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スポーツを無観客でやるなら今こそ「投げ銭」を導入するべき。それも「相撲」とか「プロ野球」で。

こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。

感染症の影響で、国内のスポーツ興行の多くが「中止」「延期」「無観客」となっている。

今こそ、思ったことをつぶやいた。

このTwitterでの「投稿」が、スポーツ界にて、多くの方の反応があった。

私と、同じことを思っている方は多いのだと感じた。

スポーツ興行には、お金がかかる件を、上記の「東京マラソン」の記事でも触れた。

しかも、チケット制の興行主が無観客でやる場合、チケット収益という大切な収入の柱を失い、とてつもないダメージを負うことになる。

それならば・・・「投げ銭」を導入するべきではないかというのが今回の記事の趣旨だ。

(なお、投げ銭のことを、投げ銭型のサービスにて「ギフティング」と呼ぶが、分かりやすさの観点から、あえて「投げ銭」という表現を用いる)

スポーツを無観客でやるなら「投げ銭」を導入して欲しい。

スポーツを無観客でやるなら「投げ銭」を導入して欲しい。今こそ、それをやるべきだと思う。できるだけ伝統あるスポーツで。「相撲」とか「プロ野球」で。

新興スポーツが「投げ銭」を導入してもインパクトは薄い

ぶっちゃけ、新興スポーツが「投げ銭」を導入したところで、さほどびっくりもないし、ほとんどの国民からしたら「ふーん」って印象で終わり、社会的なインパクトは限られるわけだ。伝統的なスポーツの、特に「相撲」とか「プロ野球」がそれを本腰入れてやらないと、社会の空気は変わらないと思っている。

伝統ある競技、かつ社会的インパクトある競技がやらないと「空気」が変わらない。

どうしてそう思うのか。

実は、すでに「投げ銭」の仕組みを用いたサービスは新興スポーツで導入事例がある、のに一般知名度は低いと言えるだろう。

これは2018年10月にシェアした投稿だが、エンゲート株式会社がすでに「投げ銭」でスポーツチームを応援するサービスを導入している。

導入チームは、Bリーグ、Jリーグ、なでしこリーグなど多数のクラブ(チーム)が導入している状況であるが、まだ、スポーツの興行主やチームの収益の「メインストリーム」にあるサービスとは言い難い状況だ。

こんな声もあった。Bリーグ茨城ロボッツの畠山さん。

上記の通り、導入を検討しているところもあるが、まだ「投げ銭」が、収益のメインストリームの一つになりえず、事前調整や関係各所での合意形成の段階で、各所に導入の課題があり、導入を踏みとどまるところが多いのが実態と言えるだろう。

このほか、投げ銭の軸とは異なるが、他のスポーツでは「競輪」の一部の大会は、無観客かつ無料で配信をしている流れがある。

競輪は、投げ銭ではないが、賭け事があり、その収益で運営されているので、チケットの収益がなくとも無観客で行える背景がある。ちなみに、無料配信は「AbemaTVの競輪チャンネル」で行われている。

プロスポーツで「無観客」なら、どこで収益をあげるのかと言えば、リーグならば放映権料となるだろうが、チーム側は収益をつくりにくいので、「投げ銭」の選択肢を用意しても良いのではないだろうか。

OTT業者が「投げ銭」機能を付帯させる未来も想定できる

OTTとは、Over The Topのことで、DAZNなどに代表されるインターネットを通じた動画コンテンツなどを提供する通信事業者以外の企業のことである。

DAZNの前身パフォームグループは、スポーツベッティングの映像配信会社で、スポーツにて賭け事し、試合結果が気になる人たちに向け、賭けごとに必要な「インフラ」の一つとなる映像配信を提供していた流れがある。

そうした流れを汲むと、これは完全に妄想だが、DAZNの未来には「投げ銭」的な機能が付帯される可能性ある。

すでに「競輪」を配信しているAbemaTVも、同じように、投げ銭行為が行えるサービスを、今後付帯してもおかしくはない。そもそも、競輪をそこから賭けられる可能性もあるが現時点では不透明ではある。

OTT業者が「投げ銭」機能を付帯させる可能性はゼロではないし、インターネットにおけるスポーツコンテンツとの「接点」を活かして、投げ銭行為ができる外部の関連サービスと紐づけることも想定している可能性もあるだろう。

「投げ銭」サービスは、そのままお金を投げられない

ここ(無観客の状態)で言う「投げ銭」とは、そのままお金を投げられない、とは、映像やオンラインの「サービス」を通してのことを指している。

物理的にお金を投げることは不可能なので、なんらかの「投げ銭」サービスを通してとなる。物理的にお金を投げられないのは当たり前じゃないかと思われるが、伝えたいことはそこではなく、一つ課題がある。

実は「投げ銭」の行為をサービスを通して行うにあたり、法律の課題がある。つまり、こうしたサービスを通す場合、現金を、そのまま送ることができない。

現行の日本の法律では、その投げ銭行為を行うサービスは「資金移動業」の登録が必要となり、現金をATMや、クレジットカードなどの支払いにて直接送る形ではなく、現金の代わりにポイント(前払式支払手段)などに変更してから投げ銭行為を行う必要がある。

「投げ銭」行為ができる国内の先行サービスのSHOWROOMも、まずは現金を「ShowGold」に転換し、SHOWROOM内でライブ配信者に投げ銭(ギフティング)する際に必要となる「花束」などのギフトにして「投げ銭」行為ができるようになる。

以前に、私がイベント統括をしたスポーツイベント、8mの高さから始まる自転車BMX・MTBによるRACE & FREE STYLEの大会(YBP GAMES)でも、投げ銭に近いモデルとして、入場料収入が、全てライダーの賞金へと分配される大会を実施したが、方式としては、大会を通じた直接の投げ銭にならぬよう、一度チケット収益を主催者の収益として、それと同等の金額を、大会の順位に応じてライダーに分配する形式を取った。

ただし、法律の課題もそうだが、まだ普及しないのは、利用者が限定的であることがネックにある。

「相撲」や「プロ野球」など伝統的スポーツの導入を待望

冒頭でも触れたが、新興スポーツが「投げ銭」を導入したところで、さほど影響度は薄く、ほとんどの国民から知られていないのが現状と言えるだろう。伝統的なスポーツの、特に「相撲」とか「プロ野球」がそれを本腰入れてやらないと、こうした「投げ銭」に向けた社会の空気は変わらないと思っている。

「相撲」の「懸賞金」は「投げ銭文化」のなごり

伝統的な「相撲」に、投げ銭は難しいのではないか?という疑念もあるかもしれないが、相撲は、昔から懸賞がかけられていて、相撲の取組(試合)に対して、企業や個人などから「投げ銭」に近いような「協賛」として懸賞がかけられている。

今の「座布団」を投げる行為は、その昔、キセル、羽織や帽子など個人が特定できる「私物」を投げ、それを若い衆がその私物を返しに行った時におひねり(投げ銭)をもらう(力士がもらう)という文化のなごりだそうで、それが相撲の競技化になる流れで「懸賞金」となっていった。

つまり、相撲と投げ銭は、文化としてあるものなので、そもそもの相性が良いはずだ。※ちなみに座布団投げは禁止だが、それでも力士が「金星」を挙げたタイミングでなどでやっちゃう人が多数

相撲で、懸賞をかけるなら、個人からの「投げ銭」もあっていいし、そもそもの文化背景として相撲と「投げ銭」は相性が良いと感じている。

クラウドファンディングでさえ利用経験者は人口の10%もいない

クラウドファンディングの認知率は79%と高い認知を誇るが、クラウドファンディングのプロジェクトの支援経験率は7%というデータもある。

ソース:クラウドファンディング、支援者に人気のプロジェクトは「テクノロジー・ガジェット」系!https://honote.macromill.com/report/20191128/

投げ銭の「行為」でも、その投げ銭の行為事態の認知度は非常に高いとは思うが、クラウドファンディングさえ利用者が7%という現状では「投げ銭行為」ができるサービスの利用者は、さらに限定的だろうと推察できる。

「キャズムを超えろ!」

まだまだ投げ銭サービスは認知も利用者もごく一部。「16%」の消費者に新製品やサービスを普及させることが、市場シェアを獲得する上で最も重要という「キャズム理論」があるが、クラウドファンディングさえ利用者が7%の現状の今、いかにして「投げ銭」を普及するかは大きな課題である。

収益の柱に育つには、一部の支援者ではなく、興行における「チケット」と同じように、別軸の柱として「投げ銭(ギフティング)」も育っていく必要があると捉えている。

今回の感染症の影響を受けて、「プロ野球」では、オープン戦をすべて「無観客」で行うことが決定し、「相撲」に関しても、今月、大阪市で予定されている大相撲の春場所は無観客を決めたとの報道があった。

この現状から思うことは、「プロ野球」や「相撲」のように、観戦者の多くがサラリーマンや年配者となれば、これまでの「投げ銭」サービスの利用者以外に広くリーチすることができる。スポーツを「無観客」でやるなら今こそ「投げ銭」を導入するべきタイミングだと思う。

投げ銭によって、スポーツへの新たな収益の可能性が増えるし、未来に、また、今回のような感染症の事態が起きた時にも、選手や興行主をささえる収益の一部になるのではないだろうか。

伝統ある国民的なスポーツが「無観客」となる今こそ「投げ銭」を導入すべきだと考えている。

くどいようだが、「相撲」とか「プロ野球」が導入することによって、多くの国民に認知が広がり、スポーツ興行において「投げ銭」を、新たな収入源に加えらる可能性を秘めている。

関連記事(追記)

もし導入するならの提案(追記)

「投げ銭」に思うこと。それは「超簡単さ」を絶対的に大切して欲しい。なぜなら、投げ銭をしたら、どんなお返しがあるのか?という「リターン設計」など、テクニックに走りがちだからだ。なぜこの設計がいけないか。そこまで理解して投げ銭する人は「ごく少数」だからだ。最初はシンプルに。

投げ銭の「リターン」は、魅力的かもしれないが、ファンたちの投げ銭の目的は、自分が感動した気持ちや応援したい気持ちを、ただプレイヤーなどの主体者に「伝えたい」という気持ちが投げ銭となっている。最初からリターンが欲しくて投げ銭する人は、ごく少数なのだ。繰り返すが、最初はシンプルに。

私が利用したいくつかの投げ銭システムは、まだ「投げ銭」する人の分母が少ないため、いかにして、その少数の方を飽きさせず、繰り返し利用してもらうか?を考える必要があり「リターン設計」などで再利用の機会づくりに注力するため、様々な機能追加されていた。でも、初級者にはとても分かりにくい。

この、「再利用の機会づくりに注力するため、様々な機能追加されていた。でも、初級者にはとても分かりにくい。」という状態は、言い換えれば"策士策に溺れる"だ。最初は、初級者には分かりにくい機能追加より、ただただ「応援したい気持ち」を「投げ銭」に替える、超シンプルなつくりが大切だと思う。

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