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「贅沢」を考える

こんにちは。うつ病休職エンジニアの三十郎です。

うちの奥さんの格言に「贅沢はできるうちにするもの」と言うのがあります。いくらお金を貯めても、使わなければ意味が無い。もし、将来、お金に困れば、保険に頼るか、人に頼れば良いという考え方です。

私は恐ろしくてついて行けないので、密かに貯金しています。

さて、歴史上「贅沢」の極みを尽くした人物として真っ先にマリー・アントワネットを思い浮かべる人も多いのでは? 彼女の贅沢のせいでフランス国家が財政破綻し、重い税金を課された人々は「フランス革命」を起こしました。そして、彼女は断頭台へ。

1.贅沢とは何か?

お金を浪費すること=贅沢、と考える人も多いと思いますが、浪費では無く己投資など意味のある消費ならば、贅沢では無いと言い切れますか? 辞書では「実際の生活が必要とする以上の、分に過ぎた消費(Oxford Languages)」と記載されています。広辞苑では「必要以上に金をかけること。分に過ぎたおごり」と記載されています。

必要の定義は、人により異なるでしょう。「最低限、生きるのに必要」もあれば、「人付き合いも含めて必要」もあります。マリー・アントワネットからすれば、「寂しさを紛らわすのにパーティーは必要(オーストリア帝国から嫁入り)」だったので、あながち贅沢とは言い切れないことになります。

でも、世間の常識からすれば、毎晩のようにパーティー三昧では、「分に過ぎた消費」と言えます。寂しさを紛らわせる方法など、お金をかけなくても他にいくらでもあるだろうにと。しかし、女帝マリア・テレジアの娘として生まれ育った彼女は、お金を使う生活しか思いつかなかったのでしょう。

やはり、収入と支出のバランスが取れていなければ、財政的に破綻し、不幸が待っているのです。将来のことなど考えず、今を目一杯楽しむ生活では、将来、不幸になってもやむなしです。ある程度、生活にゆとりが無ければ、不確定な未来に備えることはできません。

しかし、今の日本、貯金の無い人は3割もいると言われています。しかも、貧困層に多いのです。「贅沢」ではなく「必要最低限の生活」でも、こうなっています。その「必要最低限」が、その人にとって分に過ぎた消費なのでしょうか?

江戸時代のお百姓さんから見れば、スマホを使っている時点で分が過ぎた生活と写るかも知れません。しかし、日本国憲法第25条第1項では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と記載されています。スマホは、「文化的な最低限度」を超えているのでしょうか?

2.贅沢の心理学

「贅沢」の概念自体、その人の育った環境で大きく異なります。貧しい国の人は、日本に住めるだけで贅沢と感じるでしょう。一般的な日本人は、お金だけでは無く、自由な時間や健康にも贅沢を感じます。

現在の環境よりも、より良い環境で暮らしたいのは、万民の共通することでしょうが、「贅沢」をしたいと言う人は日本の場合、少ないかも知れません。日本人が一番貯金の多いときは、死ぬときだと言われています。死ぬ間際でも、老後が心配でお金を使わない傾向にあります。

でも世の中には、派手な金遣いで身を滅ぼす人もいます。まさに「分に過ぎた消費」です。何故、このような人は絶えないのでしょうか? 何らかのきっかけ(見栄の張り合い、消費の快感、など)で生活水準を上げてしまうと、多額の借金を背負っても、生活水準を下げることができなくなり破産します。

宝くじの1等に当選した人にも、破産する人が多いと聞きます。また、若いときに大金を手にした人達(スポーツ選手、ミュージシャンなど)にも、破産する人達がいます。これらの人に共通して言えるのは、普通の暮らしから一気にお金持ちとなり、贅沢な暮らしを覚えてしまっことです。一旦、生活水準を上げてしまうと、下げることができないのが人の心理です。

アメリカ人に他国並みに1人あたりのCO2排出量を下げろと言っても、聞き入れられないのは、このためです。彼らは生活水準を下げてまで、環境問題に取り組もうとはしません。EDMC/エネルギー・経済統計要覧2018年のデータでは以下のように報告されています。

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我々日本人と手て、「江戸時代の生活水準まで下げろ」と言われれば、暴動となるでしょう。

また、現代社会は、日本のようなデフレ下においても、広告宣伝やあの手この手で消費を喚起しようと我々の心理に働きかけてきます。本当は必要がない物まで、つい買わされるのです。

消費に関しては、周りの水準に合わせようとの心理的バイアスが働きます。私も貧しい国々を旅してきましたが、現地では消費を抑えることができても、日本に戻ると元の生活に戻ります。

消費が停滞すると、確かに経済が回らなくなりますが、度を過ぎた消費をすると破綻します。未来のことは誰にも分かりません。とりあえず、多額の借金を背負わないことが、人生を楽に生きるのに必要だと思います。皆様も、お金の奴隷になりませんように。

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