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帝京大学ラグビー部に学ぶ若手の育て方

いよいよ新入社員が入ってくる4月です。
いろいろな会社で、今受け入れや新入社員研修のご準備をされていることと思います。

 さて、ご存じの方も多いと思いますが、ラグビーの大学選手権大会で9連勝をした帝京大学は、これまでの根性・気合・上からの指示命令によるコントール型の組織に限界を感じた岩出雅之監督が、生徒が自ら考え、自ら行動し、自ら成長する自律型組織づくりに挑戦されてきた大学です。岩出監督の著書「常勝集団のプリンシプル」(日経BP社)には、モチベーション論やフロー理論など、ビジネスの世界に通じる話が多く、感銘を受けられた方も多いのではないでしょうか。

 これまでの大学スポーツの部活の多くは体育会系。4年生が神の、1年生は奴隷のような存在で、雑用は1年生の役割でした。監督が頂点に立ち、勝利を目指して部員に細かく指示命令していくセンターコントロール型組織が一般的でした。ある時、岩出監督はこの組織では有力選手が集まる伝統校に勝てないと気づき、変革を決意されます。そのひとつが脱・体育会文化です。

 まず、実行したのは、雑用を1年生の仕事ではなく4年生の仕事としたこと。環境変化に慣れない1年生が心の余裕が持てるようにと、上級生が掃除や食事の片付けなどを行います。以前テレビで、帝京大学ラグビー部の様子が放映されましたが、4年生が率先して雑用をこなし、1年生の世話をする姿は、本当に感動的でした。
 こんな文化の中では、1年生はきっと安心して1年間を過ごせるでしょう。そして、自分たちの練習もあるのに、自分たちのことを考えてくれる4年生を尊敬するようになるはず。先輩やチームへの愛情が生まれていくのもこの時期です。また、4年生は4年生で、人のお世話をすることや掃除などを通して、人間として大切なことに気づくことも多いそうです。

 私たちビジネスの世界には、そんな体育会系な文化は少ないと思いますが、今の若い人たちは、入社後の環境変化についていけず、5月病になったり、うつ病になったりする新人もいます。帝京大学のように、先輩たちが出来るだけ雑用を引き受けてあげ、少しでも仕事に専念できるようにするなど、新人の心の余裕を作っていくような文化は、職場の中で大切なことかもしれません。

 考えてみれば、先輩が先輩風を吹かせて、後輩に何でもやらせるようになっては、その先輩の成長が止まってしまいます。人が嫌がることを率先する、人の為に何かをやる。そんな行動の中で人間としての成長が生まれてくるのではないでしょうか。企業も、センターコントール型から、自律型組織への変革が求められていますが、良き文化をつくるには、新入社員だけでなく、先輩(2~3年次)の関わり方も見直していく必要があるのではないでしょうか。

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