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未来も一緒にいるつもりで、一緒にいたいだけ。

調子に乗って「結婚」なんてワードを深掘りしてしまったのが良くなかった。すぐに後悔した。

「まあ、うん。タイミングとかもあるしね…」と曖昧な台詞を続ける彼。

私たちは2〜3日に1回、寝る前に電話をする。いつも話が尽きなくて、30分で終わらせようと言っても1時間半くらい話してしまう、お決まりの流れが好きだ。

どんな流れかは忘れたけど、結婚の話になり、興味本位で質問した。「あなたは結婚についてどう思う?したい年齢とか、ビジョンがあったりするの??」

数年後かなぁとか、もちろん相手はhonoちゃんだとか、そういう前向きな言葉を期待していたわけでもなかったし、すごく結婚に対して前向きな人だろうと思っていたわけでもない。私自身も、今すぐ結婚してほしいだなんて全く持って思っていない。

ただ、彼の色んなことを知りたい一心の、聞いてみただけの、ひとつの質問に過ぎない。本当に、なにも深く考えていなかった。

彼は言葉を選びながら慎重に、もやもやっとした結婚に対する気持ちをゆっくりと話してくれたけど、

彼の話口調に、私は「あ、やってしまったな」と思った。今更引き返すことも出来なくてただただうなずいた。

彼は多分少し困っていた。アタリメーだろ!バカ!と自分に言いたい。

出会って3ヶ月、付き合って1ヶ月ちょっとの相手に、結婚に関して気軽にペラペラと適当なことをしゃべって期待させたり落ち込ませたりなんていう軽率なことを、彼が出来るわけないだろ。お喋りクソ野郎な私じゃあるまいし。

しかもうわー、やってしまった、申し訳ない…という気持ちでいっぱいになったのもあって、彼の話した内容は多分8割くらいしか聞いてなかった、というか思い出せない。クソ失礼である。

そして彼は、「まあ結婚もあるけど同棲の話が先だね。絶対してから結婚したいよね」と上手いこと結婚から話を逸らした。ナイス彼。まあ、同棲だって今すぐしようなどとは少しも思ってないけど。

「だって結婚してから、ウワ、無理だ…!ってなるの絶対嫌じゃん。だから同棲してみないと。
honoちゃん掃除雑!!嫌だ!!!ってなるかもしれないし、おれが喋りすぎてうるせーもう無理って思われるかもしれないし(笑)。

小さなことの積み重ねだと思うんだよね、ダメになっていくのって。」

そんなの、当たり前じゃん、でも向き合っていくものじゃん、嫌なら嫌だって言いあって、努力して直し合って、直らないなら受け入れるか諦めて、それでも一緒にいないよりはずっと良いって、それさえ思えれば良くないか?

って思ったけど言うのはやめた。

私たちはこの1ヶ月ちょっと、前向きで仲良しこよしな、なんの当たり障りも無い会話ばかりしてたんだな、少なくとも私は、脳内ハッピー野郎だったんだな、と気づいた。

でもそれが悪いことだとは思わない。

付き合いたての、どんどん相手のことを知って、どんどん相手を好きになる、特別な時間の、その瞬間の尊さに勝るものを、私は知らない。今がそのピークだとしても、失いたくない。

これから時間がたって、特別な時間が日常に変わっていくのもまた良い。それが良い。だけど私は、その過程で起こり得る「別れる」「ダメになる」可能性をあまりにも見ていなかったなあ、と少し反省した。

そしてそれを、いつか結婚しようね、みたいな軽率な言葉と引き換えに、遠回しに言わせてしまった彼に申し訳なく思った。

「いつか別れる。でもそれは今日ではない」

このタイトルの本が、私の本棚に眠っていることをふと思い出した。

こういうタイトルは正直いかにも私の趣味じゃない。

学生時代にとある友人に蒼井ブルーさんのエッセイ本を貸したら、その2年後くらいに「ごめん!これ借りてたやつ!」と急に返されたのがこの本だった。いや貸してないし。

私のじゃないし何これ?って笑いながら言ったら、

「アレ?!!ごめん!!!でも持って帰るの嫌だしこれあげるわ!!」

と言われて貰った。結局蒼井ブルーさんの本は未だに返ってきてない。

せっかく貰ったしとりあえず読んでみるか、と開始10ページくらい読んだ記憶はあるけど、内容も全く覚えてない上に放棄した。

その時は仕事がうまくいっていなくてその事ばかり考えていたし、そもそも別れる相手もいなかったから、私に響く言葉などひとつたりともあるわけ無かった。

今読んだら、何か見えてくるのかな。
なんか人生って本当に繋がってて面白いよなあ。この本は何かの伏線だったの?って、少し運命を感じたりした。多分ロマンチストなんだと思う。



とりあえずこの本は読もう。そう決めた。だけどこのタイトルのように、「いつか別れる」なんて事を考えながら付き合うことはしない。

だって別れるために付き合ってるわけじゃない。永遠に続くと思っていて別れた事例を私たちはたくさん知っているけど、それでも一緒にいるつもりで付き合う方が、絶対幸せだから。理由はそれだけ。

超絶甘い考えなのは分かってるけど、別れる未来を想像しながら一緒にいるのは不健康すぎる。

「つい逃げちゃうんだよね…」と弱音を吐いていた彼と、「何でも話し合おう。言い方さえ気をつければ何でも言えば良くない?」とポジティブお喋りな私。このnoteが黒歴史になろうとも、未来も一緒にいるつもりで、一緒にいたいだけ。今はそう思う。





電話の最後に彼は、

「でもさ、今のこの気持ちを忘れないようにしたいよね、大事だよね」と言った。

私はこの人のこういう発言が好きなんだけど、なんか照れ隠しで「西野カナの歌の歌詞みたいだね」とかつまらない事を言ってしまった。そして、

「もし倦怠期がきたら、私たちが付き合った時のあのルートをお散歩しよう」と提案した。

「それいいね」と笑ってくれて、今日も私達は平和だった。




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