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#9 志望動機の本当

もし自分がアルバイトを探している店長だったら、応募してくる学生に何を聞きたいですか?多くの場合、学歴や住まい以上に「なぜうちで働こうと思ったのか」を知りたくなるはず。アルバイト求人と同じように、企業が就職活動をしている学生に求めるのは「志望動機」です。いざ問われると「HPで見かけた」以外の同期が見つからないかもしれません。ここで仕組みを理解すれば、考え込まずに志望動機が書けると思います。


企業が知りたいこと

企業が相手にする学生の人数は、学生が受ける企業数よりはるかい多い。その中から、スムーズに自社に合った学生を選出するためには、「どうして自社を選んだのか?」を聞かざるを得ません。しかし、学生の中には手当たり次第エントリーしておく人もいるでしょう。そういった場合、各社にむけた志望動機が曖昧になり、志望動機を書く手が止まってしまうと思います。そこで「企業が知りたいこと」を意識する必要があります。
「企業が知りたいこと」は大きく捉えるとたったひとつ「同業界・同業種の中で、なぜこの企業を選んだのか?」です。
この言葉には沢山の意味が含まれています。特に「同業界・同業種の中で」という言葉が重要です。この世の中には沢山の企業があると同時に、同じ業界・業種を取り扱っているライバル企業が存在し合っています。例えば、ビールの場合「A社が好き!」「B社が好み!」などといった個人的な感想を持つはずです。これと同じように「同じフィールド内の企業と比べてうちのどこに惹かれているの?」という問いは、企業にとって気になるポイントです。また、これを問うことで学生がどのくらい自社を理解できているのかもある程度把握することができます。さらに、その動機の中にその人の主観がわかりやすく示されているほど、数多くの学生をひとりひとりの「個・学生」として扱うことができます。わざと目立つような志望動機を書く必要はありませんが、人相手に提出する上で自分の感情に素直に向き合った志望動機がポジティブに評価されることが大半だと思います。

求められている人物像

アパレルのショップ店員で呼び込み担当を募集する時、パソコンが得意な人と声を使った部活をしていた人、どちらを採用するでしょうか。おそらく後者の人を「適している」と判断し採用すると思います。もちろん、データ入力スタッフを募集していた時、前者が採用されると思います。このように、募集内容によって求めている人物像は異なります。そこで私は以下の観察方法で企業が求めている人物像を洗い出していました。
①自分が採用側だったらどんな人を採用するか考える
私は採用したくなる人物像をプロフィールとして紙に書き出してイメージしやすいようにしていました。想像力に自信がない人は、好きなアニメやゲームのキャラクターでカテゴライズしてもいいと思います。
②仕事内容から求められる技術/力を調べる
どんな匠もその技術を活躍させることができる環境が重要。その技術が身についているか、もしくはその技術を身に付けたいと思うかを考えます。
③先輩社員の皆さんがどんな就活生だったのかを聞く
企業によっては先輩社員の出身大学や部活動などを開示しているところもあるので、そこから傾向を推測することができます。そういった情報がない場合は、人事が強調している言葉に着目しましょう。

実はここも見られてます

これまでのポイントを意識して志望動機を沢山書いていくと、固有のパターンを見つけることができ、スラスラ書けるようになると思います。そこで落とし穴にはまらないようにするために、一応見直しておくといいポイントがあります。プロはそんなところまで!?と思うようなところまで気づいてしまうものです。それは「それって○○(ライバル他社)でもできるよね?」です。いくら業界・業種内でここを選んだという特徴を捉えた志望動機を書いていても、似たような企業がチラついてしまうのが現実。そこで私は「その企業がよく使うワード」をひとつ以上使って文章を作成していました。例えば、顧客のことをユーザーと示している企業相手の場合、ユーザーという言葉を使った方が、うちを志望している感が増すと思います。学生が触れることのできる情報量には限界があり、ライバル他社との差別化を具体的に伝えることはとても難しいことだと思います。したがって私は「それって○○(ライバル他社)でもできるよね?」を思わせる隙を与えないことが見直しポイントだと考えています。

後悔しないポイント

志望動機に失敗はありません。企業を知る→興味を持つ→応募をするという過程で生じた「自分の気持ち」を伝えるだけ。もちろんエントリーシート同様の注意点はあります。しかし「自分の気持ちを許して正直になる」これを意識した上で完成した志望動機に失敗はないと思います。

志望動機を考えて、エントリーをやめる!?

ここまでの方法で志望動機を考えていると「志望動機用の自分」が無意識に作られることがあります。これは決して悪いことではありません。自分と企業に向き合うことで、伝わりやすい形にするために行った脚色や美化した言葉選びは、志望動機に必要な要素ではあります。しかし、嘘のエピソードや志望動機のために後から行おうと思った活動などがある時は、その企業と自分がミスマッチしているのかもしれません。就活は内定を取るための作業ではありません。少しでも引っかかる違和感を感じた時は、他の企業へと方向転換する選択肢も最適な場合があると考えています。実際に私も、志望動機が曖昧になったことでエントリーを辞退したことがあります。

まとめ

志望動機は、書き始めたら完成・提出を目指すだけのものではなく、頭の中の整理作業でもあります。内定につなげるための言葉選び作業とならないよう、1ステップずつ踏んで書きましょう。就活時期は頭が凝り固まっていると思うので、初心に戻ることや素直に考えることを意識することは必要な過程です。

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