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LD(学習障害)と視覚認知の関連

読み書きの困難さと音韻意識の関連については前回の記事で綴りました。

読み書きの困難さの背景には「視覚認知の偏り」も想定されます。視覚認知に偏りがあると、単語の把握に時間がかかり、文字の形や位置を捉えることが苦手になります。

具体的には以下のような訴えがあります。

よくある悩み①
・ひらがなの単語をまとまりとして読めない。(「はやし」を「はや」「し」と区切る。)
・長い単語を読む時、つまってしまう。
・文章を最初から1文字ずつ読んでいくので、内容がうまく理解できない。

よくある悩み②
・書き文字の左右が入れ替わってしまう。(鏡文字になってしまう。)
・形を識別するのが苦手。(例 「林」を「森」と間違える。)
・算数の小数点やグラフの線、点の位置を間違えて読んだり書いたりする。
・音読している時に読み飛ばしたり、読んでいるところがわからなくなる。

①の悩みは、「まとまりとして認知する力が弱い」という特性が背景にあると考えられます。目の動きを捉える観察研究から、人間はひらがなの文章を読む時、2 〜4文字をまとまりとして認知していることがわかっています。読み書きに苦手さを示す子の中には、その力に弱さが見られることがあります。

②の悩みは、「形や位置をうまく捉えることができない」ということが背景にあります。眼球の運動や視空間認知など、視機能の何かしらに偏りが存在する可能性があります。

千葉県浦安市にある「かわばた眼科」さんは一般的な視力だけでなく、視機能を診察することで大変有名です。以下、かわばた眼科さんのHPから引用します。

”見たものを正しく理解するには、まず見ているものが正しく眼に入力されなければなりません。上手に眼が動かせなかったり(眼球運動障害)、両目の視線が揃わなかったり、両目で見たものがうまく一つにならなかったら(両眼視機能異常)正しくものを見ることはできません。学校での視力検査は5メートル離れた遠くのものが見えるか(遠見視力)確認していますが、これに合格しても近くが見えているとは限らないのです。見たい距離に素早くピントをあわせる(調節機能)ことも大切です。
 解像力の良い高いビデオカメラを買っても、映したいものにカメラをうまく向けられないとか、ピントがあっていないとか、手ぶれがひどいと上手な撮影はできないのとおなじですね。”
http://www.kawabataganka.com/

一般的な視力が正常だからといって文字を正しく認識できるとは限りません。単語を読むのが苦手なお子さんの場合、一度視機能の検査を受けることが賢明かもしれません。

以下の本は視空間認知についてわかりやすく開設されています。それだけでなく視空間認知を高めるトレーニングも紹介されています。ぜひ参考になさってください。


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