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花巻市議会3月定例会&臨時会報告

令和6年花巻市議会3月定例会は、3月19日(火)に閉会しました。今回の定例会では、一般質問のほか、議案審議、予算特別委員会においても、市当局の案に質問を行い、様々な提案をさせてもらいました。

提出議案の審議

議案審議は3月7日(木)に行われました。
今回の議案審議の中で、一番時間を割いて議論されたのが「第3次花巻市環境基本計画」の策定の中の「悪臭問題」についてでした。

この「悪臭問題」、矢沢地区の皆さんは長年この問題に悩まされてきており、畜産振興のための処分場として必要だとする岩手県の考え方に花巻市としてどう対応していくのか、その部分を環境基本計画策定にあたり確認しておきたいとのことで、多くの質問がありました。
この問題は、予算特別委員会でも引き続き議論となりましたが、これはごみ処分場や、青森県六ケ所村の原子燃料リサイクル施設などいわゆる「迷惑施設」をどこが引き受けるかという問題と同じ構図とも言え、「これをやればいい」という明確な解決策がありません。

悪臭問題や地球温暖化、騒音、大気汚染などの環境問題は、SDGsの観点からも短期的ではなく長期的な課題として捉えていかなければなりませんし、グローバルな視点での取り組みも必要です。
このことについては、また改めて取り上げてみたいと思います。

さて、この議案審議で私は、新たに制定される「花巻市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例」について質問しました。
この条例は、いわゆる「電子申請」についてあらためて定義するもので、私は条例そのものというよりも今度導入予定の「電子申請システム」について内容を伺いました。

花巻市ではこれまで、国(デジタル庁)が提供する「マイナポータル」というサイトにおいて、40数件の電子申請を行ってきました。

「マイナポータル」は『子育てや介護などの行政手続の検索、オンラインでの申請など、ワンストップのサービスを提供します』という国のうたい文句のわりに「花巻市の電子申請にたどり着くまで何回クリックしなきゃいけないんだ!」というくらいめちゃくちゃ使いづらくて、いわゆるUI(ユーザーインターフェイス)的に言っても、まったくユーザー目線になっていないサービスだと思います。

多くの市町村で「マイナポータル」上で電子申請を行うのではなく、市町村のホームページで簡単に電子申請が行えるというサービスを導入してきています。
今年の1月、600以上の市町村に「申請フォーム」サービスを提供している会社の役員の方のお話を聞く機会があったのですが、その方のお話では、施設の利用申請書のような簡単なものであれば、特にプログラミングのような専門的知識がなくても、職員が30分程度でホームページ上の「申請フォーム」を作成することが可能となるとのことです。

私は、「紙」の申請書から「電子申請」に変わることにより、市民サービスの向上、省力化による職員の負担軽減、ペーパーレスによる環境負荷の軽減等に大きな効果があると思っており、花巻市でも他市町村のように導入すべきと考えてきました。
そういう意味で今回の「電子申請」化は大いに歓迎するところです。

肝心の議案審議における議論ですが、導入内容の詳細がまだ決まっていないとのことであり、電子申請における質問する方と答える方の情報量に差があったため噛み合った議論にはなりませんでした。
私自身もう少しかみ砕いて分かりやすく質問すればよかったな、と大いに反省するところです。

予算特別委員会による令和6年度予算案審議

3月12日から14日まで開催された「予算特別委員会」で、私は以下の5点について質問しました。
・花巻市の予算編成方針について
・市民団体等活動支援事業補助金について
・シティプロモーション推進事業について
・各種検診における受診率向上について
・地域観光資源活用推進事業(ロケ誘致補助金、コンベンション開催支援補助金)について

このうち、市の予算編成については、目的を達した事業や効果の薄い事業のスクラップ(廃止)を徹底するともに、10月頃に各部署に向け通達される「予算編成方針」をホームページ等で公開してはどうか、と質問しました。

「予算編成方針」については、多くの市町村では公開されており、予算編成の透明化を図るとともに、予算編成にあたっての現状の認識と来年度へ向けた市の方向性を指し示す意味でも私は導入すべきと考えます。

市長の答弁では「検討を行う」とのことだったので、実施に向け十分な検討をしてもらうよう期待しています。


臨時会の案件は「総合花巻病院財政支援事業」

ということで、3月19日(火)に3月定例会は閉会しました。
議会も閉会したので、資料を整理しようと思っていた矢先のこと、第2回花巻市議会臨時会を3月22日(金)に開催するという連絡がきました。

正直言いまして、定例会終了後の3日後に臨時会を開催するという、聞いたことのない事態に戸惑いましたが、何か緊急を要する事案が発生したことは間違いなく、ある程度の覚悟をもちながら当日を迎えました。

当日は、9時から臨時会にかかる議員説明会、13時30分から臨時会開会という日程で、まずは議会説明会で市当局の説明を聞きました

臨時会の案件は「総合花巻病院財政支援事業」についてでした。

公益財団法人総合花巻病院は、経営環境が悪化し2年連続で債務超過の見込みとのことです。
法律(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」)によれば、純資産額(※)が2年連続で300万円未満となった場合には、財団法人は解散を余儀なくされることとなり、このままいくと、総合花巻病院は本年3月には解散事由が発生するとのことです。

こうしたことから、花巻市と金融機関そして総合花巻病院は、病院の維持に向けて協議を重ね、本年3月中に花巻市が財政支援を行い、かつ、金融機関も債務を減免すれば、なんとか本年3月31日時点での債務超過を解消することができるという結論にいたったとのことです。

これを受け、市当局は、総合花巻病院に対して「5億円」の財政支援を行うという補正予算案を今議会に計上しました。

総合花巻病院の経営悪化の原因は、1つには病院移転費用としての「解体費」や建物や設備の「減価償却費」が想定よりも増大していること、2つ目には病院内クラスターの発生等新型コロナウイルス感染症の影響が大きかったことなどによるものだそうです。

総合花巻病院については、これまでも19億円以上の補助金を投入してきました。
これは、総合花巻病院の移転新築に伴い財政支援してきたもので、今回新たに5億円の財政支援を行うことに対し、市民の方からの批判も予想されるところです。

確かに一病院に「5億円」という多額の支援を行うことは、批判の声が上がって当然だと思います。
一方で、総合花巻病院は、花巻市の地域医療にとって大きな役割を果たしており、財政支援がなければ、救急期や回復期、包括ケアなど198床の病床が失われます。

議員説明会、臨時会の場で議員からも様々な質問、意見がありましたが、結果、全会一致で補正予算は可決されました。

今後、総合花巻病院においては、経営基盤の強化のための経営陣の見直しを含め、事業再生計画を策定しながら経営改善に取り組んでいくとのことです。

これだけ公的資金を導入しているのですから、花巻市議会としても総合花巻病院の経営状況等は注視していかなければなりません。

花巻市ホームページに詳しい内容が掲載されていましたので、リンクを貼っておきます。


ということで3月定例会と臨時会の報告を終わります。
次回は、令和5年度の議会活動の総括を行う予定です。


※ 純資産とは「総資産(企業が保有するすべての資産)-負債(返済義務がある資産)」のことであり、純資産がマイナス(自分の財産をすべて売却したとしても借金が残る状態)を「債務超過」という


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