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#2-② あなたの「お家」は健康ですか?(後半)


#2 あなたのお家」は健康ですか?
後半対談始まりです!
前半では、「原則1:よく換気でき、程よく清潔なお家こそ、『健康な家』である。」、「原則2:日本の水道からは一定の塩素が含まれた水が出てくることを気に留めておくこと」についてお話しました。

▼まだ読んでいない方はこちらからどうぞ!


後半は気になる感染症のお話です。

お家の健康と感染症は、実は切っても切れない関係でした。

では後半の対談をご覧ください。


原則3:感染症の発生源を気にするよりも、第一に自分自身の生活環境を整えること


換気中


猩紅熱、麻疹、あるいは天然痘が子供たちの間に発生したときまず考えるのは、子供たちがその病気を一体“どこ”で“うつされてきたのか”であるというのが実情ではなかろうか。(中略)彼らは決してその病気の源が家庭だとは考えない。
―『看護覚え書き‐本当の看護とそうでない看護‐』(日本看護協会出版会)


(侑子)子供の感染症の発生源の話もあったやん?
感染症は「どこから」来たのか。

(奈津美)あったねー(笑)ちょっと皮肉っぽいところね(笑)
「どこでうつされたんだろう?」って、そこじゃなくて、まずはあなたのお家大丈夫だった?子供の免疫大丈夫だった?っていうね。

(侑子)あれは衝撃やったな。よくある会話だとおもって。

(奈津美)自分も保育園に勤めてた時よく思ってた。「胃腸炎の○○君と遊んでたからしょうがないよね」とか、「先生看病してたから仕方ないよね」とかも言われた(笑)私の免疫が弱かっただけかもしれないのに。保育園で感染症がはやるのは当たり前みたいな感じしてたし、今もそう思っちゃてるけど、必ずしもそうじゃないのかもしれないよね。

(侑子)そうやね、保育園の環境もしかり、それぞれのお家の環境も。
どう考えても感染したはずはなく、そこで発生したに違いないのである」ってナイチンゲールは言ってたよね。その、環境の悪い部屋にいて、そこで熟成されたカビやウイルスや細菌たちが全身を巡って、弱ってるところを痛めつけいくっていうことなんかな。



病気を猫や犬のように存在しているに違いない別々の実体であるとする今の私たちの考え方では、間違いを続けながら生きることにならないか。本当は病気は状態として、例えば汚れた状態とか清潔な状態というように、私たち自身の管理の十分に及ぶところのものとして考えるべきではないか。
―『看護覚え書き‐本当の看護とそうでない看護‐』(日本看護協会出版会)


(奈津美)病気は実体のあるものではないってこともナイチンゲールは言ってたよね。

(侑子)実体のあるもの?

(奈津美)感染症は、誰から誰に「はい、どうぞ」って渡されただけのものじゃなくて、もともとこの辺にいっぱいあったものに感化されたっていうか、自分が弱ってたり、環境が整ってなかったことに自分の体が反応した結果だよってことなんじゃないかな。だからもしかして、今、感染経路不明の人がいっぱいいるっていうのは、そういうこともあるんじゃないかな。

(侑子)なるほどねー。もしかしてコロナも、もともと環境中にずっとおったものかもしれんよな。まあ、”新型”って言ってるから、もともと存在していたウイルスが変異したものだろうけど。ほんまわからんけど、私らのこの生活している環境が、コロナに感染しやすい生活様式になっていたっていうだけかもしれんよね。

(奈津美)たしかにそういう考え方もできるかもしれないよね。

(侑子)どっかから発生しましたって説もあるけど、ほんとは世界中どこにでもいて、それが清潔さを追い求めてしまった結果として、さらに猛威を振るっているってパターンもありうるかもしれないね。あくまで仮説やけどね。

(奈津美)あるかも(笑)

(侑子)わたしらがウイルスを強くしてしまっている。

(奈津美)なんか過剰に反応してしまっているところもある気がする。だからと言って、感染した人は環境が整ってなくて免疫が弱かったんじゃないかって言いたいわけでは全然ないけど、なんかでも、コロナウイルスを怖がったりとか、感染した人をどうこう言うんじゃなくて、まずは自分の環境を整えてみようよから始めれたらいいよね。

(侑子)そうよね!

(奈津美)お家の状態大丈夫ですかー?から始まり。

(侑子)うんうん、なんか必要以上に消毒をしたり、怖がる前にできることまずいっぱいあるよね。

(奈津美)あるある(笑)今さ、病院すごい手袋不足で。この間ついにね、食品用の手袋が届くようになったの(笑)これじゃあケアできないよって思ったけど、それだけいろんなところで手袋使ってるんだよね。

(侑子)それはびっくり!(笑)でも、そうかもしれんねー。

(奈津美)わたしたちはケアで体拭いたりとか、排泄物を扱うことをしたりとかするから絶対的に手袋が必要だし、素手でやるなんて考えられないよね。

(侑子)うん、病棟で複数の人たちを看てるわけやからね。一人の患者さんに1つの手袋が基本よね。

(奈津美)うん、だから必然的に日々使う手袋は増えるじゃない?でも最近、ありとあらゆる場所で手袋使ってるの見るようになったよね。なんか、いろいろ考えたうえで感染対策とろうって気持ちはすごくわかるし、それは称賛されることだとは思うけど、果たしてそれは本当に必要な手袋でしょうかって正直思うこともある…。

(侑子)ほんまやねー。それ使うのは自由やけど、ディスポである必要はない場面もありそうよな。

(奈津美)そう!で、それさ、毎回使い捨てて、次の人と接触するとき新しいのにしてるかな?その手袋した手でいろんなところ触ってないのかな?って思っちゃう。そうやって使わないと手袋の意味がないんだけどな、って気になっちゃう(笑)職業病だね。

(侑子)自分の手は安全かもしれないけど、使い捨て手袋は毎回使い捨てないと感染拡大防止という点ではあんまり意味ないよね(笑)

(奈津美)この感染対策でいいのかしら…ってなる(笑)それ以外に、お家も含めて、もっと自分の生活環境とか、見直せることがあるんじゃないかなって。

(侑子)皮膚が体内の臓器を守ってくれてるから、傷がいかない限り体の中に菌が入ることはないわけで。だから外界のところで無菌の操作みたいなことをする必要はあるのかというのがとっても疑問(笑)

(奈津美)そうなんだよねー。


原則4:家の環境は良くも悪くも伝承される


肺結核は「遺伝的素質」の結果であると指摘する人も多い。ゆえにこれは不可避の病気だというのである。(中略)健康増進の諸注意を怠ることによって病気が起こるということは、現在は大方認められている。しかし、(中略)親から子へと伝わる習慣、たとえば、不節制、汚れた空気を呼吸すること、陰気で不健康な場所に住むこと、その他これに類似した習慣が、同じくその家系の質を徐々に低下させる原因になるということを、世の人は肝に銘じているであろうか。
ー『看護覚え書ー看護であること 看護でないことー(改訳第7版)、一部抜粋』


(侑子)「”遺伝性”っていう言葉に対する異議申し立て」みたいなところは面白かったね。

(奈津美)そんなところあったっけ?(笑)

(侑子)「肺結核は遺伝的素質の結果であると指摘する人も多い」みたいな感じでね、書いてあったところがあったんよ。アトピーもそうやけどさ、家族に素因がある方が子供もアトピーになりやすいとかさ、よく聞かへん?

(奈津美)うんうん。聞いたことある。

(侑子)アレルギー症状出やすいって、確かにそういう傾向にはあるけど、そもそもその生活が伝承されているわけだから。ある意味遺伝やんな。

(奈津美)“生活様式の伝承”という遺伝だね(笑)

(侑子)まさにそうやと思う。こんな感じで表現もしてたね。

『消化力の弱さ、言い換えれば不健康が、上流階級の婦人たちの間で「遺伝」となりつつある恐れがあるというのは事実で、これはまた肺結核の誘因ともなり、まさに家族や家系の衰退へとつながるものなのである』
ー『看護覚え書ー看護であること 看護でないことー(改訳第7版)』

『第一に、直接的に、新鮮な空気を呼吸することの不足によるものであり、第二に、間接的に、怠惰、不健康な刺激を求める生活、不健康な食生活、興奮剤と緩下剤の濫用、その他の生命力を消耗させるもろもろの習慣によるものである』
ー『看護覚え書ー看護であること 看護でないことー(改訳第7版)』


(奈津美)ぐさぐさくる(笑)

(侑子)遺伝性の疾患ももちろんあるけど、また違うよな、こういう感染症系とか、アレルギー系のやつは。

(奈津美)ほんとだよね。アレルギーとはまた違うかもしれないけど、直接日光を浴びることでストレスが軽減するっていうのもあるらしくてさ。高校の時は日が昇る前に家を出て、日が沈んでから帰宅みたいな時期もあって、その頃ってすごく悲観的でしんどかったの思い出したんだよね(笑)日光に当たってなかったからだったかも(笑)

(侑子)なるほど~。お家でカーテンを開けて、窓を開けて、日の光を浴びて「おはよう!」って言われるような育て方のほうが、より子供はストレスに強くなったりするのかな(笑)

(奈津美)ありそうだね(笑)そう思うと、遺伝はどうしようもないかもしれないけど、親がちょこっと考えを変えて、環境をちょこっと変えただけで、もしかして子供の未来はすごく変わるかもしれないっていうことだよね。

子供が走る

(侑子)そうそうそう。まさにその親になる前の私たちが生活をね、変えていけばそれが未来に繋がっていくわけでね。

(奈津美)なんかすごい。お家の構造や環境を整えるって、未来のための話なんだね。


家屋の健康 (2)



対談を終えて(By 奈津美)


実は私、奈津美は2020年の感染症拡大に伴う自粛期間にお家の片づけ、掃除を徹底的にしました。たくさんのものを手放し、お家の中がシンプルになり、窓を開ける機会が増え、自然の光が入ることが心地よくなると、心も整うようになりました。一般的に言えばかなりストレスフルな日常のはずなのに、思ったよりも日々元気に働けていました。

ナイチンゲールの生きた時代では天然痘が猛威を振るっていましたが、私たちの時代では新しい感染症が人々の体も心も脅かしています。「看護ができることは予防だけ」とナイチンゲールは語っていますが、家の健康を整えることもまた、感染症やたくさんの病を予防する一つの「看護」なのです。
病にかかることを恐れたり、悲観するのではなく、予防のためにどう行動するか何を選択するのかが重要だと私たちは考えています。

看護師のあなたも、看護師ではないけれど誰かの健康を預かっているあなたも、自分の健康を大切にするあなたも、みんなで健康な家を整え、快適な暮らしをしませんか。そのために家を健康にする5つのカギをご紹介します。

                          奈津美より



☆家を健康にするための5つのカギ☆

ナイチンゲールは、家の健康について5つの要点を発表しています。私たちの対談も含め、「現代のお家を健康に保つ」ために見直してみましょう。

① 清浄な空気
…十分な換気がカギになります。
換気には窓を2つ開けましょう。窓が1つしかない場合は換気扇も使用して、空気の「入り口」と「出口」を意識した換気をしましょう。24時間換気システムは止めてはいけません!

✿ちなみに侑子の後日談…

侑子の後日談


▼換気について、詳しくはこちら


↓ 具体的な換気の方法の参考URLです。

https://www.daikin.co.jp/air/life/ventilation/)


② 清浄な水
…現代日本では水道水に微量の塩素も含まれます。飲み水とするときにはちょっとだけ気を付けましょう。

③ よく流れる排水
…部屋に悪臭がしないような排水になっていますか?水の「出口」もきれいにしましょう。


④ 清潔
…神経質になる必要はありません!そもそもお家にはそこまでの菌やウイルスはいません。快適に過ごせるよう十分掃除をしましょう。消毒はほどほどに。


⑤ 光
…日中はカーテンを開けて部屋に光を入れましょう!暗い部屋は万病のもと!


自分の健康を考える機会が増えている今、このチャンスにお家の健康も整えてみましょう。たくさんの人が「健康に暮らすこと」を考え、それぞれが快適な暮らしを実現できたら、感染症も怖くないのかもしれません。

次回の対談もお楽しみに!

                      


<対談者プロフィール>

【奈津美】
’92年生まれ。ドラマの影響で看護の道へ進むことを決意。しかし臨床1年目に一度挫折を経験する。「やっぱり看護が好きだ」と気づき、現在は病棟の副主任看護師を務めている。たくさん泣いて転んで落ちこんだからこそ、人の生きがい、人間関係、死に方と生き方を大切に思うようになる。看護師を癒す看護師でありたい。たくさんの人の人生を、わくわくするものにしたい。食べること、歌うこと、ビールと日本酒が大好き。

【侑子】
’92年生まれ。現役小児訪問看護師、兼ベビーマッサージ講師。人の目を気にして自分の想いと葛藤し、きゅうくつな幼少期~思春期を過ごしていた。生きづらさから脱したくて「私を知りたい」と、小児領域に飛び込む。今は、自分らしくのびのび生きることを大切に、生きている。「子ども・家族と心を通わす看護」がモットー。日々子どもの”生きる”をサポートしている。山と旅、新しい価値観に触れることが大好き。山登りは、ハードさよりもゆったり景色を眺める縦走が好み。発酵食、保存食づくりにハマってます。


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