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会社の仕事で感じたモヤモヤから、心理的安全性について考える

皆さんは、上司、同僚から言われた一言、あるいはメールでモヤっとした経験はないでしょうか?恐らくすべての人がそんな経験、一度どころか何度もされているかと思います。

私も多分に漏れずそんな経験をよくします。先日も社内のあるシニアポジションの方から頂いたメールでこんなことがありました。

詳細は載せられないのですが、要するに、あるシステムに入力されているデータに誤りや不適切な記載があり、ここと、ここと、ここに問題があったのを見つけたから修正してほしい。そして、今後はそういったミスがないようにしてほしい。そんな内容の依頼(というより指示・指導)でした。

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「ちょっと待って!?この内容の一体どこに問題があるの??」と思われた方もきっといらっしゃることでしょう。

そうなんです、これ一見何も問題ないように見えるんですよね。だってデータが誤っていたのは事実なんだし、不適切な記載も事実だし、今後ミスがあっては困るのもまた事実なんです。うん、やっぱりどう考えたって問題がない。そう、確かにそうなんです。しかし、私は、このメールを見た瞬間に、申し訳ないと言った気持ちよりも先に、モヤっとした感情を心に感じたのです。

今日はそんなモヤり経験から、このモヤりの真相を探り、今後に生かすべく、ちょうど最近読んでいた石井遼介さんの著書『心理的安全性のつくりかた』からの学びも交えて、私なりの心理的安全なチームづくりの実践方法を考えてみたいと思います。

モヤりの原因

一言で言うと、この依頼(指示)には、受信者(つまり私)の意見が反映されていないということでした。

実はデータが誤っていたことの背景には、入力者による入力ミス以外の問題も潜んでいたのです。そしてそれは、データ管理者である私は、薄々想定していたものでした。だからこそ、最初に私はどうして欲しかったのでしょうか?

相談して欲しかったのです。

モヤりの原因 - それは事前相談がなかったことだったんだと気づきました。

私は自分の仕事に自信を持っていました。それはエラーがないとかそう言ったことではなく、自分の仕事に対して説明責任が取れるという意味での自信です。だからエラーがあったことへの指摘そのものよりも、エラーが何によって引き起こされたのか?それを防ぐにはどの仕組みを変えれば良いのか?などをうまく説明できたように思います。事前相談さえあればです。

ですので、最初にデータ修正依頼(指示)がきたことに対して、私はモヤっとした気持ちを抱いてしまったのだと思います。

心理的安全性について考える

この体験から心理的安全性について考えてみました。心理的安全性の高いチームとはどういったものか?と。まずは、私の心に浮かんだイメージを書き出してみます。

・メンバーが自由に意見を出し合える
・メンバーがお互いを信頼している
・メンバーが個々の強みを理解し、それを生かしている
・メンバー主導で業務が実行されている(マネジャーは支援役)
・マネジャーを含め、メンバーが皆フラットに繋がっている

そんなことを考えていると、ふと"あるチーム"が頭に浮かんだのです。それは、滋賀県の県立高校で、2005年度の全国高校サッカー選手権を優勝した高校、野洲高校でした。当時「セクシーフットボール」の名で一世風靡したチームです。地方の無名の県立高校が、全国大会に優勝する、漫画で言えばサッカー版スラムダンクのようなチームです。当時のチームから多くのJリーガーが排出され、代表格では、日本代表や海外でも活躍する乾 貴士選手を排出したことでも知られています。

えっと、実は私、滋賀県出身なんです。しかも、当時やっていた部活動で、よくこの野洲高校に練習に出かけていました。ですので、この全国制覇のニュースのことはとても記憶に残っているんですが、当時のことを思い出すと、まさにこのチームこそが私が挙げた心理的安全性の高いチーム作りを実行していたんじゃないかな?とふと思ったんです。

そこで、上の記事を含め、当時のことを伝える記事をいくつか読んでみました。すると、やはりそこには「心理的安全性」につながると思われるメッセージが書かれていたのです。

"岩谷(コーチ)がこだわるのは人としてのスタンスだ。「指導者の言うとおりにしたらいい選手にはならへんで」と常々言っている。"

"選手ごとにオーダーメードの指導をするのも流儀だ。乾に関しては、コーチたちに「何も教えるな」と通達していた。「乾は10年に一度の選手。コーチが教えたら下手になる。上手くさせようと思う時期が来たら、俺がぱっと出て教えればいい。1学年上に入れて、自分でどれだけ吸収するのかを見ていた。意欲がないときに無理やり教えたら、サッカーが嫌いになる」岩谷は乾が飢えるまで待った。"

個人の尊重主体性を信じる心、そして強みを生かした育成が、個を強くし、チームを進化させたのだと思います。

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著書『心理的安全性のつくりかた』から学んだこと

著者の石井さん曰く、心理的安全性には4つの要素があるといいます。それは次の通りです。

① 話しやすさ(意見を言って大丈夫)
② 助け合い(質問しても大丈夫)
③ 挑戦(失敗・間違いを認めても大丈夫)
④ 新奇歓迎(自分らしくいて大丈夫)

私なりの言葉に言い換えて、考えてみました。

"話しやすさ"とは、普段から"気兼ねなく"雑談できる関係性。
"助け合い"とは、常に"お互い様"だと思える関係性。
"挑戦"とは、ありたい姿(又はゴール)に近づくための"実験"
"新奇歓迎"とは、他者との違いに"興味"を持ち、そこから何かを得ようとする力。

メンバーそれぞれがそれぞれに"興味"を持ち、常に"気兼ねなく"接し、いつでも"実験"できる環境。当然失敗したり、迷惑をかけたりすることはあるが、それも"お互い様"と乗り越え、成功すれば肩を組んで喜びあえる、そんなイメージが脳裏に浮かびました。

こんなイメージを実現させるために一人ひとりができること、それが心理的柔軟性だと石井さんは言っています。

❶ 変えられないものを受け入れる
❷ 大切なものに向かっていく
❸ それらをマインドフルに見分ける

著書に書かれたこの3点セットは、まず受け入れること(inclusion)から始まります。まずはありのままの相手を認める。「なぜそう思ったのか?」を考え、彼/彼女の実現したい"ありたい姿"(ゴール)のために、どう協力していけるかを一緒に(つまり、side by sideで)考えることだと理解しました。

そのためには、何が本質で、何が変えられるものか?を自然に見分けられるようになる必要がある。だから、今、この場、この時間に集中する(つまり、マインドフルに相手に向き合う)ことが大切なのだと思います。

心理的安全性をチームにもたらすために私ができること

私自身は管理職でもないです。ですが、チームに影響を与えて心理的安全性をチームにもたらすことは可能だと信じています。リーダーシップは誰にだって取れるからです。そのため、心理的安全性をつくるために、今の自分に何ができるかを最後に考えてみたいと思います。

最初に示した私の体験にもヒントは眠っていたように思います。
一番大切なこと、それは「対話」だと思うのです。

特に昨今のコロナ禍でのテレワーク環境においては、「対話」は一層重要になっているように感じます。

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一方、テレワーク環境では、物理的な同僚との距離は遠くなり、フラっと会いにいける環境ではなくなりました。そのため、コミュニケーションの方法を今まで以上にメールに頼っている人は多いように思います。最初の例でもメールに頼った結果が生み出したモヤりだったと思います。

ですが、こんな状況下であるからこそ、むしろ「対話」を積極的に仕事に取り入れる必要があると思うのです。ミーティングではなくちょっとしたオンラインでのface to faceの会話や雑談、音声だけの対話、フランクなチャットだけでも十分に効果はあります。

対話の中で気をつけたいこと、それは攻撃的にならないことです。石井さんの本にも書かれていたように、とにかく挨拶、感謝、聴くを心掛ける。それだけでも心理的安全なチームづくりに一歩近づけるのだと感じます。

翻って、私はオンライン環境下でも対話を続けてきました。特定の業務に没頭したいという特別な日を除けば、ほぼ毎日オンライン環境下でも雑談や対話を意図的に実践しています。

用件はメールで済むことなのかもしれません。雑談は業務に直結することではないのかもしれません。ですが、こうした日々のちょっとした心掛けが、心理的安全なチームに貢献していると私は信じています。

メンバーそれぞれに興味を持ち、常に気兼ねなく接し、常に実験を続け、失敗をしながらもそれもお互い様と割り切って、更なる高みを目指していけるそんなチームが出来上がる日を夢に見つつ_。

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