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留年した内定者 人事の判断

ケースA
内定者のAさんは、内定者研修はゼミ合宿と重なっていたので参加せず、メールや電話もいつも1日以上たってから返信がくる。内定者課題は期日ギリギリ、メールはいつもそっけない。そんなAさんから、「留年したので卒業できない」と連絡が来た。
ケースB
内定者のBさんからも「留年した」と連絡が来た。Bさんは、内定者研修でも積極的で、課題も1か月以上前に提出。メールも電話も即レスで、「会社が好きだ」という発言を良くしている。Bさんは泣きながら、留年したことを謝っており、「卒業できる半年後、または来年の春に入社したい」という。



就活、内定者研修と伴走した学生さんからのこうした相談、人事としては胸が痛いですよね。

上記のようなケース、様々な判断軸があると思います。


今日は、私だったらどう考えるかを共有します。

1.法律的にはどうなのか?

新卒採用は○年○月○日の入社、を条件として募集していますので、その日に入社できないということは前提条件を覆すことになります。
また、「中退して約束の期日に入社をする」と言われたとしても、採用時の応募条件に大卒などと学歴に関する条件が書かれている場合、応募資格を満たしていないことになります。
よって、留年を理由とする内定取り消しは致し方ないと判断されることが多いです。

2.人事の判断基準

内定者がどんな人か、ではなく、
基本はルールに沿って一律に対応することです。それは「会社の労務管理への信頼」を崩すことになるからです。

「この会社は誰かの好き嫌いではなく、ルールに沿って人材管理(労務管理)している」ということは、「理不尽に不当な対応を受けない」ことへの安心感でもあります。

社員が安心して就業を続けるためにも、この安心感は不可欠ですので、ルールに沿わない判断をするときも「どうしてこういう対応になったか」、誰もが納得できる理由を用意することが大事です。

3.コストから考えるとどうか?

新卒採用には一人当たり100万円以上のコストがかかっています。
「留年するから会社で活躍できる人材ではない」とは言い切れませんので、新規の採用費をかけるくらいなら、留年を受け入れ、入社を許すという考え方もありだと思います。

4.実際に受け入れるとどうなのか?

私が今まで見てきた中だと

 ・同期からの遅れを気にしてしまう
 ・留年したことをずっと意識してしまう

という点から、早期離職や結局、内定辞退になるなど、悲しい結末につながったケースが多かったという感覚があります。
(ご本人の性格にもよります)

5.まとめ

①法律的には内定取り消しが認められることが多い

②留年時の対応は一律のルール、判断指針を作っておいたほうがよい

③①、②のうえで、ご本人の意向や能力を加味し、会社としての選択肢を提示する

④受け入れる場合は、デメリット※1も伝えたうえで、本人の覚悟を問う

 ※1…会社は気にしなくても、同期から遅れてしまった事は気になってしまうかもしれない

私が知っている中では、以上のような対応が割と多いかなとは思います。

多角的な判断が求められるので非常に難しいですね。

人事の皆さん、どうされていますか?



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