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2-2: 無差別テロの共謀罪!?

警察からも嫌疑がかけられた理由は主に2つある。

1つ目は犯人と思われる清掃員を確かに目撃した人は、私と文藝春秋ビル入口にいた2人の警備員、たった3人だけだったからだ。

当時、文春ビルにいた者の中で、あの清掃員をよく覚えていたのは、他に誰もいなかった。ただ、仕事中に清掃員を見かけても、ほとんどの人はその顔や背格好まで見ることはないので、しょうがないともいえる。

おまけに、ビル内にあったどの監視カメラにも犯人らしき人物の姿は一切映っていなかった

少なくともエントランスと編集部周辺にあるカメラには映っているハズだったが、不思議なことにそのどれもが作動していなかったのだ。

警察から私が疑われた2つ目の理由は、私が唯一の生存者になったからだ

あの清掃員によるエアコン修理の間、文春編集部にいたスタッフ27人は――ただ1人、この私を除いて――全員が亡くなることになった。

犯人の目撃者が3人しかいないのも、そのためである。

そして警察は捜査の行き詰まりを打開すべく、最も単純な線に進んだ。つまり私と警備員が共謀して無差別テロを起こしたのではとにらんだのだ。

私たち3人が口裏を合わせて清掃員という架空の犯人をでっち上げた。監視カメラが作動していなかったのも、私たちが事前に電源をOFFにしていたため。

そして、私一人が編集部内で毒ガスをまいたというワケだ

私と警備員2人は警視庁に任意同行させられたあげく、おそらくは最も重大な犯罪容疑者のために用意された陰うつ極まる取調室で事情聴取を受けた。

私たちに猛烈な脅しをかけたり巧妙な駆け引きを試みたりしたのは、きっとコーアンだろう。これぐらいの犯罪になれば国家犯罪に当たる公安警察が出てきてもおかしくはない。



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