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ボクちゃん  中村繁一

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過去に書いた本を書き直して綴っています。ご一読いただければ嬉しく思います。ご購読していただければ一層嬉しく思います。(この僕ちゃんはフィクションです)
かなり過去のことを思い浮かべて綴っています。マッチしないと思いますが、、、ご一読いただければ嬉しく… もっと詳しく
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記事一覧

ボクちゃん 4 町の様子

ボクちゃん 4 町の様子

ボクちゃん 4

それはさておき、このようにして僕は教師生活にはいった。

「教師になったらその地域を探索して、その地域の雰囲気を掴め」と教えられたことがいる。

僕はさっそく、この地域を散歩がてらにブラブラと歩いた。

どう言ったらいいのか、何とも言い様のない気配を感じた。

親近感があるでもなし、かといって違和感とも言えない、何か昔の古めいたような雰囲気を感じた。

所詮、この地域は田舎なのだ

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ボクちゃん 3   校長との対面

ボクちゃん 3   校長との対面

ボクちゃん 3

そんな様子で午前中がすぎた。そして赴任校へ車を走らせた。

町の中心から5kmほど離れた学校である。

ます初めに学校の建物の玄関から入った。
校長室へと進んで校長と対面したわけである。

僕の先入観として、校長というのは威厳があり、堂々とものを申すというような態度で、威圧してくると予想していた。

校長とは初めての対面である。

ところが何と、その校長の最初の一言は「どうぞ ど

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ボクちゃん 4   町の様子

ボクちゃん 4   町の様子

ボクちゃん 4

それはさておき、このようにして僕は教師生活にはいった。

「教師になったらその地域を探索して、その地域の雰囲気を掴め」と教えられたことがいる。

僕はさっそく、この地域を散歩がてらにブラブラと歩いた。

どう言ったらいいのか、何とも言い様のない気配を感じた。

親近感があるでもなし、かといって違和感とも言えない、何か昔の古めいたような雰囲気を感じた。

所詮、この地域は田舎なのだ

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ボクちゃん 7 教職員Ⅱ

ボクちゃん 7 教職員Ⅱ

ボクちゃん 7

教職員Ⅱ

男性陣は、山岡先生の他に、文学的才能を持っている、と自負する室井先生がいる。

その語り口調は正に文学的で、その話ぶりには何か賛同しあえるようなものがある気持ちがする、しかし顔面を見てみると、目などは猫のような顔相で、恰も動物のような雰囲気である。

そして、この先生は、目付きが妙に変化する。

猫のような目付きになったり、素直な明るい目になったり、邪悪な悪者のような

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ボクちゃん 6  教職員

ボクちゃん 6 教職員

ボクちゃん 6

教頭の谷先生もいる。

この教頭は、頭が禿げていて、背丈が低い。

どことなくピヨピヨしていて、その姿を見ると、アヒルのようにも見えてくる。
僕は、この教頭を最初からあまり好きにはなれなかった。

校長には、全くもって頭をさげている。そして一般教師には「良い教師」と呼ばれたいのか、何故か、回りの教師の顔色を見るところがある。

だいたい学校というのは、教頭が実務に励む、というか、

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ボクちゃん 5  山岡先生

ボクちゃん 5 山岡先生

ボクちゃん 5

次の日学校へ行くと、職員のひとりひとりの顔が見えてきた。

まず一番初めに目についたのが、この学校の職員の最年長の、そして、中心的人物の山岡という先生である。

校長、教頭についで力を発揮している先生である。

髭が濃く、鼻も少し高く、体格も年の割には立派で、品格があり、確かに教師としての貫禄を身に付けている。

この学校の代表者として、ふさわしい容貌を備えていた。

(以後、こ

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ボクちゃん 20

ボクちゃん 20

ボクちゃん 20
次は水泳指導の時期である。
校舎は木造で古くてもプールは設置されていた。

講堂の横の小高い丘の上にプールが並立されていたのである。

プールは大プールと小プールに分かれ、低学年が小プール、高学年が大プールとほぼ決まっていた。

指導方法は各学年様々である。

時間を割り当てて、一学級一日一時間程度練習する。

ところが僕は水泳はやや苦手だった。

何となく嫌な気分がして多少の不

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ボクちゃん 32

ボクちゃん 32

ボクちゃん 32そして次の行事は卒業式である。
またまた職員会議を持つ。

役割分担、各係を決めて話し合う。

ピアノの係、バック音楽の係、それぞれ話し合いながら、各教師が色々な案を練るのである。

この時はこうして、あの時はああして、この場面の時はこの歌をとか、、、様々に渡り式のイメージを創る。

幕、飾り、花、細かいところまで考えて構想を練る。

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ボクちゃん 17

ボクちゃん 17
そんなある日、ひとつの事件が起こった。昼休みに六年生の児童が暴力行為を起こした。

所謂喧嘩である。

僕が廊下を巡視していた時だった。

いくら小学生だといっても、六年生にもなると、子どもの喧嘩とはいえない。

とにかく止めなければストップしないのである。

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ボクちゃん 31

ボクちゃん 31また、ある昼休みの掃除の時期である。
廊下を歩いていると、またまた大きな声が聞こえてきた。

「みなさん、お掃除ですよ、お掃除よ、サッサとお掃除しなさい」と、

井上先生の黄色い声である。

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ボクちゃん 30

ボクちゃん 30

ボクちゃん 30続いて三学期の始まりである。子ども達は、一段と成長している。

あからさまな頼もしい姿が見受けられた。

冬休みの経験が肥やしになったのか、六年生などは、最早大人以上の風格さえ感じられる。

体格も立派になり、大人顔負けの容姿である。

そして、六年生にとっては、小学校生活、最後の学習発表会を向かえる。

寒い寒いこの時期に、子ども達は、最後の思い出となる行事に、熱心になって取り組

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ボクちゃん 29

ボクちゃん 29

ボクちゃん 29そうこうしているうちに、早くも忘年会の時期がやって来た。
例によって、例の如く、校長の挨拶から、忘年会が始まった。

そして、幹事が教頭を指名する。

乾杯の用意である。

一同起立して、乾杯と言って会が始まる。

酒が回り出すと、二十畳ほどの部屋で、あちらこちらバラバラに声が聞こえ出す。

年忘れの会場で、この一年の出来事やら、お互いの労苦の思いやら、様々な会話が乱れとんでくる。

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ボクちゃん 28

ボクちゃん 28

ボクちゃん 28
次は、水泳同様、陸上競技記録会である。水泳と同じように、この町の一番広い小学校の運動場で行われる。

短距離の60メートル走、百メートル走、長距離の1500m走、走り幅跳び、走り高跳び、ボール投げ、対抗リレー、の種目が行われる。

それまでは、10日ほど前から、自校で練習する。

その間の、指導の熱、力の入れようには、言い様のないほどの熱弁が聞こえてくる。

そして、大会に望む。

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ボクちゃん 27

ボクちゃん 27

ボクちゃん 27
ある日の午後、山岡先生がポツリとつぶやいた。
「先生というのは因果な職業だ」

僕は山岡先生の、この言葉の真意がよくわからなかった。

先生だから、常日頃の生活に於いて、言動、行動を慎まなければならない。

山岡先生は、このようなことを言いたかったのだろうか、と思った。

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