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若者たちが挑むCOP26への期待感

2022年02月23日 記事

イギリス・グラスゴー「COP26」2021年

議長の涙のワケは COP26交渉の舞台裏  2021年11月30日 20時15分

イギリス・グラスゴーで開かれた国連の気候変動対策の会議、「COP26」。多くの国から首脳や政策担当者が集まった。

会期を1日延長した末の合意の内容は「歴史的」なのか、「妥協の産物」だったのか。そして、議長の涙の理由とは。NHKの現地取材班が迫りました。
”歴史的な合意”の裏にあったドラマ今月13日、14日間にわたる議論を経て閉幕した「COP26」。
採択された成果文書「グラスゴー気候合意」には、「産業革命前に比べて平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」と明記された。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211130/k10013366111000.html

この気候変動対策の会議「COP26」に、日本の高校生らが参加した模様をNHKがテレビ版として放送した。

この運動の草分け的存在の「グレタ・トゥーンベリ」さんも参加していた。
そして日本の彼らは、その17歳少女に触発されて、運動に加わったという。

画像グレタ・トゥーンベリさん

 NHK NEWSWEB

カーボンニュートラルと脱石炭など温暖化対策のアプロ―チ

「気候危機を食い止めたい! 若者たちが挑むCOP26」

初回放送日: 2022年1月27日 NHK NEWSWEB 脱石炭など温暖化対策を求める若者たちが11月、英グラスゴーのCOP26に参加。グレタや世界の環境活動家、科学者、政治家たちとの対話に密着。Z世代の本音とは?
▽高校生や大学生が脱石炭など温暖化対策を求めて英グラスゴーのCOP26に参加。グレタや深刻な異常気象の被害を受けている世界の若者たちとの出会いに密着▽1.5℃に気温上昇を抑えなければ自分たちの未来はない!
 でも大人たちに伝わらない危機感。今できることは? Z世代の本音に迫る▽数万人が声を上げるデモ、科学者との対話で生まれた変化とは?▽日本の政治家に問う「気候危機」。鹿児島20歳の挑戦。#SDGs

気候変動によって自分の未来が奪われるとしたら…。

11月、イギリスで開かれた国連の気候変動対策の会議「COP26」には、そんな危機感を持った世界中の若者たちが集まり、対策を求めました。
その中には、日本から駆けつけた若者の姿も。なぜ現地に行き、何を得たのか。2人に聞きました。(COP取材班・岡本基良)

「気候変動に声を上げる意味」に気づいた高校生 原 有穂さん

「なぜ、私がここに来たのか、これから何をしなければならないのか、分かった」
COP26の開催地、イギリス・グラスゴーで、そう言って涙ぐんだのは、日本の高校2年生、原有穂さんです。
世界中から集まった数千人の若者たちとともに、気候変動対策を訴える中で、新たな気づきを得たといいます。
神奈川県に暮らす原さんは、子どものころに読んだマザー・テレサの伝記に影響を受け、発展途上国の貧困問題や国際貢献に関心がありました。
気候変動について強く意識し始めたのは、およそ半年前。

国際貢献に関心のある若者のつながりから、地元での石炭火力発電所の建設計画を知ったのです。
「2050年の脱炭素社会の実現」を宣言したばかりの日本で、なぜ温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電所を建設するのか。

原さんは、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんをきっかけに広がった「未来のための金曜日」に加わり、建設に反対するデモに参加するようになりました。 原 有穂さん

以下省略

同じようなニュースを昨年、書いたのを覚えている。それ以降、彼らZ世代の皆さんが何をしていたのか、近況はまったく知らないしメディアが取材することもない。

今回のニュースにしても番組にしてもNHKだからやっているのであって、スポンサー紐付きの民放でやることなど考えられない。

そもそも議題の核が「石炭火力発電」であり、COP26のアピールは、その脱二酸化炭素であり、もっとも多く排出しているのが石炭燃料であり、その元を探っていくと発展途上国の主要なエネルギー源になっているという根深い問題を抱えている。
さらにそれは「貧しい国」の貧困と、富の極端な格差を生み、地球上の今最も関心のある議題となって、主要先進国の石炭消費国(アメリカ中国)の欲得と絡んで意見の一致をみることができない。

ウガンダの若者 (文中引用)

ホームステイをして世界から集まった若者たちと交流しながら、ともに石炭火力発電の廃止などの気候変動対策を訴えました。
「声を上げる資格があるのか」
原さんは、現地で交流や活動を続ける中で、徐々に悩みも感じるようになります。
出会った世界各地の若者たちの中には、水害や干ばつで住む場所を失うなど、自分とは切実さの度合いが異なる人たちが多くいました。
「ウガンダでは干ばつが続いたことで水源が枯れ、水を得るために長い距離を歩かなければならないんです。女性が水くみに従事させられ、長い距離を歩く姿を小さい頃から見てきました」

「ラテンアメリカの人たちは気候の危機の被害を受けています。山火事が歴史的な規模に達しているんです」
さらに、現地での活動に対して、SNS上で批判も見られるようになりました。

「会場までどうやって行ったの?飛行機とか言わないよね?」

「今日から旧石器時代みたいな生活しろよな」
(いずれもTwitterより)***


はたして、そのウガンダの干ばつ飢饉を、われわれ日本人が想像することができるだろうか、という提起がある。

もちろん、この日本にしても、大昔は全く同じ飢饉を経験し、時代の為政者は、治山治水の大事業を経て、現在の安定した田畑耕作地が完成している。

3年前、外地凶弾に倒れた医師「中村哲」氏は、その国家事業を一人で成し遂げた人物だった。※戦乱や干ばつで荒廃したアフガニスタンやパキスタンで、多くの市民とともに人道・復興支援の歩みを進め、2019年12月4日にアフガンで凶弾に倒れた中村哲医師(「ペシャワール会」現地代表)。

そんなことを思うと、それらの問題は、多くの社会問題を抱え、そして提起しているが、そのスケールの大きさゆえ、「手のつけようがない」、というのが本音なのかもしれない。

そしてそれに身を投じた彼らの心理をおもんぱかると、ある疑問がついて回る。

今の大人のやっている負債を「自分たちに押し付けるな」、という正攻法は、もっともな話だが、さて、それと同じ考えの同世代は、まったく同じ考えでいるのだろうかと。もっともいなくても当然だし、それが民主主義多数決の法則に縛られる。

そしてそこに日本人的思考「意識たかい系」とした独特の、排他的思考が絡んでくる。
そんなことをざっくり表現すれば、"私には関係ないし難しいし「勝手にやれば」"ということになる。
その指摘が違うかもしれないが、もしそんな空気が蔓延していたなら、そうした同世代「お隣さん」たちが一人でも多く、彼らの輪に賛同し、欲を云えば、一緒に立ち上がってほしいと願う。

なぜかといったら前述した、「イギリス産業革命以来、大人の作った膨大な負債」は、自分たちが始末しないからである。SNSを読んでいてわかるように、仕掛けたのは大人であり、そこから莫大な利潤を得て、世界の富99%を寡占し、その還元先はどこといったら、同じ富裕層コミュニティ株式にスパイラルするからだ。
云ってみれば"パナマ文書"「マネーロンダリング」が存続する限り、それは白人社会の牙城なのである。


イギリス・グラスゴー「COP26」2021年11月13日

「COP26は写真撮影会ではなく、責任はすべての国にある」と決意を示し、事前に数十か国を訪れて下地作りを進めてきた。その成果は会期序盤から表れた。アメリカのバイデン大統領は、交渉をリードする前向きな姿勢を強調。

インドのモディ首相は、2070年のカーボンニュートラルを初めて表明、ブラジルも2030年までの削減目標を50%に引き上げるという新たな対策を打ち出した。

日本も岸田総理大臣が滞在わずか半日足らずの強行日程で参加し、途上国の削減対策への資金支援を表明。

イギリスが最大の使命とした「1.5度」の合意に向け、機運が盛り上がっているように思えた。

各国のエネルギー政策に踏み込む 「石炭」への言及
会議が進むにつれ、次はどうやって「1.5度」を実現するのかが議論の中心となった。イギリスは、開催前から「石炭」「車」など4つの個別分野で合意を強く望むと公言してきた。

石炭火力発電所(イメージ)

この中で注目の的となったのは「石炭」。会議が折り返しを過ぎた10日、シャルマ議長が示した成果文書の原案には、「石炭の段階的な廃止の加速を呼びかける」と記されていた。各国の国内政策であるエネルギー分野について、成果文書で言及するのは極めて異例。

世界中のメディアは、次々と速報で伝えた。

日本政府の関係者も、「想定よりはるかに高い要求を突きつけてきた。イギリスは本気で石炭火力に言及しようとしている」と驚きを隠せない。

一方で、反発も出た。

世界有数の産油国・サウジアラビアのエネルギー担当相は、「特定のエネルギー源に対する偏見を持つべきではない」と述べ、警戒感をあらわにした。2日後、修正された議長案では、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止」と表現が弱まり、反発する国々への配慮が伺えた。

なんとか成果文書に「石炭」を残したい。シャルマ議長の強い意志を感じる一方、まだ難色を示す国もあると伝えられ、水面下での交渉は最終日まで続いた。
ゴール目前かと思いきや どんでん返しが

会期が1日延長された13日朝。3度目の議長案が示された。「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」と「努力」という文言が入り、表現はさらに弱められた。そしてシャルマ議長は、「本日午後には会議を終える」と言い切り、合意は間近かと思われた。

インド ヤーダブ環境相

午後、最後の意見集約のため、全参加国が集まった会議。この場で、インドのヤーダブ環境相が「残念ながらコンセンサスは得られなかった」と発言。反発の対象は、「廃止」という文言だった。インドは、「この会議は特定のセクターを対象にするべきではない。途上国には化石燃料の使用を続ける権利がある」と強く訴えた。

全会一致を原則とするCOP。

このまま合意できなければ、「1.5度」を含めた成果文書全体が破棄されてしまう。EUの代表は「まるでマラソンの最後でつまずきそうになっているかのようだ。頼むからこの瞬間をむだにしないでくれ」と声を荒げ、海面上昇の影響を強く受ける島しょ国も合意なしに国に帰ることはできないと訴えた。

一方、南アフリカなど、インドの主張に同調する国も出て、議場は混乱。本来5か国ほどの発言で終わるはずだった会議は2時間以上に及んだ。シャルマ議長はその場を収めるため、一度会議の仕切り直しを宣言。

「石炭」への強いこだわりが、「1.5度」をも瓦解させかねない。その表情には動揺の色が浮かんでいた。

最終局面で巧みに立ち回ったのはあの国

議場では、各国の代表が立ったままで交渉を続けていた。調整役を担うのはシャルマ議長かと思われたが、ここで存在感を示したのはアメリカと中国だった。アメリカは、ケリー特使。「パリ協定」の交渉にも関わるなど、気候変動のスペシャリストだ。

議場を自由に歩き回り、時に各国の代表の肩を抱きながら話し合った。

シャルマ議長を呼びつけるような様子もあった。

中国 解振華氏 一方の中国の代表は、解振華氏。

20年以上前の京都議定書が採択された頃から気候変動の国際交渉に関わっている。解氏もケリー氏とともに、交渉の輪の中心に立っていた。実は、この2人、会議の前にも個別に長時間話し込み、一緒に手元の紙をのぞき込む姿が目撃されていた。そして、ケリー特使、解氏、シャルマ議長、それにインドとEUの代表が、一度議場を去って別室に。

別室から戻ってきたケリー特使と解氏

40分ほどして戻ってくると、解氏の表情には笑顔も見られた。その後、ようやく再開された会議で、インドは「段階的な廃止」を「段階的な削減」と変更することを提案。これに対して、スイスが「変更には反対しないが大変失望した」、マーシャル諸島が「落胆とともにこの変更を受け入れる」と述べ、不満をにじませたが、最終的には容認した。

おわびをするシャルマ議長

終始「石炭」にこだわってきたシャルマ議長は、最終盤で表現をさらに弱めざるを得なかったことを受け「このような展開になってしまったことをおわびします。しかし、文書全体の合意を守ることが何よりも大事なことです」と述べた。
シャルマ議長の目には涙が浮かんでいた。
マジメな人柄を自認し、“タフガイ”として知られていた彼が涙した姿に各国は拍手を送り、成果文書は採択されたのだった。

成果が欲しかった… イギリスの事情

合意は「歴史的」か「妥協の産物」か。

シャルマ議長は、合意のあと「各国が互いの違いを乗り越えて共通の課題に立ち向かうために団結できることを世界に示した」と意義を強調。しかし、一部の交渉関係者からは「シャルマ議長は『石炭の段階的な廃止』を死守できると賭けに出たが失敗した」といった声も聞かれた。

シャルマ議長とジョンソン首相

イギリスには、合意を優先せざるをえない事情もあった。COP26は、イギリスがEUを離脱して初めて迎える最大規模の国際会議。存在感を世界にアピールする絶好の機会だった。

そのため、これまでのCOPの成果を一段上回る「1.5度」を最大の使命とし、これまでの成果文書では入ることがなかったエネルギー分野の対策として「石炭」を盛り込むことを強く望んだのだった。

アメリカ、中国は何を考えていたのか?

マイケル・ジェイコブス教授

一方、アメリカと中国の動きは何だったのか。複数の交渉関係者とパイプをもつ、シェフィールド大学のマイケル・ジェイコブス教授は、「石炭」に関するインドの反発の影で、中国が動いていたと推測。

その理由として、インドの発言の直前の中国代表のスピーチを挙げた。

このとき中国の代表は、「いくつかの表現は、中国とアメリカの共同宣言に従ったものにしてもらえると良い」と述べていた。共同宣言とは、COP26の会期中に、中国とアメリカが、突然発表し、世界を驚かせたもの。ここに「中国は5か年計画にそって石炭の消費を段階的に削減し、その加速のために努力する」と石炭に触れた部分がある。

教授は、「両国はこの部分について非常に激しく交渉したのだろう。そして、COPの成果文書でも同じ言葉を使うことを望んだのでは」と分析した。

オールデン・メイヤー氏

それではアメリカは、なぜ調整役を買って出たのか。長年アメリカ政府に気候変動政策を提言してきたオールデン・メイヤー氏は、COPの会期中にバイデン政権の看板政策となる法案を巡って、アメリカ国内で調整が行われていた事情に着目。「法案には電力部門の脱炭素施策が盛り込まれているが、石炭産地から選出された議員との交渉も続いていて、石炭に関して踏み込みたくなかったのではないか」と話す。

利害が一致したアメリカと中国。

唐突とも思われたインドの提案どおりに合意が成立した裏には、2つの大国の思惑も見え隠れした。

イギリスは、開催前から「石炭」「車」など4つの個別分野で合意を強く望むと公言してきた。
この中で注目の的となったのは「石炭」。

会議が折り返しを過ぎた10日、シャルマ議長が示した成果文書の原案には、「石炭の段階的な廃止の加速を呼びかける」と記されていた。各国の国内政策であるエネルギー分野について、成果文書で言及するのは極めて異例。世界中のメディアは、次々と速報で伝えた。
日本政府の関係者も、「想定よりはるかに高い要求を突きつけてきた。イギリスは本気で石炭火力に言及しようとしている」と驚きを隠せない。
一方で、反発も出た。

世界有数の産油国・サウジアラビアのエネルギー担当相は、「特定のエネルギー源に対する偏見を持つべきではない」と述べ、警戒感をあらわにした。2日後、修正された議長案では、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止」と表現が弱まり、反発する国々への配慮が伺えた。
なんとか成果文書に「石炭」を残したい。シャルマ議長の強い意志を感じる一方、まだ難色を示す国もあると伝えられ、水面下での交渉は最終日まで続いた。ゴール目前かと思いきや どんでん返しが会期が1日延長された13日朝。3度目の議長案が示された。
「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」と「努力」という文言が入り、表現はさらに弱められた。
そしてシャルマ議長は、「本日午後には会議を終える」と言い切り、合意は間近かと思われた。インド ヤーダブ環境相午後、最後の意見集約のため、全参加国が集まった会議。

この場で、インドのヤーダブ環境相が「残念ながらコンセンサスは得られなかった」と発言。反発の対象は、「廃止」という文言だった。
インドは、「この会議は特定のセクターを対象にするべきではない。途上国には化石燃料の使用を続ける権利がある」と強く訴えた。
全会一致を原則とするCOP。このまま合意できなければ、「1.5度」を含めた成果文書全体が破棄されてしまう。EUの代表は「まるでマラソンの最後でつまずきそうになっているかのようだ。頼むからこの瞬間をむだにしないでくれ」と声を荒げ、海面上昇の影響を強く受ける島しょ国も合意なしに国に帰ることはできないと訴えた。一方、南アフリカなど、インドの主張に同調する国も出て、議場は混乱。本来5か国ほどの発言で終わるはずだった会議は2時間以上に及んだ。

シャルマ議長はその場を収めるため、一度会議の仕切り直しを宣言。
「石炭」への強いこだわりが、「1.5度」をも瓦解させかねない。その表情には動揺の色が浮かんでいた。最終局面で巧みに立ち回ったのはあの国議場では、各国の代表が立ったままで交渉を続けていた。

調整役を担うのはシャルマ議長かと思われたが、ここで存在感を示したのはアメリカと中国だった。

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