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「人でなしの恋」読了
読んだ、と言っても、味わいある黄ばんだ縦書きの本ではなく、素っ気ない白いPC画面に横書き表示で。青空文庫で読んだ江戸川乱歩の著作。初出は大正15年と書かれていた。
見出し画像は、最近、友人たちと行った「昭和モダン×百段階段 ~東京モダンガールライフ~」にて。「人でなしの恋」の展示があった清方の間を見た後、縁側で撮ったものと思う。
天井に近い壁面の照明を見上げた。
蝶のモビールの組み合わせが、良い雰囲気だと気になった。
天井は暗いが、藁葺き屋根の家の庇に似たデザインだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1718329943165-iiWfJVMvYo.jpg?width=800)
行ったときの写真を見ながら、どんな話だったんだろうと気になり、昨夜になって読んだもの。
会場でもストーリーは、「乙女の本棚」ver.から抜粋され展示されていた。それを読んだり、ストーリーを知っている友人にも教わったりしながら楽しんだ。が、何のことだかあまり理解していなかった。
展覧会の会期は明後日までだが、ストーリーについても展覧会についても、ネタバレする方向には書きたくない。
「乙女の本棚」シリーズのビジュアルは、今の絵師さんによる、レトロで幻想的なとても良い雰囲気。「大正ロマン×百段階段 ~文豪が誘うノスタルジックの世界~」のときにも、たくさん見かけた。
ちなみに…
読み終えたが、残念ながら私と恋愛ものの相性は悪いらしく、あまりわかっていないことは変わらない。
ただ、その写真のお座布団に座って、味わいある黄ばんだ本で読んでみたい気がした。とてもレトロな文体が、記憶の会場の雰囲気とシンクロする感じが心地良かった。
私が恋愛ものを読んで思うのは、「へー」「そーゆーものなのか?」など。感情移入という方向ではない。「恋愛とは」というタイトルの資料の一部になってしまう。
作者さんには大変申し訳ないことだが、私にとって恋バナは他人事。
自閉スペクトラム症が確実に入っているだろう私は、その方向性がセクシャリティーにも及んでいるらしく、マイノリティーには違いない。
門野、御存知でいらっしゃいましょう。十年以前になくなった先の夫なのでございます。こんなに月日がたちますと、門野と口に出していって見ましても、一向他人様の様で、あの出来事にしましても、何だかこう、夢ではなかったかしら、なんて思われるほどでございます。
こんな書き出しで始まる、先夫・門野についての女性の語り。
門野と自分が、同じとも似ているとも思わない。
語る女性は、もっと自分とは違うように思う。
が、マイノリティーの自分からすると…
ストーリーはどこか既視感あるような、身近なような、今でも変わらないのではないかと思う難しさというか、親近感というか…
「親近感」という言葉では、親しんで良いという印象になってしまうので、言葉選びを確実に間違っているのだが…
どんな言葉なら、しっくりくるのだろうか…
「忌避感」なのか。
身近に感じる部分があるからこそ感じる、避けたい気分というか…
とりあえず…
誰が何を好きでも、他人は理解不能でも、何かを傷つけたり人を間違えさせたりしないなら、ただそのことを大切に扱ってほしい。
と、願う気分になったストーリー。
主な登場人物は、語る女性と門野の二人。
どちらの感覚も、私には理解できないが…
私が感情移入できそうなのは、どちらかというと門野。
「人でなし」とは誰のこと?
レトロで幻想的な世界を、百段階段での記憶とともに楽しんだ読書。