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『マクロな視点からのまちづくり』令和5年度研修報告②

市町村アカデミー主催「市町村議会議員特別セミナー」

1.期日   令和6年1月9日(火)~10日(水)
2.研修先  市町村アカデミー(千葉県浦安市)
3.内容  
(1)デジタル田園都市国家構想の実現に向けて
   内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局長 吉川 浩民 氏
(2)デジタルで新しい行政のカタチを実現
   株式会社トラストバンク取締役兼パブリテック事業部長 木澤 真澄 氏
(3)稼ぐ観光政策 ~市町村における観光政策の落とし穴~
   跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部准教授 篠原 靖 氏
(4)自治体×アナウンサーで創る 地方が主役の未来
   株式会社Cheering(チアリング)代表取締役 長崎 真友子 氏

この研修は、市町村職員向け研修施設の「市町村アカデミー」で年3回開催される「市町村議会議員特別セミナー」の令和5年度3回目の研修で、議員となってからは初めての参加となります。

とはいうものの、この施設は市職員時代の研修で2回ほど訪れたことがあり、ちょうど10年ぶりの訪問。
施設の周辺には大学やビルが並ぶ都会的な環境でありながら、施設内は運動施設や公園等緑も多く、宿泊棟の窓から朝日が差し込む気持ちの良い環境で、市職員時代に研修した時を思い出して懐かしく感じました。
一方で議員となってここに再び来るとはまったく思っておらず、不思議な感じもありましたが、当日は各地方議会から100人を超える地方議員が集まり、盛況なセミナーとなりました。

研修内容も充実したものであり、例えば「デジタル田園都市国家構想の実現に向けて」の講演では、国で進めている「デジタル田園都市国家構想」の説明から、この構想に基づく「デジタル田園都市国家構想交付金(デジ田交付金)」を活用した他市町村の事例が紹介されました。

花巻市はデジタル化を進めているものの、デジ田交付金のうち令和5年度までタイプⅠと呼ばれる「他市町村のデジタル実装の事例を活用した交付金事業」には取り組んでいませんでした。
私は、この点について、この研修の事例を参考に令和6年3月議会定例会一般質問において取り上げました。

この「デジタル田園都市国家構想総合戦略」及び「デジタル田園都市国家構想交付金(デジ田交付金)」については、過去の記事でも取り上げましたので、詳細は省略しますが、いずれ今年度はタイプⅠを活用して、「市の公式LINEによる広報事業」や「デジタル観光統計サービスを利用した観光客動態調査」などに取り組んでいくとのことでした。

また「デジタルで新しい行政のカタチを実現」の講演では、他市町村において積極的に電子申請に取り組んでいる事例が紹介されました。
電子申請については、花巻市でも国が提供する「マイナポータル」のサイト上で取り組んでいるのですが、多くの市町村で「マイナポータル」ではなく、市町村のホームページで簡単に電子申請が行えるというサービスを導入しているそうです。

講演が終わった後、講師の木澤氏と直接お話をして、花巻市が取り組んでいるマイナポータルにおけるデジタル申請の問題点等について指摘を受けました。

この点については、令和6年3月議会定例会一般質問及び議案審議において取り上げたましたが、花巻市でも令和6年度から「マイナポータル」上ではなく、市町村のホームページで簡単に電子申請が行えるというサービスを導入するとのことでした。
詳細については、過去記事において取り上げましたので、そちらを参照していただければと思います。

いずれ、研修で学んだ内容や他市の事例を市議会の場で活用できるという意味では、非常にいい研修の機会だったと思っています。


廣瀬行政研究所主催地方議員セミナー

1.期日   令和6年2月22日(木)
2.研修先  第一イン池袋「アゼリア」(東京都豊島区)
3.内容
  「効果的な予算・決算の審議手法を考える」
  株式会社廣瀬行政研究所 代表取締役 廣 瀬 和 彦 氏

この研修は、市町村の予算・決算審議における地方議員の質問のコツなどを研修するセミナーで、各地方議会から20名程度の議員の方が参加しました。

花巻市の「予算特別委員会」や「決算特別委員会」における審議を見てみると、「木を見て森を見ず」もしくは「重箱の隅をつつく」ような質問が散見され、どうも本質的な議論が少ないように感じていました。
もちろん、市民の生活に直接影響する質問は大事ですが、市の方向性を問うマクロ的な質疑がもっと交わされることが重要と考えます。

講演の中で、講師の廣瀬先生からは「予算・決算の審議については独立したものではなく、『予算審議→予算成立→事業実施→決算審議→決算認定→決算に基づく次年度予算編成』といったPDCAサイクルを回していくことが基本である」という説明があり、改めて事業評価に基づく次年度予算編成の重要性を認識したところです。

また、予算編成の重要性に関し、廣瀬先生から「予算編成方針の決定→予算編成→予算案の策定」という流れの中で「予算編成方針に基づく予算案となっているかどうかについて追求するのが議員の仕事」という話がありました。

花巻市では予算編成方針は行政内部の通達にとどまっていますが、研修に参加した他の地方議員の自治体では、すべて予算編成方針をホームページ等で公表しているとのことで、調べてみると、岩手県の多くの自治体でも予算編成方針を公表していました。

それどころか、千葉県の船橋市や静岡県の富士市では、予算査定の途中経過をホームページ等で公表するなど、予算編成の透明化が進んでいます。

私は、この点について3月の予算特別委員会において「予算編成方針を公表してはどうか」と提案し、市当局からは「検討する」との答弁をいただきました。
長く市職員をしていましたが、「予算編成方針の公表」は本当に「目から鱗」の視点であり、すべて他市と同等に行うべきとは思いませんが、他市の事例を知るというのは本当に重要なことだと改めて感じさせられました。


講師の廣瀬先生から「適正な議員報酬について」のアドバイスをいただきました。

なお、講師の廣瀬先生には、以前花巻市議会議員向けに「適正な議員報酬を考える」というテーマで講演をいただいたことがあります。
私は、講演の前に議員報酬の見直しについて直接廣瀬先生とお話をして「議員の活動日数に時間単価(単価は市町村幹部職員時間単価等独自に設定)をかけて算出した金額を適正な議員報酬とする考え方もある」というアドバイスをいただきました。

花巻市では、12月に「花巻市議会議員報酬調査検討特別委員会」を設置して議員報酬について検討を行っていますが、私は、廣瀬先生のような方を特別委員会の外部アドバイザーとして招聘するなど、外部有識者を積極的に活用するべきだと考えています。

「市議会議員が議員報酬を決める」というのは、「自分の給料を自分で決める」ということにもなり、市の税金を報酬としていただいていることを考えると、どのような調査検討結果がでようと納得のいかない市民の方もいるはずです。
そういった意味でも「外部からの意見」というのは重要で、いずれ「議員報酬」については、市民や外部有識者の意見を聞きながらすすめていくべきと思います。

脱線してしまいましたが、いずれ外部研修というのは、非常に刺激的で有意義なものであることは間違いありません。
前回の記事でも話しましたが、議員の仕事として、市民の方々からお話を聞き、地域の方々の課題を解決することはとても重要である一方、市民や行政と一緒になってマクロな視点から「まちづくり」を行っていくことも重要であると考えます。

私はそういった意味で、まちづくりに還元できるよう、先進事例を学んだり、知見を広げたりすることは大きな意味があると思っています。

今年もすでに「市町村アカデミー」の「市町村議会議員特別セミナー」を受講させていただくことが決定していますし、市民の皆さんに何かしらの還元ができるよう、様々なセミナーに参加させていただきたいと考えています。

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