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三越劇場@東京建築祭
一昨日、特別公開されていた三越劇場を楽しみに行った。
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手放してしまった本が多いのだが、好きな作家・長野まゆみは、子ども時代に華やかな百貨店にわくわくした人。レトロな百貨店が出てくる「天体議会」「三日月少年漂流記」を思い出したりした。
百貨店はちょうど開店の時刻で、七層から八層も積み重ねられた吹き抜けの回廊に乳白色の照明が点り、手摺や柱に装飾を施した階段が頭上に聳え立った。天蓋は不透明な玻璃張りで温室のように自然光を落として室内を明るくしている。玄関は半円形の飾り窓がついた巨大な回転扉で真鍮の金具が輝き、硝子はその存在が信じられぬほど磨きたてられていた。回転扉をくゞったホールの天井には、凝った細工の花飾りの電燈が零れ落ちそうな水晶の雫をつけて吊り下がっている。
1階席の後方から、中に入ったところで見かけた意匠の細かさだけでも、圧倒されるような驚きを感じた。
人は多かったが、広い会場。
のんびりと眺めながら、写真を撮りながら、ゆっくり楽しませていただいた。
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アールで上がっていくデザインも、
そこに丸くはめられた丸い金物も丁寧な装飾
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見出し画像の天井のステンドグラスを撮ったり眺めたりしながら、舞台に近づいてみた。舞台上の装飾の中に三越のロゴも。
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別な時間に行った友人の舞台幕の写真には、
「株式会社三越100年記念」と書かれていた
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ふと足元の装飾された金物に気づいた
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1階席を出て、階段で2階席に上がった。
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細かな装飾も近くで見られた
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1階から見上げるとわかりにくい立体感をそばで見られた。
周囲の木枠にもカラフルな透過光
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1階にあった扉の装飾も、こんな風に開くのかと思いながら見学を終了した
劇場は6階だった。エレベーターに向かった。
レトロなエレベーターに合わせて作られたように見えた、出入口の上にあるエレベーターの現在階の表示板。
眺めているとR階が点灯した。
屋上にはレトロな遊園地が?動物が?キリンが?
勝手な想像を膨らませてしてしまった。
が、そんな話を伝えた友人の指摘をきっかけに、それは近隣の同業他社の昔の話、と後で判明。
…申し訳ございません。
実際にはキリンではなくゾウが屋上にいた。受付終了しているが、建築祭のガイドツアーの会場にもなっている日本橋高島屋の古い時代。
キリンは、そのゾウの話をベースにした、ほしおさなえ・著「紙屋ふじさき記念館」の話も混ざった勝手な連想。
…怪しい記憶のため、キリンではなかったらごめんなさい。
そのシリーズは友人に教わり図書館で借りて読んだ、日本橋が舞台の本。
「紙屋ふじさき記念館」では、百貨店のレトロな食堂の話も何度も出てきた。それも高島屋の話が多かったように思うが、どちらも出てきたようにも思う。
…怪しい記憶で話題にしてしまい、重ね重ね申し訳ございません。
建築祭のガイドツアーでは、食堂は三越が入っていた。
最後に、家にある1995年出版の長野まゆみ・著「宇宙百貨活劇」から引用しておくことにする。昔の方が良かったかどうかはさておき、リアルに屋上の遊園地を知っていた著者のお話。
激しく歴史音痴な私はこのnoteで、失礼なだけではなく、全く関係ない話ばかり引き合いに出した可能性も大きい。
が、私としては本の中で知った雰囲気を、たくさん連想した日だった。
自分が小さい頃の記憶にも、微かにその雰囲気が残っていたりする。
「遊園地」
かつて遊園地といえば、鋼鉄やジュラルミンで眩しい今日の豪華さとはまったく別の、素朴で単純な世界があった。遊具のほとんどが木製で、滑車や歯車のまわる音とともに、簡単な梃子ひとつでギクシャクと動きだした。機械油のにおいが、つんと鼻をつく。
書割を置いた舞台やサーカスの天幕の下、それらとほぼ同質の或る種怪しい雰囲気が漂っていた遊園地。鼓笛の音と、意味もなくはためいていた万国旗。安っぽい粉末ジュースと砂糖菓子を売る店。そんな風景を見つけることができるのは、いまや「花やしき」くらいのものだろうか。
百貨店の屋上遊園地が、殺風景なものになって久しい。かつてそこには噴水や観覧車、敷地じゅうにところせましと走る汽車や電気自動車などがあり、いつも子供たちで溢れていた。ペンギンやペリカンさえもいた。あの熱気と狂騒は、もはや幻影となっている。
※写真は全て東京建築祭にて撮影。