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ほんとうのさみしい

仕事は相変わらず定時ちょうどに上がれるのだけど、毎日21時か22時頃まで勉強してから家に帰っている。自分を怠けさせすぎたから一旦無理してみようと試しに無理してみた結果、なるほど、このペースを維持するのは難しそうだと分かった。勉強時間記録アプリを使って概算したところ、ここまでハイペースで進める必要もなさそうだと分かった。勉強のせいか、仕事のせいか、ここ数日寝つきが悪くて、すごく疲れているはずなのにまったく眠れない。仕事中はあんなに眠いのに。眠れなかったので、昨夜は無料配信されていたカルテットを布団に入ってから4話まで観てしまった。疲れている。今日はまっすぐ家に帰ろうと思う。だけどマトモに化粧して、えらい。一昨日つけていたはずのイヤーカフが見当たらない。

眠れていないから余計なことをグルグル考え始めるのか、悩みを抱えているから睡眠にまで影響しているのかわからない、単に私の性格なのかPMSなのかもわからない、わからないけど、よくない気持ちは排出しないと身体によくない、こころもからだも終わる前に吐き出さないとだめ。

今、自分の意志だけで将来のことをどうにもできない事情があって、選択を迫られているのだけど、何がベストなのかなにもわからなくて、不安で仕方がなくて、苦しい。先が見えない。そのあたりを少しずつ少しずつ整理して言語化しながら、600円で買ったワインとチョコレートで自分の機嫌をとりながら、今日届いた本をめくっていた。その本は、他人との間の境界を厚くしたくて、踏み込まれないようにしたくて、誰とでも適切な距離感をとりたくて注文したもので、具体的には、職場の人との距離感を改めて考え直すために買ったものだった。

ページの途中途中で「実際に書き出してみましょう」のワークがあって、書き込んでいるうちに、気がついた。あれ?私職場の上司や同僚とのコミュニケーションのストレスをどうにかしたくて、この本開いたはずだよな。指示に従って、自分の周りの人間関係についていろいろ書き起こしてみたら、職場の人よりも、彼氏とのコミュニケーションでの方が、無意識に自分に課しているルールがたくさん、たくさんあることがわかって、目を見開いた。うそでしょう。私そんなに無理してた?いつから?とてもショックだった。相手のじゃまをしない、よけいなこと言わない、傷つけない、つかれてそうなときは相手よりもつかれてない風の私でいる、自分の話したいタイミングで話さない。声に出して読んでみて、泣けてきた。

彼の仕事はとても過酷な忙しさで、それでも合間を縫って、ほとんど毎日欠かさず電話を掛けてくれる。「〇〇は元気?」と聞かれて、聞かれた私は、「元気だよ」と答えた。嘘をついた。無視された5歳が騒いでいるのが聞こえたけど、押し殺した。「元気だよ」の瞬間よりももっと痛かったのは、電話の最後で、むりして明るい声で言った自分の「おやすみ」が、電話を切った後の一人の部屋にひびき取り残された時だった。気持ち悪い。今少しもそんな余裕ないくせに、疲れた相手を心配させないようにできるだけ明るく柔らかく言った「おやすみ」が、一人の部屋で泣いている自分とあまりにも乖離していて、気持ち悪かった。むりだよ。おれに気を遣う必要ないから思ってることがあったら遠慮しないで話してね、聞けない時はおれちゃんと言うから、って、彼はいつも言ってくれるけど、むりだよ。遠慮するに決まっている。ろくに寝てもいない人が、移動時間になんとか掛けてきてくれた数分の電話で、私の話したいことなんてとても話せないよ。来月むこうに行った時はいつまでいていいのとか、今予約したら飛行機安いから11月の予定を教えてほしいとか、そういうのも言えないし、消えちゃいたいくらいメンタル終わってるときだって言えないし、今一番悩んでいること、あなたの転勤先についていくのに仕事をどうするかって話も、5分の電話じゃできないよ。

これを繰り返すうちに、私は閉じていくのだろうか。閉じていってしまいそうな気がする。言わずに隠すことが増えて、嘘ついて笑うことが増えるのかもしれない。問題なく生活をこなしているふりをすることが増えるのかもしれない。でも、そういうことだよな。人間関係を見つめ直すワークで彼とのことが問題として浮上したということは、何かある。どこかで私は間違えている。
彼がこの仕事を続ける限り、一生こういうことが続くんだろうか。話せていた人と話せなくなっていくの、とてつもなく苦しい。前はこういう時も話せたし、落ち着くまで電話繋いでてくれたけど、彼には今ただでさえ時間がないので、助けてってとても言えない。彼が優しすきるだけで、ほんとはこんなことで助け求めちゃいけないんだろうか、みんな誰にも助け求めずに、自分で処理してるんじゃないか。とか思う。やっぱり私は誰といたって一生ひとりだ、ていうか人ってそういうものだよ。それに気づいていることが死ぬほど苦しくて、死ぬほど誇らしい。私は大丈夫になんかなれない。

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