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女性が一生働ける会社を探しています


十数年前、私は就活の際に「一生働き続けられる会社」を探していました。

しかし、選考で「育休や産休」の制度を質問するのは、やる気がないと思われそうで怖かった。

人事として関わる中でも「一生働き続けられる会社」を、不安そうに探していた女子就活生の皆さんは、多かったように思います。

今日は、そんな皆さんに少し安心してもらいたくて、私が知っている女性活躍に関連した情報をざっくり概要だけまとめました。

1.法律で決まっていること

①産前(6週間)・産後(8週間)休暇
産前は本人請求があれば、産後は本人請求がなくても就業不可。この休暇の請求があった場合、会社は拒否することができません。
(拒否した場合は違法となるので、企業名の公表、20万円以下の罰金が科せられます)

参考:厚生労働省:あなたも取れる産休・育休


②マタニティハラスメントの禁止
妊娠や出産を理由に解雇したり、妊娠や出産にあたって職場で受けたりする精神的・肉体的なハラスメントは禁止されています。

2007年 男女雇用機会均等法 改正
マタニティハラスメント防止措置を企業に義務付け

関連して、厚生労働省から、妊婦へのマタニティ・ハラスメントに関するチラシの配布、ハラスメント相談窓口を設置、広報もされています。

私も母子手帳をもらうときにチラシをもらい、更に保健師さんから「ハラスメントのような事はないか、心配なら相談してね」と言ってもらいました。


③育児休暇(最大延長2歳)
2018年の女性の育休取得率は82.2%、2007年以降ずっと80%以上をキープしています。
厚生労働省:育休取得率の推移

また、会社が 育児休業の取得を理由として契約を更新しなかったり、休業を終了する日を超えて、休業を強要することは法律で禁止されています。

現在、89.5%(2018年)の女性が育休から復職しています。
育休取得後の復職者、退職者数


④時短勤務
3歳未満の子供がいる場合で本人から希望がある場合は、労働時間を6時間にすることが企業に義務付けています。

2.社会保険で保障されていること

社会保険は、企業にフルタイム正社員で勤めた場合、基本的には、全員加入が義務付けられています。

以下のお金は、企業からではなく、社会保険加入者に国から一律に支払われています。

①出産時の手当
出産時の経済的補助制度は以下の2つです。

出産手当金…産休中の生活保障を目的(およそ給与の2/3相当額)
出産一時金…出産時の費用の軽減を目的(1児につき42万円)



②育休中の手当

育児休業給付金
育休開始から半年まで…給与のおよそ67%
育休開始から半年以降…給与のおよそ50%



3.企業ごとに違うこと

①育休の延長
・企業によっては、3歳まで育児休暇をとれる企業もあります。


②出産時の手当
・企業が独自の制度を入れている場合は社会保険からでる手当にプラスして数万支払われる事もあります。
この金額で出産時の経済的心配がないか、というと課題※1がありますが、それは国としての課題で、どの企業に入っても大きく変わりはありません。

※1出産時の自己負担金はおよそ29万円。
参考:たまひよねっと「【専門家監修】妊娠・出産・育児でいくらかかる? 妊娠・出産 お金の話」
参考:国民健康保険中央会 出産費用


③時短勤務の延長、短縮時間の変更
・法律までだと3歳未満までしか時短勤務を選択できませんが、企業によっては、未就学児(小学校前まで)、小学2年生までと時短勤務が取れる期間を延長しています。

・時短される時間や勤務日数を、自己申告制(5時間勤務や4時間勤務、週4日勤務をOK)としているところもあります。

4.まとめ 

結論:法律と国の制度で出産、育児休暇取得、そして復帰まではそこそこいける。

以下、人事10年、ワーママ4年目の個人的な感想をQAでまとめました。

Q.最低限の制度しかない企業でも仕事は続けられるか?

A.続けられますが、子供が3歳になったころからフルタイム勤務になりますので、実家や夫の協力がどの程度あるか、職場までの距離などの条件によっては厳しいこともあるかもしれません

Q.少しでも人事制度が充実している企業に入った方がいい?

A.そうとも限りません。以前ベンチャー×幼児ママって増えた気しませんか?でも記載しましたが、この10年で大きく社会が変わっています。
そして、その変化はまだまだ続いています。

ですから、現状の制度の良さだけで入社する企業を選ばなくてもよいかなと思います。
制度が良くても、会社や仕事が好きでないと続きませんから。

Q.こんなに制度があるのに、
 なぜワーキングマザーはしんどそうなの?

これは長くなりますので次回「ワーキングマザーはどうして、大変そうなの?」にてお話します。


今日は少し長くなってしまいましたね。
就職、転職時に不安を持つ女性の方に少しでも役立ちますように。


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