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【現場のリアルな声】現役教師63人にLGBTQIA+について、いろいろ聞いてみた!~前編~

みなさんこんにちは、ふむふむです^^!

今回は、学校教育に携わる現役教員(2022年8月31日時点)にご協力いただいた、LGBTQIA+に関するアンケート結果をご紹介します!

2022年7月、府立人権教頭部会にて『”ちがい”を知ろう~当事者に聞く性の多様性~』と題して講演をさせていただきました!
講演に関するnoteはこちら
※講演者:げんのすけの紹介に関するnoteはこちら

学校教育現場でNo2☆の教頭先生に向けて、当事者の方々が学校教育に対してどのように感じ、学校現場に何を求めているのか、リアルな想いをお伝えしたいと思い、講演に先立ち、当事者の方々へのアンケートを実施しました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
教頭とは?に関するnoteはこちら

当事者の方々へのアンケートの内容は、学校生活において困ったこと・学校の対応で助かったこと/嫌だったこと・今後学校に期待することなどです。
特に、今後学校に期待することの主な回答は以下の3点でした。
■制服を選択できるようにしてほしい/制服をなくしてほしい
■呼称を男女で統一してほしい(全員「さん」で統一する)
■セクシャリティーに関する授業をしてほしい/(教師は)正しい知識を持ったうえで対応してほしい

これら3点も踏まえ、次は学校教育に携わる現役教員からリアルな声をいただき、当事者の方々を含む多くのみなさまにお届けしたいと考え、学校教育に携わる現役教員にLGBTQIA+に関するアンケートを実施しました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

前置きが長くなりましたが、いよいよ結果~前編~をお伝えします!


アンケート対象者と回答数

現役で学校教育に携わっている教員(2022年8月31日時点)に無記名でお答えいただきました。(質問は全部で13個あります)
教員の内訳は、教頭・教員(教諭、講師等)・指導主事(教育委員会)などです。
回答数は63件ヽ(^o^)丿今、まさに現場で活躍されている先生方のリアルなお声をお届けします!
また、教育公務員経験15年、教頭経験もあるYukoの補足情報も併せてお届けしますφ(..)


質問1.当事者の生徒と関わったことがある?

はい・・・63.5%
いいえ・・・36.5%

10人に1人は当事者がいるともいわれている中で、この数字はまだまだ低いように感じました。


質問2.プライベートで当事者と関わったことがある?

はい・・・22.6%
いいえ・・・77.4%

プライベートとなると、一気に数字が下がりました。


質問3.プライベートで当事者と関わる際に困ったことやわからなかったことは?

・わからないことだらけです。人によって全く違うので、ともかくよく話を聞き、対応しました。
・どこまで性に関わる部分を聞いていいのか、本人が発信する以外のことには触れにくかった。どんな配慮をしてほしいのか、聞いて良いのかもわからなかった。

そもそも触れてよいのか、どこまで話を聞いてよいのか…と考えてしまうようです。


質問4.プライベートで当事者と関わってプラスに感じたことは?

・性自認や性的志向が千差万別で、ひとくくりにできないことが分かった。
・より多様な考え方に触れることができ、考え方の幅が広がった。
・如何に自身が相手のことを受け入れることができるかを量ることができた

・1人の人間として関わっているので、「当事者であるから」という理由でプラスに感じたことはない。

当事者の方に関わってみたからこそ知識が増え、世界観が広がったという回答が中心でした。


質問5.当事者の生徒と関わるうえで、困ったことは?

・生徒が当事者であることを、教職員をはじめ、周囲が「知らない体」で関わっていたので、対応が難しかった。
・保護者には知られたくない、またはカミングアウトできていない、生徒はカミングアウトしたいが親が望まない、保護者の理解が得られないなど、生徒本人よりも保護者への対応に苦慮した。
・生徒自身の生きづらさを周囲と共有することが難しかった。また、当事者としての生きづらさと集団活動に馴染めないという二重の悩みを持っている生徒への対応が難しかった。
・当事者の生徒にどこまで潜在的な意向を聞き出してよいのか判断に困った。また、周囲の生徒との区別(配慮した対応)をどこまでしてよいのか判断に困った。
・周囲への生徒へどのように理解促進をすることができるのか困った。知識不足からくる心無い対応をどのように抑制するのか対応に苦慮した。
・周囲の生徒からの「いじり」を、どのように制止するか手立てを考えた。
・トイレ/更衣場所などの施設設備の問題や、修学旅行中の扱いに苦慮した。
・制服の問題。個人的には何を着ても本人の自由だと思うが、進路指導や生徒指導の観点、周囲の生徒の無理解からくる言動などを考慮するとなかなか前に進めないのが現状です。

当事者である生徒自身だけではなく、保護者対応や周囲の生徒への理解促進、さらに社会的背景…とさまざまなことを鑑みて苦慮されている様子がうかがえました。


質問6.当事者の生徒と関わった中で、結果的に成功(正解)だったと思われる対応例は?

・入学前に相談をしてくれたので、MTFの生徒が入学当初からスカート着用で登校できたこと。周りから何か言われることもなかった。
・あまり特別視をせずに、できる配慮をすることで自然に当該生徒の居場所が学校に生まれ自分らしく学校生活が送ることができたと伝えてくれたときは本当に良かったと感じることができた。
・ひとりの人として、周囲の生徒と同様に接したこと。
・本人が話しやすい環境をつくり、話をしてくれたときは傾聴することに徹し、否定をしなかったこと。
・人権教育や学年集会等の機会をつかって、周囲の生徒が理解を深めることができるようにしたこと。
・本人の希望を尊重し、保護者集会で保護者向けに、「子どもたちにさまざまな人権の尊重の中で、性的マイノリティに苦しむ人もいる」、そのことの理解を促進を図ってほしいと依頼をした。その後、本人は周囲に溶け込めたように思う。

・学年全員に多様性について授業を行った。人の考え方はいろいろあることなど時間をかけて授業をおこなった。
・体育の授業やトイレ・更衣などについて適宜本人と相談し、学校として出来ることできないことを明確にして双方の要望について常に調整しながら進めたこと。

本人の想いや要望をしっかり聞くこと、周囲の生徒の理解促進にも努め、現実も伝えながらできることからひとつずつ進めていくことなど、何よりも本人を尊重した対応ができたという成功例が多かったです。

一方で、
・残念ながら成功したと感じたことはない。
・今振り返っても後悔ばかりです。

といった回答もありました。
これといった対応ができず、ずっと悔やみ続けているという心境を吐露してくださった先生方もいらっしゃいました。


質問7.制服はあったほうがよいと思う?

はい・・・43.5%
いいえ・・・35.5%
どちらでもない・・・21.0%

意見が割れているのがわかりますね。
学校現場では制服の意義がそれなりにあるようです。


質問8.制服をなくせない(なくさないほうがよい)理由は?

・社会的に「みだしなみ」を重視する風習がある以上、学校で規律や正しい服装の着こなしを学ぶことが大事だと思うから。
・数百人規模の未成年者を教育する学校運営上、効果が高い(大きい)点があるため。
・式典等では制服や標準服で参加することに意義があるため。
・学校のシンボルであり、帰属意識を高める効果があるから。
・生活規範意識を服装指導から育成することができると思うから。
・学校としては、就職や進学の試験に対応する視点で、制服がある方が指導しやすいなどの利点がある。

・生徒の中には制服で学校を選ぶ声もあるから。
・私服にすると、経済的な負担が大きい。経済状況により服装に差が出てしまう。制服は冠婚葬祭や就職活動など正装が必要な場面のどこにでも着ていけるので、経済的負担を軽減できる。
・私服になれば各自の好みの衣装を身につけることができるが、価値観の違いから衣装についての批判等が心配される。また、衣装の競争になることも懸念する。
・毎日服を選ぶのが大変だという声を聞いたことがあるから。
・制服が好きな人は制服の学校へ、制服が嫌いな人は制服のない学校へ進学できるよう選択ができることが大切だと思うから。
・制服自体は、生徒にとってメリットも大きいのであってもよいと思うが、まずは男女とも制服を選択できるようにすればよいのではないか(男子生徒がスカート型制服を選ぶことも含めて)。
・標準服を設けて、式典では必ず標準服を着用することとし、普段は標準服と私服のどちらで登校しても良いようにすればよいのではないか。

社会背景、経済状況、教育(指導)を考慮すると、制服の必要性もあるようですね。ただし、ズボン型・スカート型を自由に選択できるようにしたり、標準服設定にして普段は私服登校も可能にする等の工夫の余地はあるのかもしれません。

《補足情報》
各学校において制服を選定する仕事は、先生方の大事な業務のひとつです。
素材、形状、カラー、耐性、費用…さまざまな要素を総合的に勘案し、制服業者と何度も打ち合わせを行い、試作を繰り返して決定されます。
したがって、制服を選定するのには時間がかかります。
制服業者によっては、学校と複数年単位で契約をしている場合もあります。
当然、契約期間中はすぐに制服を変更することはできません。
生徒や保護者から要望の声が挙がっても、すぐには変更できない理由はここにもあるかもしれませんね。



以上、今回は【現場のリアルな声】現役教師63人にLGBTQIA+について、いろいろ聞いてみた!前編(質問1.~質問8.)をお伝えしました。


アンケートの結果はいかがでしたでしょうか?

もしかしたら、納得がいかない回答もあったかもしれませんし、新たな発見もあったのではないかと思います。

いずれにしろ、現役で学校教育に携わる先生方は本当に忙しい中、本アンケートに真剣に答えてくださいました。(すべての回答を掲載することができておらず、大変申し訳ありません。)

どのような回答であれ、今、現役で学校教育に携わっている先生方の見解です。
今回はこのリアルな想いををシェアすることに意義があると思ったので、ひとまず共有させていただきました。

これらご意見を踏まえて、今後どのようなことができるのか、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。


それでは、【現場のリアルな声】現役教師63人にLGBTQIA+について、いろいろ聞いてみた!~後編~でお会いいたしましょう^^!



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