテンションがよろしくない日々が続いた。

こんな時、無理に元気を出そうとすると、余計長引くのは経験上知っているから。
「ざっくり、ここを目指して生きていけばOK」という目標地点をまず設定することにした。

言ってみれば、笹舟の羅針盤。

それで思いついた、というより記憶の底から浮上した言葉があった。

心のままに、やりたいことをやって、ひとに喜ばれる。

仕事を始めるはるか前、それこそ小学生くらいの時に漠然と決めた「じんせいのもくひょう」。

我ながら高望みだ。同時に、2つを両立する難易度の高さは、子どもながらも薄々予感していたらしい。「これは、一生かかるかも」「でも諦めたくない」そんな気持ちだったことを思い出す。

「心のままに」の「心」のクオリティが、結構大事なんだろうな…とか思いつつ。
子どもの頃の自分が未来に向けて贈ってくれた、この羅針盤を信じて。ちっぽけな笹舟を漕ぎ出してみたい。渦をすり抜け、しぶとくよろよろと。


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