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昔の話を聞くのが好きになった

日本製のピアノと言えばヤマハ、カワイが断トツに有名ですが、かつてはたくさんのメーカーが国内にもありました。

僕の診ているピアノも約2割はそういったメーカーのピアノです。そんないわゆる有名メーカーでは無いピアノの調律のときに、持ち主の方からこんな話を聞きました。

「このピアノ、自分が子供のときに父に買ってもらったんですが、当時(1973年)ちょうどオイルショックで一時的にヤマハのピアノが手に入らなくて…」

「でも買ってもらう約束をしてたんで、すぐ手に入るこのピアノにしたんです」

このころのヤマハのピアノは生産台数だけ見ればまだ順調に伸びている時期です。
確かによく考えればオイルショックによって工場がストップすることはピアノも例外ではなかったはずですが、消費者側ではそんなことが起こっていたとは。特に「なのですぐ手に入るピアノを買った」と言う部分はリアルな話だなあと。

教科書には載らないハナシ

最近でも、2020年からのコロナ禍において巣ごもり需要でピアノの販売はかなり好調でした。久しぶりのピアノブームと言っていいほどに。ピアノの歴史の教科書に当然この事実は掲載されるでしょう。

同時に実は、2022年頃までは欲しくてもピアノがなかなか手に入らないという問題も起こっていました。納期が半年以上待ち。モデルによっては1年以上先になるものもあって。なんとなく、このことは50年後には相当掘らないと出てこない気がします。

最近、当時の人から聞く思い出や生の証言は貴重だなと、ひしひしと感じています。書いた記事を振り返ってみると、話を聞くことで知ることができた知識も多いです。

ピアノの歴史において重要なトピックは時代ごとにたくさんあります。でもその間のことや一時的な出来事、ごく一部でだけ起こっていたことなどはすぐにアクセスできる情報には残っていません。

80代の方に聞いた終戦後まもなくのピアノとの触れ合い方だったり、ふたまわり上の調律師が昭和の歌舞伎町で調律をまわってたときのちょっと恐い話だったり。やはり体験に勝るものはないなと。

そしてそういった中に実は重要なことが潜んでいたりします。

もちろん人の思い出なので勘違いやバイアスがかかってしまう恐れはありますが、それも含めて生の知識は聞けるだけ聞いておいたほうが良いし、ささいなことでも残せるだけ残しておいたほうが良いなと思っています。

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