1人前のデザイナーとして成長していくとは?
セカンドファクトリー(以下、2FC)で、UI/UXデザイナーとして活動している鈴木です。
デザイナーとしての成長って?
もちろん、自分自身もまだまだこれから成長し続けていかないといけないのですが、一方で、2FC社内でのデザインチームメンバーとの1on1などで、「1人前のデザイナーとして成長して行ってもらうためには、どうしたら良いだろうか?」なんてことを立場上考えるようになりました。
20代の頃から、これまではなんとなく経験値でアドバイスしてきてしまったこともありましたが、最近ようやく大事なポイントがいくつか見えてきた感があり、ここで一旦整理も兼ねて、「自分の棚上げを恐れず」まとめてみようと思います。
何のために成長してもらいたい/したい?
弊社も営利企業なので、お客様にデザインの価値をお届けすることが最終的な命題です。そうした時に「よりお客様に価値を感じてもらい、喜んでいただく。」そのためにはどうしたら良いかと考えると。
不確実性の高い今の社会状況だからこそ、求められそうなこと
ここ十数年、「VUCAの時代」なんて言葉も生まれましたが、この社会状況の中でデザイナーの要求される期待値も確実に変わってきた感があります。
1.変化に対応する能力
市場やテクノロジーの急激な変化に対応できるデザイナーが求められているのかなと思います。次々に変わる状況や課題に対応できるように、情報収集の継続や、様々な観点を自分の中に持っているなどの適応するための能力が必要です。
2.ユーザーの多様性への対応
様々な生活スタイルや文化を内包するようになった結果、多様なユーザー層が存在するようになりました。様々なユーザーのニーズや価値観を理解し、それに応じたデザインを提供する能力が求められそうです。
3.複雑な問題解決力
現代のビジネス課題は複雑化していると言われています。矛盾を含み、簡単に答えが出ないような複雑な課題を、デザイナーは少しずつ紐解いて整理をして、解決する力が必要です。
4.コミュニケーション力
要求に従ってデザインを検討し、提案〜そして採用、のようなプロセスは少なくなり、時にデザイナーはサービスやプロダクトのチームの中でアジャイル的な活動を求められるようになりました。
よって、チームの中のデザイナーとして、効果的なコミュニケーション能力を持ち、多様なバックグラウンドを持つメンバーと協力しながら、プロジェクトを進める力が重要になっています。
5.創造性
曖昧な状況であっても、独創的なアイデアや斬新な解決策を提案できるデザイナーがより価値を生み出すことができます。
6.持続的な学びの姿勢
VUCAな環境では、変化が激しいため、前提となる条件が変わりやすく、知識やスキルが陳腐化しやすいです。デザイナーは常に新しい情報や技術を、継続的に学ぶ姿勢が依然として重要です。
7.リーダーシップ
ただ思いついた良案を提案するだけでなく、ゴールまで導くためには、「実現する」ことが重要です。
そのために、プロジェクトをリードし、チームを成功に導く力が求められます。デザイナーはビジョンを持ち、チームメンバーを巻き込んでプロジェクトを遂行する能力が必要です。
おそらく、これらをより多く持っているデザイナーほど、「時と場所を選ばず」活躍していけるのでは?と思っています。
デザイナー的なスキルの話だけになりがちな気がする
デザイナーのスキルマップとして
Photoshopが使えます。
Figmaが使えます。
UX設計ができます。
ユーザーインタビューできます。
要件定義ができます。
ワイヤーフレームが書けます。
HTMLとCSSが組めます。
…
のような、これらの項目を軸にして、基礎的なスキルや経験をチェックするような表はよくみます。デザイナーのポートフォリオでもこのような項目での話題になりがちかなと。
もちろんこれらは大事ですし、業務を具体で進めていく上では必須です。
なんならこれらがないと武器として持てるものが実際に少なくなってしまい価値発揮できないことになってしまいます。
弊社デザインチームでも、実際の顧客の業務に合わせたデザインプロセスを可視化して、その各フェーズで必要になるタスクや対応するスキルを整理しています。
でも、前段の「求められそうなこと」を考えた時に、これらのスキルを獲得していけば、デザイナーとしての価値を発揮できるでしょうか?
デザイナー的スキルを発揮するためには
結論から言うと、自分のスキルを価値として発揮する前に、大事なことがあります。デザインプロセスの下にさらに階層を設けて整理してみました。
これらの要素は、デザイナーだけに限らず、世の中の仕事全般に言えることのような気もします。大事なのはこれを「ただの社会人の基礎」と考えてしまうとスキル的な表層の話で終わってしまいます。
1段深いところにある自身の「観点」や「意識」と自分の中に捉えることで「継続可能なもの」になりそうです。
Lv1.自分のこと
1-1.自分のしたいこと、できることを考える
自分の人生全体やプライベートを充実したものにするために、自分が何をしたいのか?を自分に問えることは大事です。さらに、「こういうデザイナー(そのほかの職業でも)になりたい」というビジョンを持っていることは、デザイナーとしての成長を自走していくために、重要な動機付けになります。
Lv2.自分に近い他者のこと
2-1.自分を省みる
「省みる(かえりみる)」の日本語としてはいくつかありますが、「内省」と言われる単語が近いと思います。ここで大事なのは、「自分主体」から一段階「客観視」することです。
自分自身を客観的に省みるためには、他者からの自分がどう映るだろうか?の想像が必要で、「デザイナーとしての自分の価値」を考えるために大事な要素だと思います。
2-2.自分の周りの他者を鑑みる
次に自分のひと回り、すなわち仕事上直接やりとりするであろう、他者のことを考えます。「あの人はこんなことを考えているのかな」「あの人はこんなものが欲しいのかな」という考えは「相手の期待値」を把握する上で大事なことです。
Lv3.他者のことが、自分のことになる
3-1.自分ごとで考えて動く
「自分ごとで考える」は2FCでも非常に大事にされている価値観です。
顧客の目指すゴールに本気で伴走するためには、他者の大事だと思っている事柄を自分も大事だと受け止め変えて取り組めないと、本気で率先して行動できにくいです。
自分の目の前の成功だけではなく、チームや顧客の幸せ=プロジェクトの成功に繋がるところまでを意識できているかどうか?ビジネス活動を支える非常に重要かつ不可欠なことだと思います。
弊社の有馬も伴走型UXデザイナーについて以下のような記事を書かせていただいています。
Lv4.いざスキルを発揮する時に
4-1.相手の言っていることを正しく受け止める
1つは自分の勝手な解釈や押し付けをしないで「そのままきちんと受け止める」が大事ですが、さらに「こういう意図があるんだな」と相手の「一番言いたいこと」を受け止められることも大事です。
4-2.自分が求められていることは何か?を理解する
相手が自分に「何をして欲しいのか」をきちんと把握してから、アクションすることが重要です。この時に大事にしたいのは、相手から伝えてもらった直接的なアウトプットまでで止まらず、「相手が望むゴールは何か」を意識したいところです。
これは「相手の期待値」を正しく自分の中に持つことにつながり、デザイン方針の軸にもなることです。
4-3.自分の意図を適切に説明して伝える/提案をする
「自分としてはこういう意図だったのに、うまく伝わらず提案が採用されなかった。」「こういう風に動いてもらいたかったのに、うまくすり合ってないことが後でわかった。」などといったケースはよくあります。
自分の想いや狙いを、自分以外の人に伝えて良い影響を与えるためには、適切なタイミングで、コミュニケーションを取ったり、説明や提案を丁寧にするなど、必要なアクションを取れることが大事です。
4-4.求められている期待値を「超えた」動き/提案をする
求められている期待値通りの働きをしたらそれでOKか?直近の目標としてはそれでも良いかもしれません。
ただ、顧客のゴールやチームの目標は、具体アクションのもっと先にあることが多いです。
それらを「自分ごと」として捉えるのであれば、
自分の今の動き方は、チームの進むべき方向に合っているか?
足りないところはないか?自分が動くことでスムーズになるところはないか?顧客のゴールにちゃんとつながっているか?を常に考えて動くことが大事です。
目の前のことだけではなく、先のことを見据えて動けるからこそ、相手の期待値を超え、価値の発揮につながるのかなと思います。
成長に取り組むときに、デザイナー的スキルだけではなく
これまでお話ししてきたように、デザイナー的なスキルアップも重要ですが、それらがきちっと発揮されて、顧客やチームに影響を与えられるようになるために、下支えとなるマインドセットや、能力も大事だということがわかってきました。
2FCのデザインチームでは一部のメンバーとは、「成長目標のすり合わせシート」を使い、デザインプロセスにそった項目を踏まえながらも、先述の「観点を意識的に盛り込みながら」、1on1を実施する試みをしていたりします。
デザイナーとして比較的経験の浅い方、いまいち成長のための取り組みがしっくりきていない方など、「スキル発揮のための前提要素」にも目を向けてみたりしたら、良さそうです。
最後に、2FCのデザインチームでは、ともに学び、成長しながら、クライアントの事業や組織を前進していきたい、そこに共感いただける仲間を探しています。お気軽に問い合わせください!
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