サムネ

【第68回】旅のこぼれ話。(上海旅行記 Vol.8)

この記事は【第61回】謎の言葉「イツマッ」を解き明かせ(上海旅行記 Vol.1)から始まる上海旅行記の8回目です。1回目から読むことをおすすめします。


ここまで2017年6月にした上海旅行の旅行記を書いてきました。

↑第一回はこちら。

旅行記自体は終わったのですが、ここでは紹介しきれなかった旅のこぼれ話を今回はご紹介します。

エピソードゼロ

中国人は日本人と比べると感情表現がとても豊かだ。

そのため「あれ?もしかして怒ってる?」と感じたシチュエーションが旅の中で多々あった。これは別に激怒しているわけではないのだろうけれどもストレートに早口でまくしたてられると、そう感じてしまいがちなのである。

なので決して何か険しい顔で早口で言われたとしても怒ってる?とは思わないようにしよう。

僕もそれを実感した経験がある。

これは日本から上海に行く便に乗った時のことだ。

初めての飛行機。LCCを利用したので機体のコストを抑え生まれた想像以上に薄く感じる壁に一抹の不安を感じながらも、初めて離陸し空を飛んだときの感動を、体中にかかるGに耐えながら味わっていた。

そんなとき隣りにいた中国人の女性が話しかけてきたのだ。

おそらく僕のことも中国人だと思ったのだろう。このLCCは本社が中国にあり、今回の便を利用していたのも中国人ばかりであった。そのせいで機内のアナウンスも中国語と英語がメインだし、CAの案内もほとんどが中国語である。

僕は一ミリも中国語がわからないので首をかしげていると彼女は身振り手振りで席を変わってくれと言っているのがわかった。

え?このタイミングで?

機体は上昇していて斜めだし思ったよりも体にGがかかる。

ただ、このときの僕は指定席を予約したわけでもなかったし、せっかく飛行機に乗ったのだった窓際に座りたいと思っていたのにも関わらず、通路側の席に座っていたから、快く了承し席を立とうとした。

そして、めっっっちゃCAの人に怒鳴られた。

しかめっ面で席に座れというジェスチャーでこちらにアピールしてくる。

当たり前だ。離陸していてかなり危ないのだ。外国語で話しかけられたということにびっくりしてパニックになっていたせいで奇行をしてしまった。

このせいで結局、彼女とは席を変わらずに上海に到着することになった。

あれ?これ普通に怒られてない?

中国は僕を2度変えた。

上海は歩きスマホがとにかく多い。

日本で歩きスマホが度々問題視されるけれども、そんな問題って本当に存在したっけ?ってレベルで若い人を中心にほとんどの人がしている。ここにイヤホンが加わったら、もう完璧だ。上海のナウでイケてるヤング達に変身できる。

それくらいスマホが当たり前の社会なのだ。

とにかく中国のIT関連の発展は凄まじい。

ほとんどの人がWeChatPay(中国版LINEのQRコード決済サービス)やAliPay(中国版AmazonのQRコード決済サービス)で支払いを済ませている。

今でこそ日本でPayPayが登場し時代はキャッシュレスだ!なんていう論調を聞くようになったけれども、当時何も知らずに上海を訪れた僕にはかなりの衝撃的だった。

「未来だ…!未来がここにある…!」

といった感想を受けたのを今でも覚えている。

中国といえば2000年代のメディアの報道でパクリ疑惑や大規模反日活動の報道が多数なされていて、2011年に中国のGDPが日本を越して世界2位となった後でも昔のイメージに引きずられ、どこか「日本より遅れている」という印象を拭いきれずにいた節がある。

だからこそ、かなり衝撃を受けたのだ。

もちろん中国の中でも、かなり発展を遂げている経済都市を見ただけでは実情を把握したというわけではないのは百も承知だ。

ただ日本は過去の栄光にすがりついているわけにはいかないのは、紛れもない事実のように思う。

上海旅行は僕の中国観を変えるいいきっかけにもなった。

話を戻そう。

僕もまたWeChatをスマホに入れてみることにした。中国では金盾と呼ばれる大規模検閲システムが働いており中国共産党の思想を脅かすような情報は基本的にブロックされてしまう。その中にはLINEもまた含まれており普段どおりの連絡をすることができない。

そこでWeChatで家族と連絡を取ることにしたのだ。僕の家族は心配性であり僕が一人で海外に行くことを相当心配していたので、こうしたほうが良いと思ったわけで。

ただ僕はこのアプリの恩恵に預かることができなかった。

中国の口座がないとWeChatPayは使えないのだ。もちろん、それでもなんとかして使う方法はあるけれどもかなり面倒くさい。

そのせいで当時話題になっていた中国のシェアサイクルも利用することができなかった。WeChatPayがないと使えないからだ。

QRコード決済の普及は凄まじく、屋台などでも使えてしまう。逆に言えば、ないとかなり不便になる。

大勢の中国人がスマホでスマートに決済する中、慣れない中国元の小銭をちまちま出して、言葉の通じない屋台で買い物をすることが僕にはできなかった。振り返ると今でも悔しい。

そのおかげで今、僕は完全キャッシュレス派である。いつか日本がキャッシュレス大国となる日を信じて。

中国は僕の中国観とお金に対する価値観を変えてくれた。中国は僕を2度変えたのだ。

ホテルのインフォメーションとぼくの奇跡

ホテルにはテレビを利用しインフォメーションを閲覧できるサービスがある場所がある。

そこではホテルのフロアガイドや近隣の観光情報を閲覧できたりするのだ。

僕が上海で宿泊したホテルにも、テレビでインフォメーションが見ることができた。英語と中国語しか選べなかったけれども英語があるだけマシだ。

別にはホテルのフロアガイドや近隣の観光情報なんかはどうでもいい。

そこのバックグラウンドで流れている曲が、あまりにもよかったのだ。

異国に来たという高揚感の中で切なさを感じるそのBGMを聞いているとなんとも言えない気持ちになる。

ついついビデオ録画してしまったほどだ。

あれから2年が経過した。このエッセイを書くのにあたって久しぶりに聞いたのだけれども、またこれがいいのだ。

ふと、思いつきで、音楽を聞かせると曲名を割り出してくれるアプリを使うと無事に曲がヒット。

これでいつでも聞けるようになったのだ。

2年ぶりにあの曲に出会うことができた。エッセイを書いていなければこんな奇跡は起きなかっただろう。

それだけでも、このエッセイを書いた価値があるというものである。

アーティストは「石进」さん、曲名は「幸福时光」であるので、ぜひ聞いてほしい。


最後に

今回は旅のこぼれ話をいくつかご紹介した。

思い出せていないだけで、まだエピソードがあるかもしれないので、それはそのときに追記しようと思う。


>>前の話はこちら:【第67回】こうして僕の逃避行は終わりを告げたのである。(上海旅行記 Vol.7)

>>次の話はこちら:Coming Soon!

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