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「将来のまちをどう描くか?」~一般質問その①~

デジ田交付金を活用した事業とは?

前回の記事で「グランドデザイン」の話をしました。
私は、「現状の社会課題の解決のみならず将来に向けて市の方向性を示す『グランドデザイン』をつくっていく」という立場で政治活動を進めています。

その意味で、市当局にまちづくりの方向性を問う「一般質問」は重要で、現在開会中の令和6年花巻市議会3月定例会の一般質問では、14人の議員が質問しました。
私は全体の10番目、3月5日の火曜日のラストバッターとして登壇しました。

今回は、
1 デジタル田園都市国家構想総合戦略に基づく市の対応について
2 大学との連携について
の2点について質問しました。

デジタル田園都市国家構想総合戦略は、国がデジタルを使って社会課題を解決する構想であり、今回私は、地方自治体がデジタルを実装して新たな取り組みをした場合の国から支援策である「デジタル田園都市国家構想交付金(以下:デジ田交付金)」の令和6年度の花巻市での活用について、当局の取り組みについて質しました。

市の答弁では、花巻市ではデジ田交付金を使って「市の公式LINE」を開設するほか、6つの事業(総額2億6303万7千円:補助額1億3151万8千円)を実施するとのことでした。

近年、各地方自治体でLINEを使った住民サービスが増えています。
このサービスで有名なのは福岡市ですが、福岡市では住民へのサービス提供のほか、住民が道路の損傷(穴ぼこ等)や、公園の遊具の損傷を見つけた場合に、LINEを使って住民から市へ通報できるそうです。

花巻市では、まだどのようなサービスを提供するか正式に決まっていないとのことですが、今の若者は市が発行する広報誌はもちろんのこと、インターネットのホームページすら見ないようなので、今まで市の情報を受け取ることができなかったユーザーにLINE等で周知できるのは非常にいいことだと思っています。

今回、市で導入予定の公式LINEは、例えば「子どものいる家庭に子育て情報を提供する」とか「成人の健康診断を対象者に連絡する」とか、必要なユーザーに必要な情報を提供するいわゆる「プッシュ型」の情報提供サービスです。

現在花巻市では、市の広報誌を全戸配布していますが、広報誌は情報をまんべんなく掲載しているので、結果その情報を必要としないレイヤー(階層)にとって、ある意味「ムダ」が出ます。
これはホームページも同じことで、結果、どのレイヤーも満足できない広報誌やホームページが出来上がる・・・最近UI(ユーザーインターフェイスr)やUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉がよく聞かれるようになっていますが、まさに自治体が発行する広報誌の多くは、ユーザー目線で満足できない様な設計になっているといえるでしょう。
これからは、今回の「公式LINE」のように、必要なレイヤーに対し必要な情報提供が提供されるようになってくると思います。

この他の事業については、時間がなく詳細な内容が確認できませんでした。その部分については3月12日から14日まで行われる「予算特別委員会」の場において内容を確認していきたいと思います。


サテライトオフィスの整備には消極的

次に「サテライトオフィスの整備」について質問しました。
国では令和9年度末までに全国で1200の地方自治体にサテライトオフィスの設置を目指すとしており、先述の「デジ田交付金」を活用すれば、施設の整備について補助率3分の2、最大9,000万円の支援を受けることが可能となっています。

「関係人口」を増やす意味でも、花巻市でもサテライトオフィスの整備に取り組んでみてはどうか?との質問でしたが、「首都圏から3時間かかる花巻市に特定の企業がサテライトオフィスを設置する可能性は高くない」「北上市や盛岡市と違って在来線の駅と新幹線の駅が離れているので課題がある」「コワーキングスペースだったら可能性あるかも」ということで、サテライトオフィスの整備には消極的な答弁でした。

現状はその通りなのですが、戦略的にもう少し積極的に取り組んでもいいのではないかと思います。
時間がなく、再質問の場では、他自治体の事例紹介と、総務省の調査による、実際にサテライトオフィスを整備した自治体による意見を紹介するにとどまりましたが、「もう少し積極的に誘致に努めるべき」と強調したほうがよかったかもしれません。

例えば、新潟県上越市では、「サテライトオフィス」の誘致に積極的に勤めながら、花巻市のように中心市街地からやや離れた地域にある新幹線駅(上越妙高駅)にローカル5Gを整備したコワーキングスペース付きのサテライトオフィスを整備したとのことです。


現在の花巻市の企業誘致は、岩手県南地域の自動車産業や半導体産業等製造業や、流通業を中心とした企業誘致に力を入れています。
もちろん誘致企業が進出することで、雇用の場が生まれ税収も上がるといったメリットもありますが、現状でも花巻市の有効求人倍率は1.6倍前後であり、また花巻市に進出してくる誘致企業が求める人材と働く場を求める人材とのギャップもあると思います。

具体的に言えば、市内の高校を卒業し市外の大学に進学した若者が、花巻に帰って職を求めても大卒の人材を受け入れる職場は多くありません。
進出した誘致企業が、積極的に大卒の新人を採用するかといえばそれも微妙で、結果Uターンはあきらめて、首都圏等に就職するケースも多いと思います。

家族をもって、ある程度の年齢になってからのUターンはさらに厳しいところも多く、そういったことを考えれば、製造業や流通業に特化した企業誘致を進めるだけではなく、ソフトウエアや通信業界など、これからの業績の伸びが期待ができる若者が働きやすい業界とのコネクションを増やすべきであり、そういった意味でも、サテライトオフィスの誘致に取り組んでいった方がいいと思います。

私は、「将来のまちをどう描くか?」という視点に立った時、花巻市はデジタル化を避けて通れない、いや、逆にデジタルを進めることによって積極的にまちづくりをすすめるべきと思っています。
こういった意味で今回質問させていただいたのですが、やはり「現状の社会課題の解決を中心とする」市当局とのギャップがあり、なかなか噛み合う議論にならなかったのは残念でした。

次回は、一般質問2つ目「大学との連携について」に報告したいと思います。

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