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採用担当は人事初級なのか?

人事といってもその範囲は広く

労務…給与計算、社会保険手続き、賞与査定
採用…新卒・中途・パート採用
教育…研修、評価
人事企画…人事制度導入、人事戦略の立案

こんな感じで分かれています。(会社によって少し違うこともあります)

未経験から入りやすいのは、採用人事。
営業力(人を惹きつけ、数字にコミットする力)があって、若くて、最近ではSNSに強い女性が採用されやすいポジションです。
逆に、労務は正確な事務処理能力や労働基準法の知識も求められるので専門性をもった労務経験者を、教育・人事企画は組織コンサル経験などを持ち論理的思考に強い経験者を採用したいケースが多いかなと思います。

こうした背景があるので、人事といえば何となく「採用で経験を積んで、将来的には人事企画をしたい」という声がよく上がります。

私自身の人事としての経験もまさにこの通りで、採用担当→研修・評価制度運営、企画→人事制度企画とHRBPのような仕事へとキャリアを変えてきました。

しかし、最近は採用担当って実は奥深い仕事ではないのかと思っています。
今日は、その理由について。

1.強力なマーケティング力

採用はどこの会社でも課題です。
人が採用できれば事業は伸びるといっても過言ではないほどに重要ですし、一方でマッチする人からの応募は「縁」という言葉に逃げてしまいたいほど難しい。
ネームバリューのある会社は人が集まりやすいですが、ほとんどの会社はネームバリューのない会社。
給与だって無制限には出せない。決められた条件の中でターゲットを決め、そのターゲットに刺さるように端的で心を揺さぶるような求人広告を書く。
そして有象無象ある求人広告の中で、ターゲットにとっての上位を勝ち取る。論理的思考も必要ですし、マーケターとしてのセンスも、文章力も必要。これは結構難しいことだと思うのです。

2.調整力

採用面接を行うのは管理職、役員であるため、日程調整は難しく、さらに面接は人の感覚にある程度頼った判断となるため、複数回行われる面接で共通の判断軸を持っていくのは難しいことです。
現場のマネージャーの視点、人事部の視点、役員の視点はそれぞれ違うことも多く、この合意形成も採用担当の仕事。
人を採用することは月数十万円のコストを定額で払い続けること、それゆえ各人のこだわりを紐解き、全員の目線合わせをするのは至難の業です。

3.カウンセリングと動機付け

応募者の方は人生の大きな判断の中、自分の本当の気持ちを探してたいていは迷われています。

「今の仕事のままでいいのかな」
「どうしてこの業界を目指したんだっけ」
「この会社である理由は何だっけ」
「自分の強みはどんなことなんだろう」

「そういう自分探しを終えてから応募してくださいね。」と言わんばりの情報提供を企業はしてくれますが、これって簡単なことではありません。
オウンドメディアや求人票を読んで、考えて、誰かと壁打ちをして、転職・就職活動を通じて自分の考えを固めていきますが、採用に10年以上関わってきた人事の私だって、自分のキャリアの方針は簡単にわかるものではありません。
だからこそ、採用担当が、求職者の心の中の迷い、願いを整理して、適切な情報や問いを投げられたらいいなと思うのです。

自己分析もできていないような応募者はいらない、という意見もありますが、就職で迷わないような人ってほんの一握り。
組織を拡大していくのであれば、原石のような人を採用し、宝石にするようなオンボーディングができるというのは必須なのではないかと思います。

他社の人事に圧倒的に勝てるマーケティング力、役員も含めて合意形成できる能力、そして人に人生を賭けてもいいと思われるような対応力(カウンセリングと動機付け)これらの能力を極める、そういう人事のキャリアも素敵だと思うようになりました。

人事の皆さまはどんなキャリアを思い描いていらっしゃいますか?
もしよければぜひ教えてくださいね。

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